(オープニングテーマ)
今日のテーマは、奈良県。奈良県は紀伊(きい)半島の中央にあり、県庁所在地は奈良市、人口はおよそ137万です。奈良県を知るキーワードはこの三つ。「大仏(だいぶつ)」、「墨(すみ)」、「葛(くず)」です。東大寺の大仏殿(でん)は高さ48m、世界最大級の木造(もくぞう)の建物(たてもの)です。中にある大仏様は高さおよそ15m。7年もの大工事のすえ完成(かんせい)しました。お堂(どう)の柱のあなと、大仏様の鼻のあなは同じ大きさ。大仏様の大きさが実感できます。このあなをくぐるとご利益(りやく)があるといわれています。
書道に使う墨は、そのほとんどが奈良県で作られています。主な原料(げんりょう)は、なたね油などをもやしたあとに出る「すす」。これに「にかわ」などをくわえ、ねり合わせます。およそ1200年前、中国で作り方を教わったおぼうさんが、奈良のお寺で作ったのが日本初(はつ)といわれています。葛という木の根から作られるのが葛粉(くずこ)。葛粉を作るには大量(たいりょう)の水がかかせません。奈良をかこむ山々は、原料の葛とゆたかな地下水をもたらしました。奈良の葛粉は「吉野葛(よしのくず)」とよばれ、質(しつ)のよさで知られています。
みえるくんがやってきたのは、奈良市内の中心部にある奈良公園。ここにはたくさんのシカがいます。近くの神社「春日大社(かすがたいしゃ)」は、平城京(へいじょうきょう)を守る神様をまつるため、1300年前に建てられました。神様はシカに乗ってやってきたと言いつたえられ、シカは神様の使い「神鹿(しんろく)」として、今も大切に守られているのです。神様がまつられている本殿(ほんでん)は国宝(こくほう)に指定され、昔ながらのやり方でたてかえられてきました。昔ながらのやり方とは…?
春日大社の秋田さんが案内(あんない)してくれたのは、「着到殿(ちゃくとうでん)」。天皇の使者が到着する場所です。その屋根を見ると、コケが生え、あなのあいたところもありました。何十年かたつとこのような屋根になってしまうので、定期的(てき)に修理(しゅうり)をするのだそうです。屋根の材料(ざいりょう)となるのが「檜皮(ひわだ)」。ヒノキの皮をけずったもので、水に強いのが特長(とくちょう)です。それに気づいた昔の人は、屋根の材料に使ってきました。
春日大社の本殿(ほんでん)の屋根は、20年前に一度ふきかえられます。修理(しゅうり)の様子を見ると、職人(しょくにん)さんたちはあつさ2mmの檜皮(ひわだ)を一まい一まい手作業ではりつけています。檜皮を打ちつけているくぎは、竹でできたもの。軽くてじょうぶな上に、木よりくさりにくいため、昔から使われてきたそうです。屋根のいたみがはげしいこの建物もようやく修理することになりました。修理では、樹齢100年のヒノキからとった檜皮が17万枚も使われたそうです。1年がかりで、2011年にやっと完成しました。
たくさんの神社やお寺がある奈良県で今こまっているのは、建物(たてもの)を作るときにかかせない、木です。五重塔(ごじゅうのとう)で知られる興福寺(こうふくじ)では、400年前に火事でやけたお堂(どう)をたて直す工事が行われています。工事が始まる前にいちばんたいへんだったのが、太い柱の材料(ざいりょう)となる木を集めることでした。長さ11m、太さ80cmの巨木が66本必要(ひつよう)でした。しかし、日本中の森をさがしたものの、見つけられなかったのです。そこで、外国にまでさがしに行ったといいます。
見つけたのは、日本から1万3000kmはなれた、アフリカのカメルーン共和国できりだされた木でした。結局(けっきょく)、66本の柱すべてを外国産(さん)の木で作ることになりました。工事のまとめ役、瀧川(たきがわ)さんは、外国の木を使うと決めたものの、なやんだそうです。「理想は、国内産の材料(ざいりょう)で作りたい。その土地の風土にあったものを使ったほうがいい。日本の寺は日本の材料でやるのが理想ですね」(瀧川さん)。
日本の文化財(ざい)は日本の木で直したい。そんな思いから、大きな木を育てるための森づくりが2004年に始まりました。200年先を見こし、そのときに必要(ひつよう)となる木材(もくざい)を育てようという活動です。これまでにヒノキやスギなどの苗木(なえぎ)が48万本も植林されました。森づくりには、地元の子どもたちもたくさん参加(さんか)しました。木が育ち、材料として使えるようになるのは数百年後です。それは今の子どもたちの孫(まご)の代のころ。文化財を守るための森づくりは、今始まったばかりです。
チーズちゃんの「都道府県クイズ」! 突進(とっしん)しようとかまえている牛のような形の都道府県、どこだかわかるかな? ヒント1.カキの水揚げ量(みずあげりょう)が日本一。ヒント2.「原爆(げんばく)ドーム」がある。ヒント3.もみじをかたどった「もみじまんじゅう」が名物。答えは…、広島県でした。広島県は、中国地方の瀬戸内海(せとないかい)がわにあります。
海の中にある鳥居(とりい)で有名な厳島(いつくしま)神社。海の上にたてられ、自然(しぜん)と一体になったその独特(どくとく)のつくり、さらに、昔の建物(たてもの)の様式をよくつたえていることから、1996年、世界遺産(いさん)に登録(とうろく)されました。潮(しお)が引く時間、大鳥居まで歩いていくことができます。自然を生かしてつくられた厳島神社は、季節(きせつ)によって、時刻(じこく)によって、さまざまな表情(ひょうじょう)を見せてくれます。