(オープニングタイトル)
この冬いちばんの寒さになりそうな日、モンパンとクロッピがテレビの天気よほうを見ていると、とつぜん、「ショップ・ズッコー」という番組が始まりました。寒い冬にそなえて、こん虫用こたつの売り出しです。「このこたつを買わないと冬の寒さでこごえ死にますよ。今すぐこちらにお電話を!」と、ズッコーピオがこん虫たちによびかけています。冬の寒さでこん虫たちはみんな死んでしまうのでしょうか。おどろいたクロッピは、外のようすを調べてみることにしました。
春から育ててきたヘチマは、6月の終わりごろにはあおあおと生いしげり、葉っぱのうらやくきにさまざまな虫が来ていました。そのころの空気の温度は25℃くらいです。それが12月はじめの温度はおよそ10℃。かなり寒くなってヘチマはすっかり茶色になり、虫も見あたりません。夏に虫が食べていた葉っぱは、すっかりかれています。アリや毛虫がのぼっていたくきも、中まで茶色になっていてまったく水気がありません。冬になってヘチマはかれて死んでしまい、ヘチマに集まっていた虫たちもすがたを消しました。
9月には、どんぐりの木は葉がしげって実がなり、そのどんぐりの実をねらって虫が集まっていました。12月になると葉っぱも実もすっかりなくなっています。しかしえだ先には冬芽(め)があり、春になるとそこから新しい葉っぱがはえてきます。冬芽のすぐそばには、ガのたまごがうみつけられていました。春にはよう虫が出てきて、新しく生えてくる葉っぱを食べて成長(せいちょう)します。ガの親は、生まれてくるよう虫のため、えさのすぐそばにたまごをうんで死にました。こん虫も植物も、次の春にそなえて寒い冬をじっとたえているのです。
エノキの根元を見てみると、落ち葉のうらに、チョウのよう虫がいました。つついても動かず、まるで冬みんしているようです。ほかの落ち葉には、テントウムシがたくさん集まっていました。やはりじっとして動きません。石の下には、ガのさなぎがいました。林の中に落ちている木のえだをわってみると、中にはカミキリムシのよう虫や、コクワガタのよう虫がいます。クワガタのなかまには成虫(せいちゅう)のままで木の中にいるものもあります。虫たちはさまざまなすがたや方法(ほうほう)で寒い冬をじっとすごし、あたたかい春を待つのです。
モンジイが、寒い冬でも生きものを見つけることのできるおすすめの場所を教えてくれます。都会でも、手軽に冬の虫を観察(かんさつ)できる場所は、プールです。冬、人が使わなくなったプールでは、たくさんの虫たちが冬ごしをしているようすを見ることができます。ギンヤンマというトンボのよう虫がいました。プールの角など、もがたくさん生えているところをえらんで、もごとすくい上げると、カメムシのなかまやハイイロゲンゴロウ、シオカラトンボのよう虫もいました。みなさんの学校のプールでも観察してみてください。
生きものの冬ごしのようすは、ちいきによってちがいます。12月のはじめ、沖縄(おきなわ)の温度は17℃。関東地方とくらべると、10~15℃くらい高い温度です。12月だというのに畑には緑の植物がたくさんあります。ヘチマは花がさいて、実もなっています。関東地方では春にならないとさかないタンポポが、12月の沖縄ではさいています。関東地方ではたまごで冬をこすカマキリやよう虫で冬ごしをするショウジョウトンボも、沖縄では冬でも成虫(せいちゅう)を見かけます。温度がちがうと、植物や虫の冬ごしのようすもことなるのです。