たくさんの人。全員が手にしているのは赤、緑、青、三色の光が点く小さなパネル。一体、何をするのでしょう。誰もが当たり前だと思っている、自然の法則や科学の知識。でも、それは本当なのでしょうか。答えは、やってみなくちゃわからない、大科学実験で。
『大科学実験』のタイトルが映ったテレビ。テレビ画面を拡大して見てみましょう。白い文字の部分を拡大してみると…。あれ? 白じゃない? 白ではなく、たくさんの赤・緑・青の色が光っていました。
今度は、水色の部分。拡大してみると…。たくさんの赤・緑・青のうち、光っているのは緑と青だけ。白い文字のときとはちがうようです。続いて黄色の部分。拡大してみると、赤と緑だけでした。ピンクの部分は、赤と青だけです。赤、緑、青、三色の光の組み合わせを変えるとちがう色に見えるのです。
もっとうすい水色ではどうでしょう。拡大すると…、赤・緑・青の三色が点いていました。でも、白と比べると、赤の光が弱いようです。では、うすいピンクではどうでしょう。先ほどのピンクとはちがうのでしょうか。拡大してみると、今度は、赤と青だけでなく緑も弱く光っています。赤、緑、青。たった三色の光の強弱を組み合わせることで、テレビはいろいろな色を映しているのです。
30cm四方のパネルに、三色の光を並べました。パネル一枚の大きさは、テレビ画面を拡大すると見える小さな三色のおよそ1100倍。このパネルをたくさん並べて、巨大ビジョンを作ってみましょう。実験の舞台は、およそ2万平方メートルの広いグラウンド。パネルを持つ実験レンジャーは30人。旗の合図で、パネルの一部をカバーで覆い、光の色の組み合わせを変えていきます。パネルからカメラまでの距離は8m。まず、三色すべてを点けて白い光を作ります。
「ピーッ」。合図で全員がパネルに三色の光を出しました。でも、全然白く見えません。もっと離れたらどうでしょう。カメラはどんどんパネルから離れていきます。グラウンドを見下ろす遠くの校舎の上まで行きました。その距離、267m。「ピーッ」。合図の笛が鳴りました。さあ、どうでしょう。今度は、小さくてよく見えません。どうすればいい?
実験レンジャーの数を増やします。人を増やしてパネルで作る画面を大きくするのです。全部で270人がグラウンドに並びました。いよいよ大実験開始。「ピーッ」。さあ、全体が白く見えるのでしょうか。うーん、なんだか青く見えます。まわりが明るすぎるせいでしょうか。まわりを暗くして見ますが、やっぱり青く見えます。青の光が少し強いのでしょうか。
そこで、パネルの青のライトを半分隠して弱くします。さあ、再挑戦。「ピーッ」。いっせいに三色のライトを点けました。すると…、どうでしょう。さっきよりは白っぽい気もします。近づいていくと、三色。離れていくと、白っぽく見える?
ほかの色も作ってみましょう。赤と緑。これで黄色になるはずです。「ピーッ」。すると…、黄色になりました。続いて、赤と青だと、ピンク色…? 緑と青で、水色! うまくいきました。三色の光の組み合わせを変えていく様子を連続して見ると、色が変わっていくのがよくわかります。今回の大実験で、赤、緑、青、三色の光が混ざって見えるには、とても長い距離が必要なことがわかりました。また、光の強弱で色が変わって見えることもわかりました。だから、やってみなくちゃわからない、大科学実験で。