（オープニングタイトル）

晴れていたのが、急に天気が悪くなることがあります。吹き荒れる突風。雷。急に降り出す強い雨。このような天気の変化はどのようにして起こるのでしょう。

雷や突風を伴う天気の変化。このとき、気温が急に下がる場合があります。この気温の変化には何が関係しているのでしょうか。暖かい空気と冷たい空気で実験してみましょう。２つに仕切った水槽の左側に氷を入れ、空気を冷やします。そこに線香の煙を入れて、暖かい空気と見分けられるようにします。水槽の右側は暖かい空気。ドライヤーで温めます。冷たい空気と暖かい空気。あいだの仕切りを外すとどうなるのでしょう。冷たい空気と暖かい空気はすぐには混ざりません。

では、冷たい空気を暖かい空気のほうに送り込むとどうなるのでしょう。冷たい空気は重いので、暖かい空気の下に潜り込み、暖かい空気を押し上げながら進みます。今度は、左側の煙を入れたほうが、暖かい空気です。暖かい空気を右の冷たい空気のほうに送り込むとどうなるのでしょう。暖かい空気は軽いので、冷たい空気の上へはい上がるようにして進んでいきます。実は、同じような現象が、天気が変化する場合にも起こります。

温度が異なる空気のかたまりは、接してもすぐには混じりあわず境界面ができます。この境界面を「前線面」といい、前線面が地上や海上と交わる線を「前線」といいます。冷たい空気が暖かい空気を押し上げながら進んでいくのが「寒冷前線」です。このとき地上では、暖かい空気から冷たい空気に変わるので気温が下がります。一方、暖かい空気が冷たい空気の上にはい上がりながら進んでいくのが「温暖前線」です。このとき地上では気温が上がります。天気の変化に伴う気温の変化には、前線の通過が関係しているのです。

日本列島に寒冷前線がかかっている天気図。寒冷前線は東のほうへ進んでいきます。このときの空の変化を見てみましょう。最初は青空が見えています。それが急に分厚い雲が覆い始め、雨が激しく降りました。そして、寒冷前線が通過したあとは、雲が少なくなり晴れてきました。このように、寒冷前線付近では天気が急に変わるのです。

寒冷前線付近では冷たい空気が暖かい空気に向かって進み、暖かい空気を押し上げます。このとき、どのような現象が起こるのでしょうか？　暖かい空気が上昇すると温度が下がり、空気に含まれた水蒸気は冷えて、水や氷の粒となります。このようにしてできるのが雲です。暖かい空気と冷たい空気の温度差が大きいと、どんどん背の高い雲に育ちます。積乱雲です。この雲の中では水や氷の粒が合体して大きくなり、上昇する空気の力で支えきれなくなると、激しい雨や雪になって地面に降ります。こうして寒冷前線付近では狭い範囲に強い雨や雪が降り、それが移動するので天気が変わるのです。

では、温暖前線が近づくと天気はどのように変化するのでしょう。温暖前線付近では、暖かい空気が冷たい空気の上にはい上がっていきます。暖かい空気が穏やかにのぼっていくことで、背の高くない雲ができます。このため、広い範囲に弱い雨の降ることがあるのです。

前線は時間とともに東のほうへと移動します。寒冷前線が日本列島の西のほうにあるとき、このあと福岡、大阪、東京の天気はどのように変わるのか、空の様子の変化を見てみましょう。東京は晴れていますが福岡と大阪は曇りです。その後、福岡では強い雨が降りました。雲画像を見ると、雲がある部分に寒冷前線があります。次の日、福岡は雨がやみ、晴れました。一方、大阪では分厚い雲が空を覆い、雨が降りましたが、しばらくすると雲が去り、晴れてきました。東京は、朝から真っ黒い雲が空全体に広がっています。そして夕方、強い雨が降りました。

前線と雲の動きを見てみましょう。前線が東へ移動しながら大阪、東京を通り過ぎると、それに伴って、雲の広がる範囲も移動したことがわかります。天気の移り変わりを続けて見てみましょう。このように、寒冷前線は西から東へと移動し、それに伴って各地の天気も変化していくのです。