大きな風船をふくらませています。ずらりと横一列に並んだ実験レンジャーたち。みんな、頭に電球の付いたヘルメットをかぶっています。何をするのでしょう。誰もが当たり前だと思っている自然の法則や科学の知識。でも、それは本当なのでしょうか。答えは、やってみなくちゃわからない、大科学実験で。
指揮者と3人のコーラスグループ。みごとなハーモニーを聞かせています。でも、それを聞いているジェントルマン、何か不満そうです。歌がよく聞こえていないみたいです。もっとよく聞こえるようにしてあげましょう。実験レンジャーが取り出したのは、虫眼鏡。虫眼鏡を光の通り道に入れると、虫眼鏡から離れた場所で明るくなるところがあります。レンズが光を集めているのです。音も集めて大きくすることができるのでしょうか。
実験のため、声を録音します。一定の大きさにした音をスピーカーから流し、その音をマイクで拾います。スピーカーとマイクのあいだに虫眼鏡を入れ、ゆっくりマイクに近づけていきますが…。だめです。音は大きくなりません。あいだに入れて音を大きくするものはないのでしょうか。
先ほどの指揮者が取り出したのは、風船。風船の中身はCO2、二酸化炭素です。この風船をマイクの前に入れてみると、音の大きさが…変わった? 今度は、風船は動かさずにマイクを動かしてみます。左右に動かしたり、前後に動かしたり。するとやっぱり、音が大きくなったり小さくなったりしています。二酸化炭素を詰めた風船を使うと、場所によって音の大きさが変わるようです。もしかして、大きな風船を使ったら、もっと大きく音が聞こえる場所ができるのでしょうか。やってみましょう!
二酸化炭素で風船を大きくふくらませます。でも、どうやって音が大きくなる場所を見つけるのでしょう。実験レンジャーが頭にかぶったヘルメット。その上に付けられた電球が、点いたり消えたりしています。これは音に反応する装置です。電球の下部にマイクが付いています。音が大きいところでは電球が明るくなり、音が小さいところでは暗くなります。
直径240cmの二酸化炭素入り風船を用意しました。床にはテープで格子状に目印の線を引きます。奥にスピーカーを置いて、巨大風船をその前に置きます。手前には、音に反応する装置を頭に付けた実験レンジャーが立ちます。まず、風船なしで実験です。音を立てないように、そっと歩いてあちらこちらに移動します。どの場所も電球の明るさはあまり変わりません。巨大風船を置いたらどうなるのでしょうか。場所を移動してみると、電球の明るさが変わりました。
人数を増やして見てみましょう。頭に装置を付けた実験レンジャーが、横一列に並びます。並ぶと、電球の明るさの違いがわかりやすくなりました。このまま、合図とともに一歩ずつ前進して、部屋全体を調べていきます。風船がない場合の部屋全体の電球の明るさと比べると、風船がある場合は明るさにばらつきがあります。
どの辺りがいちばん明るいのでしょう。前のほうの列の中央辺りがいちばん明るくなっている場所のようです。それぞれの場所で、聞こえる音の大きさを確かめてみましょう。やはり、前のほうの中央辺りが、いちばん音が大きく聞こえます。さっき不満そうだったジェントルマンに、音が大きく聞こえる特等席で歌を聞かせます。今回の実験で、二酸化炭素を詰めた風船を使うと、音の大きさが場所によって変わり、音が大きくなる場所ができることがわかりました。だから、やってみなくちゃわからない、大科学実験で。 ※音の可視化装置の開発:ゼロバイゼロ