球が浮くおもちゃ。今日は、このおもちゃを大きくして、重いものを風で浮かばせる大実験! 誰もが当たり前だと思っている自然の法則や科学の知識。でも、それは本当なのでしょうか。答えは、やってみなくちゃわからない、大科学実験で。
二人組のパフォーマー。一人がパイプのようなものを取り出して口にくわえました。その吹き出し口に球を置いて息を吹くと…、球が浮きました。パイプを斜めにしても、浮いたまま。不思議です。次はもっと大きな球です。パイプの口にのせて息を吹きますが、浮きません。大きな球は、息で浮かすのは厳しそうです。そこで取り出したのは、送風機。送風機を上に向けて空気を吹き出し、下から大きい球に風を送ると、今度は浮きました。送風機を斜めにしても浮いたままです。どうして浮き続けるのでしょう。
煙を使って、球が浮いている様子を見てみましょう。送風機から吹き出ている煙の中に球を入れると、球を包み込むように風が流れていることがわかります。丸い球体ではなく、ほかの形ではどうでしょう。箱型や筒型など、どれもはじき出されてしまいました。ほかの形はだめなのでしょうか。どうして丸いと浮き続けるのでしょう。
浮いている球にひもをつけて外へ引っ張り、手をはなすと、風の流れの中に戻りました。包み込むように流れる風が、球を引き戻すのです。送風機を斜めにすると…、このときも球は風の流れに包まれています。だから、同じところに浮いたまま落ちないのです。
再び、二人のパフォーマーが登場。一人が、重さ20kgのダンベルを用意しました。これを浮かばせろということのようです。どうやったら浮かばせることができる? そこで、巨大な送風機で実験です。長さ9m、重さ5.6トンの送風機です。方向を変える筒を使って、風を上向きにします。吹き出す風は最大で秒速80m。「猛烈な台風」より強力な風を出すことができます。ダンベルはプラスチックの球に入れます。その直径は40cm。クレーンで上からロープで吊るして実験します。送風機の風で飛んでいってしまうと危ないからです。
いよいよ大実験開始。スイッチ、オン! 風が出始めました。吹き出し口の上にのせた球は…、なかなか上がりません。風の強さを最大にします。すると、球が激しく動き出しました。しかし球は浮かず、吊るしたロープがはずれて、地面に落ちてしまいました。風はこれ以上強くできません。何か工夫できないか…。
大きさの違う球を四つ用意しました。重さは、およそ73g。大きさは違っても、四つとも同じ重さです。送風機の吹き出し口の上に球を入れ、下から風を当てると、大きな球のほうが高く浮いています。大きいほうがたくさん風を受けられるから浮かびやすいようです。では、もっと大きな球を使って、ダンベルを浮かび上がらせる実験に再挑戦!
直径90cm。さっきの倍以上の大きさの球を用意しました。今度はどうでしょう。スイッチ、オン! 風が出始めると…、浮いてきました。どんどん風を強くしていきます。すると、球は高く浮かび上がりました。実験、成功です。
斜めにも挑戦します。ロープを引っ張って、吹き出し口を傾けていきます。ゆっくり傾けていくと…、10分後、かなり傾けても浮いたままです。実験大成功。今回の実験で、重いものでも大きく丸くすれば、風で浮かばせ続けられることがわかりました。だから、やってみなくちゃわからない、大科学実験で。