(オープニングタイトル)
雷、髪の毛が逆立つ人形、棒の上に浮くリボン…。これらはすべて、「静電気」による現象です。なぜこのようなことが起こるのでしょう。
毛皮で、塩化ビニルの棒をこすります。ポリエチレンを裂いてたばねたリボンも毛皮でこすります。リボンを棒の上で放すと、落ちてきたリボンが棒の上で浮きます。なぜでしょう。通常、物体はプラスとマイナスの電気を同じ量持っていて、それらが打ち消しあっています。しかし塩化ビニルを毛皮でこすると、毛皮の中にあるマイナスの電気の粒、「電子(でんし)」が、塩化ビニルの棒に移動します。棒にマイナスの電気が増えることで、静電気を帯びるのです。
同様に、リボンを毛皮でこすると、リボンにマイナスの電子が移動し、静電気を帯びます。棒とリボンを近づけると、マイナスに帯電したものどうしは反発しあうため、リボンは棒の上で浮いたのです。
静電気を発生させる装置があります。ゴムのベルトを回転させ、こすることで静電気を作り、上部の丸い金属の部分に静電気を集めます。これに別の金属を近づけると、金属のあいだに青白い光が走ります。これは、たまっていた電子が、あいだの空気を通って、別の金属に一瞬で移動しているのです。「放電(ほうでん)」です。
放電は、誘導コイルという装置を使うと、連続して起こすことができます。この装置に、クルックス管をつなぎます。クルックス管は中の空気がぬいてあるので、放電しやすくなっています。管の中には、電子がぶつかると光る蛍光板が入っています。放電すると、明るい光の筋が現れます。電子が飛んでいるのです。
電子はどちらに向かっているのでしょう。金属の十字板をつけたクルックス管で調べてみましょう。左側にマイナス極、十字板側にプラス極をつなぎます。電気を通すと、右側に十字板の影ができました。右に影ができたということは、電子は左から右へ、つまりマイナス極からプラス極に向かって飛んでいることがわかります。この電子の移動が、電流が流れるということなのです。
では、中に回転する羽根をセットしたものでは、どうなるのでしょう。左がマイナス極です。スイッチを入れると、回転する羽根は右のプラス極に向かって動きました。マイナス極から出てプラス極に向かう電子がぶつかります。その影響で羽根車が動くのです。
手回し発電機と豆電球を導線でつなぎ、発電機のハンドルを回すと豆電球が光ります。電流が流れているのです。電流計はどうやって電流の大きさを計るのでしょう。この回路の中に直列に電流計をつなぎます。手回し発電機のハンドルを回すと、電流が発生します。電流計は針が動き、電流の大きさを示しています。
電流の正体、電子の流れを考えてみましょう。電子は、発電機のマイナス側から出て移動していきます。このとき電流計では、中を通る電子の量を計っています。発電機のハンドルを速く回すとどうなるのでしょう。豆電球が明るくなりました。そして電流計は、針が大きく振れています。このとき電流計を通る電子の量は、増えています。電流計は、流れる電子の量を計って、電流の大きさを示しているのです。
では、電圧とは何でしょう。電圧計は何を計っているのでしょう。乾電池は、1個の場合と、2個直列、3個直列の場合では、電圧が違います。このような電圧の違いを計るのが電圧計です。電圧計は、電圧を計りたい部分に並列につなぎます。電圧計の針を見ると、電圧は電池3個直列の場合が最も高くなっています。電圧が高いとは、どういうことでしょう。
電圧はよく、水圧にたとえられます。まず、水圧について考えてみましょう。筒の底にゴムの膜がついています。まず、筒の高さの3分の1まで水を入れます。ゴム膜は少しふくらみました。水の高さを倍にすると、ゴム膜のふくらみ方が大きくなりました。水の高さを3倍にすると、ゴム膜はさらにふくらみました。水の高さによって、水を押し出そうとする力が違います。これが水圧です。
電圧の場合はどうでしょう。電圧は、電子を送り出そうとする力です。直列につないだ電池の数は、水の高さに当たります。電池1個の場合に比べると、電池2個、そして電池3個の直列のほうが、電子を送り出そうとする力が大きいということです。この、電子を送り出そうとする力を計るのが、電圧計なのです。