(オープニングタイトル)
毎日観察すると、月は徐々に形を変えていきます。また、金星も、日々見える形が変わります。どうしてでしょう。
月は、太陽の光が当たっている部分が明るく見えます。そして、地球の周りをおよそ1か月で1回まわっています。これを、「月の公転」といいます。月の公転と、月の形が変わって見えることには、どんな関係があるのでしょう。北極側から見て、月が地球と太陽のあいだを少し通り過ぎた位置に来たとき、この月を地球から見ると、太陽に斜めうしろから照らされるので、明るい部分が「三日月」の形に見えます。
このあと4日ほど経つと、月は地球の北極側から見て、太陽に向かって左横の位置に来ます。この月を地球から見ると、太陽に横から照らされているので、明るい部分が「半月」の形になって見えます。さらに一週間ほど経つと、月は太陽に対して地球のうしろ側の位置に来ます。この月を地球から見ると、太陽に正面から照らされるので、明るい部分がほぼ丸く見えます。さらに一週間ほど経つと、今度は左半分が明るい半月になって見えます。そして、地球から見て太陽の方向に来ると、明るい部分が見えなくなります。「新月」です。新月から次の新月まで、およそ29.5日。月が地球の周りをまわることで、日々、形が変わって見えるのです。
夜の12時。満月が見えるのは、南の空です。しかし、満月の一週間前に見える半月は、夜12時、西の空に沈みます。また、満月の一週間あとに見える半月は、夜12時、東の空をのぼってきます。同じ時刻に観察すると、月の形によって、見える方角が違うのはなぜでしょう。
北極側から見ると、満月が見えるのは、月、地球、太陽の順でほぼ一直線に並んだ位置にあるときです。日本が夜12時のときを考えてみましょう。地球の自転は、北極側から見て左回りの向き。日がのぼるほうが東です。満月は、南の空に見えます。では、満月のあとに見える半月はどうでしょう。日本が夜12時のとき、東の空に見えます。満月になる前に見える半月はどうでしょう。日本が夜12時のとき、西の空に見えます。このように、同じ時刻に見える月の方角が違うのは、月が地球の周りを公転しているからなのです。
夕方、太陽が沈み、あたりが暗くなり始めたころ、西の空にひときわ明るい星が現れました。金星です。金星は、太陽がのぼる少し前、東の空に明るく見えることもあります。くわしく見ると、金星はどのように見えるのでしょう。金星は、太陽と月を除くと、最も明るく見える天体です。昼間でも、条件がよければ見ることができます。
望遠鏡で、金星の大きさや形を、日を追って観察してみましょう。2007年4月の金星の映像。左側が少し欠けて見えます。その後、金星は欠けていきながら、見た目の直径は大きくなっていきます。8月下旬になると、欠ける方向が変わりました。右側が大きく欠けた形をしています。その後、金星は太くなりながら、小さくなっていきます。金星も満ち欠けをするのです。しかも、月と違い、大きさも変わります。
地球から見える金星の形や大きさが変わるのはどうしてでしょうか。金星も、地球と同じく太陽の周りを公転しています。地球の公転は、およそ365日。それに対して、地球の内側を回る金星の公転は、225日です。このため金星は、地球よりも先行して回っています。
金星の満ち欠けを、模型を使って考えてみましょう。手前から、地球、金星、太陽の順に一直線に並べます。地球の位置を固定して考えると、金星は地球に先行して回っているので、つねに、太陽に向いている半分だけが光って見えます。そして、地球の位置からみると、金星の形や大きさが違って見えます。太陽より奥にあると遠いため小さく、太陽より手前にあると近いため、大きく見えるのです。また、地球に近づいてくるあいだは左側が欠け、地球から遠ざかるあいだでは右側が欠けて見えます。そして、地球に近いほど、金星は大きく欠けて見えます。
金星が夜明け前と日が沈んだ直後によく見えるのはどうしてでしょう。地球の自転を考えに入れ、太陽と金星の関係を見てみましょう。金星が地球の北極側から見て太陽よりも西寄りの位置にある場合、夜明け前、東の空に金星は見えます。そして地球が自転すると太陽が見えるようになります。日がのぼる前に金星が見える「明けの明星」です。
一方、金星が地球の北極側から見て太陽よりも東寄りの位置にある場合、太陽が沈んだあとも金星は西の空にあり、明るく輝きます。日が沈んだあとに見える「宵(よい)の明星」です。金星が満ち欠けして見えるのは、金星が、地球の内側を公転しているからなのです。