水を入れたたくさんのコップを積み上げて高いタワーを作りました。今日は、コップのタワーを回転させて傾ける大実験。中の水はどうなるのでしょうか。誰もが当たり前だと思っている自然の法則や科学の知識。でも、それは本当なのでしょうか。答えは、やってみなくちゃわからない、大科学実験で。
バケツを傾けると、中の水はこぼれます。でもバケツを振り回して同じくらい傾けても、水はこぼれません。もっと速く回したらどうなるのでしょう。回転する装置の腕の先にバケツを取り付けて速く回すと、やっぱりこぼれません。何か力が働いているのでしょうか。
ばねばかりを使って見てみましょう。ばねは力を加えると伸びます。バケツの横にばねばかりを取り付け、力がどう働くかを見ます。始め、ばねの先のおもりは、目盛りの真ん中の黄色いところです。回転させていくと、ばねが伸びました。おもりに働く力が大きくなったのです。回っているとき、物にはばねが伸びる方向に力が働きます。その力で、水はバケツの底のほうに押しつけられているのです。
今度は、水を入れたコップをお盆に載せ、ひもでつるして回してみます。装置が回転し始めました。これも、水はこぼれません。そこでコップを積み重ねてみます。下に3個、その上に1個。二段に重ねたコップを回します。回してみると・・・、水はこぼれません。もっとコップを高く積んで回転させたらどうなるでしょう? 十段に積み上げた“コップタワー”を作りました。
巨大な回転装置を組み立てます。回転する柱は高さ5メートル。柱にアームを取り付け、その先にコップタワーを載せる台をつるします。台に積み上げるコップの数は124個。高さ1.5メートル、重さ86kgになります。高く積んでいくと上のほうのコップが揺れ始めました。慎重に、慎重に…。十段のコップタワーが完成。準備完了です。
大実験、スタート! ゆっくりと装置が回転し始めました。回転スピードを上げていきます。少し揺れているようですが…、大丈夫。コップの水はしっかりと台に押しつけられています。十段のコップタワーは倒れませんでした。では、もっと積んでみてはどうでしょう? コップをもっと高く積めるように、回転装置を組み直します。今度は高さ3メートル、重さは123kg。さっきの倍、二十段のコップタワーです。
実験開始。ゆっくりと装置が回転します。最初は順調。斜めになってもコップタワーは倒れません。回転スピードを上げていきます。コップが揺れ始めました。・・・あ、上のほうのコップがすべり落ちてしまいました。そこで今度は、コップを載せるプラスチックの板にすべり止めを塗ります。さらにタワーの下のほうと上のほうにばねばかりを付けて、回っているときの力も見てみます。
二十段に再挑戦。今度は大丈夫でしょうか。回転スピードが上がるにつれて、下のほうのばねは、だんだん伸びていきます。台のほうへ押しつける力が働いているのです。一方、上のほうのばねは、あまり伸びていません。しばらく回転を続けると…、上のほうのコップがやっぱりすべり落ちてしまいました。今回の大実験で、回転させると物には力が働くことがわかりました。でも、コップを高く積み上げると、上のほうは押しつけられる力が弱いこともわかりました。だから、やってみなくちゃわからない、大科学実験で。