「うーん、どうしようかなあ?」ズビが、ハジメがかいたマチのイラストを部屋中にならべて考えこんでいます。そこへもどってきたハジメは、「なんじゃこりゃ?!」とびっくり。「今までかいたイラストをならべてどうしたんだよ?」と聞くと、「これまでいろいろな場所を調べてきたけど、けっきょく、民奈野市(みんなのし)ってどうなっているんだ? 全体のことを知りたいんだ!」とズビが言います。「民奈野市全体を知りたいって…。」と聞くハジメに、ズビは「星のみんなに、民奈野市はくらしやすくていいところだぞって、つたえたいと思ったんだけど…。」と言うのです。
するとハジメが、「よし。今まで行った場所のようすを思い出してみよう!」と言いました。「いいアイデアだな!」とよろこぶズビ。まず、「エキのまわりではいろいろな乗り物を見たぞ!」と言います。「駅のまわりにはいろいろな乗り物があった」とハジメはメモに書いて、駅のイラストの上におきました。「あとは、乗り物を利用(りよう)する人が多かったぞ!」とズビ。「乗り物を利用する人が多い」とハジメはまたメモに記入します。今まで調べた場所のようすを思い出してみると、発見したことがどんどんあふれだしてきました。イラストの上はメモでいっぱいです。
ところが、「ハジメ、これじゃ、たくさんありすぎてよくわからないよ!」とズビ。せっかくたくさんメモにまとめたのに、そう言われて「ガーン!」とショックを受けるハジメ。「うーん。どうしよう」と考えこむハジメに、「このままだと、またみんなにおこられちゃうよ~。」とズビ。前に、家のまわりの地図をつくったときに、星の人たちに『なんか見づらくない?』『字と絵が多すぎてわかりにくいよ~』と言われたことがあったのです(第2回「コノマチの地図をつくれ!」より)。「う~ん、何かいい方法(ほうほう)はないかなぁ?」とこまってしまう二人。すると、どこからかへんな音が聞こえてきました。「ひょ~ ひょ~」という人の声みたいです。「何だろう?」とハジメがまどを開けて外を見ると…。
「ひょ~、ひょ~、ひょ~」と言いながら、手をたて横に動かしているなぞのおじさんがいました。おじさんは、「ひょ、ひょ、ひょ、ひょ~う、ひょ~う!」と決めポーズをして去っていきます。「何だ、今のおじさん?」と首をかしげる二人。ハジメはなぞのおじさんのまねをして、「ひょ~、ひょ、ひょ…」と手をたて横に動かしてみます。すると、「ああっ! 表だよ、表!」と気がつきました。「このたくさんのメモを表にして整理すればいいんだ!」ハジメが説明(せつめい)します。「表っていうのは…」とスケッチブックにたて横の線を引いて表を書きました。「このわくの中に、調べてきたことをまとめるんだよ。」
民奈野市のとくちょうてきな場所ごとに建物(たてもの)や人のようすをまとめる「表」を作ります。「表のこの白いところに、ぼくらが調べたマチのようすを入れていくんだよ。」とハジメ。たとえば、『いろいろなお店の集まった商店街(がい)があった』というメモは、『駅のまわり』の『たてもののようす』のわくに。『公共(こうきょう)しせつがたくさんあった』というメモは、『まちの中心』の『たてもののようす』。バスやタクシーは、『駅のまわり』の『乗り物のようす』です。「なるほどなぁ~。」と感心するズビ。『パン屋さんのあんぱんはおいしいぞ!』など、表に入れられなかったメモはべつのところにまとめました。
整理したメモのなかからとくにつたえたいことをえらんでみると、民奈野市の特色(とくしょく)やいいところがまとまった表ができました。『駅のまわり』には、乗り物を利用(りよう)する人が多くいて、人がたくさん集まるのでお店が集まった商店街(がい)もありました。『川のまわり』では、上流には山があり、中流には田んぼがありました。川のゴールは、海でした。『港のまわり』では、大きな船がいました。工場がたくさんあって、そこではたらく人もおおぜいいました。「そうだ! この表に書いたことを地図にまとめれば、うまくつたわるんじゃないか?」とズビ。
そこでハジメが、表に書いたことを地図にまとめます。まず、民奈野市の形をかくと、「民奈野市っておもしろい形だったんだなぁ。鳥が羽を広げているみたいだぞ!」とズビ。地図をかいていると、ハジメが、「おい、ズビ! この地図にマンガをつけたらわかりやすくなるんじゃないかな!」とひらめきました。「マンガ? 何をマンガにするんだ?」と言われ、「緑がたくさんあった川のまわりはどうだ?」とハジメ。「いいなあ! ほかには、楽しいコーキョーシセツがいっぱいあるっていうのはどうだ?」とズビ。「おお、それもいいねえ! 三つめには、港にはいろいろな国から船がやってくるって、いいんじゃない?」とハジメ。
さいごに、地図に“キャッチコピー”をつけます。「なんだ? キャッチコピーって?」とふしぎそうなズビ。「これこれ」とハジメが取り出したのは、“オキナワ”のパンフレット。『青い海! 青い空! 自然(しぜん)がいっぱい!』とあります。キャッチコピーとは、とくにつたえたいことを短いことばであらわしたもの。それぞれのマンガにキャッチコピーをつけてみました。川の上流には、『ゆたかな自然』。町の中心には、『大人から子どもまで楽しめるしせつがいっぱい』。港には、『世界とつながる港』。民奈野市には、『みんなにほこれる民奈野市』。民奈野市のよさをアピールするハジメの自信(じしん)作の完成(かんせい)です。
「よーし、星に送ろう!」ズビが民奈野市のイラストを星に送ります。すると…、「民奈野市っていいところだなぁ」「この星も、楽しいマチにしよう!」「しよう! しよう!」と、民奈野市のみりょくがつたわりました。星の人たちもよろこんでくれました。するとハジメは、「あ~、青い空に青い海かぁ。」と沖縄(おきなわ)のパンフレットを見てつぶやいています。「おい、ハジメ、どうしたんだよ?」とズビ。でもハジメは、「大すきなあの子と、いっしょに行きたいなぁ~!」と、どんどん想像(そうぞう)がふくらんでいくようです。「あ~ぁ、頭の中は完全(かんぜん)に夏休みだなぁ…。」とあきれるズビでした。