
(オープニングタイトル)

「探究のとびら」。不思議に思うことを、知識や体験と関係づけて考えると、根拠のある仮説が生まれる。銅が使われた基板に銀めっきをするとき。基板を、ある水溶液に入れると…。色が変わります。銅の表面に、銀が現れます。どういうことでしょう。もしかして…、この水溶液に秘密がある?

塩化銅水溶液の電気分解が手がかりになるかもしれません。塩化銅水溶液には、銅と塩素などがイオンになって溶けています。電流を流すと、陽極では塩素が出て、陰極の炭素棒では…、銅イオンが電子をもらって銅になりました。銅に銀メッキをするときに使った先ほどの水溶液の中に、どんなイオンがあるかというと…、確かに銀イオンが含まれています。でも、電流を流していないのに銀が現れるのはなぜでしょう。手がかりを探して、仮説を立てよう。

「探究のかぎ」。実験や観察の結果を多面的に分析して、決まりを見つけましょう。注目するのは、イオンが金属として現れる場面。使うのは、スズ、亜鉛、銅。これらを、塩化スズ、塩化亜鉛、塩化銅の水溶液にそれぞれ入れて反応を見ます。

実験1.塩化スズ水溶液に入れる。まずは、亜鉛。泡が出てきました。同時に、亜鉛は水溶液にイオンとして溶け出しています。亜鉛の表面に灰色の物質がつきました。スズが水溶液の中から現れたようです。次は、銅。亜鉛と同じ時間入れると…?

実験2.塩化亜鉛水溶液に、スズと銅を入れると…?

実験3.塩化銅水溶液に、スズと亜鉛を入れると…? スズは少し色が変わり、亜鉛には赤いでこぼこができました。スズには少しだけ、亜鉛には大量に、銅が現れたようです。

結果を表にあてはめてみると、何が言える? 金属として現れやすいイオンの順番は? 探究のかぎ、見つかった?

新たな世界が見えてくる、「理科の見方・考え方」のコーナー、思考ツール編。今回は、「比較するとき」に役立つ思考ツール。たとえば、水が水蒸気になるときの体積変化を調べる実験。水は湯気となり、その先で水蒸気となって広がっていきます。水が水蒸気になるとき、体積は何倍になる? 調べるためのプランを4つ考えました。ここで、実験の優先順位を決めるため、比較をします。そのときに役立つのが、「座標軸」。

たとえば縦軸を「結果の正確さ」、横軸を「実現の可能性」にして、実験プランを比較します。1つめ。試験管に少量の水を入れ、熱します。出た水蒸気を、袋に集めるプラン。実現できそうですが、水蒸気が冷えて水滴になるため、正確にはかれなさそうです。なので、座標軸の「実現可能性」が高く「正確さ」の低いところに置きます。2つめ。水蒸気を、100℃以上のサウナの中で袋に集めるプラン。これなら水蒸気が水滴になることはなさそうです。でも、サウナで火を使うのは危険。実現が難しそうです。

3つめ。水蒸気を100℃のお湯の中で袋に集めるプラン。これなら実現できそうです。でも、袋では体積が正確にわからないかもしれません。4つめ。水蒸気を、100℃のお湯の中で、目盛りのついた注射器に集めるプラン。これなら正確にはかれそうです。でも、大きな注射器を用意するのが、少し難しいかもしれません。正確さと実現可能性の高いプランは、3と4。座標軸を使って比較することで、実験プランの優先順位づけができます。

最後は、多面的な分析をさらに進める、「もっと探究」。塩化スズ水溶液に、亜鉛と銅を入れる実験。亜鉛のときだけ、泡が出ます。これは、水溶液中の水素イオンが、水素になって出てきたものです。水素が出たり出なかったりするのは、どうしてでしょう。仮説を立てるための手がかりを探して下さい。水素イオンがたくさん含まれている塩酸に、いろいろな金属板を入れて、反応を見ます。まずは、鉄と銅。鉄のほうは、少し水素が出てきました。さらに、亜鉛、アルミニウム、金では…? どんな決まりがありそう? 探究せよ!