(オープニングタイトル)
ムラサキキャベツと水をミキサーに入れ、ジュースを作ります。このジュースに酸性の水よう液を加えると、むらさき色が赤に変わります。中性の水よう液ではむらさき色のまま。アルカリ性の水よう液では青になりました。ムラサキキャベツのジュースは、水よう液の性質によって色が変化するのです。このジュースを使って水よう液の性質を調べると、レモン、ドレッシングに使う酢(す)、トイレ用洗ざいは赤になり、酸性でした。食器洗い用洗ざいは中性。洗たく用の洗ざい、虫さされの薬は青になり、アルカリ性でした。
水よう液の性質によって色が変わる現象は、身近なところで利用されています。あい染めとよばれる染物は、あいという植物から作られる染料で染めます。アルカリ性の水よう液のなかでしか色が溶け出さないため、石灰を入れて染料をアルカリ性にします。このとき、あいの色は茶色に変わっています。食べ物の赤い梅干しを作るときも、酸性で色が変わる性質が使われます。むらさき色のシソの汁を酸性の梅酢(うめず)に加えると鮮やかな赤になります。こうして赤い梅干しができるのです。
すし、野菜や魚を酢(す)につけたもの、ヨーグルトなどのすっぱい食べ物は酸性です。酸性の食べ物にはどのような特長があるのでしょうか。たいた米にやや強い酸性の酢をまぜて作るすしのごはんで調べてみましょう。ふつうのごはんと、酢をまぜたごはんを、夏の気温に近い30℃に置いておきます。三日後、ふつうのごはんにはカビが生えていました。酢をまぜたごはんにはカビは見あたりません。酸性水よう液である酢は、細きんが増えるのもおさえます。酸性のものには、食べ物を長持ちさせる働きがあるのです。
洗ざいには酸性のものとアルカリ性のものがあります。トイレをそうじする洗ざいのように酸性の強いものは、酸性水よう液がものをとかす力を利用してよごれを落とします。石けんは、油とアルカリ性の水酸化ナトリウム水よう液をまぜて作られます。油に付きやすい部分と水に付きやすい部分があり、油に付きやすい部分が油よごれをとりかこむと、水に付きやすい部分が水と結び付こうとする力で、よごれがうかび上がってきます。洗ざいは、ものをとかす力やよごれをうかせる力など、酸性やアルカリ性の働きを利用して作られているのです。