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scene 01日常の食事の中心となる食べもの
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どの国にも、日常の食事の中心となる食べもの、「主食」があります。私たち日本人の主食は、お米。では、世界の人々はどうでしょう。南米ペルーの市場を見てみましょう。ペルーの人たちの主食。それは、じゃがいも。なんと数千種類あるともいわれています。一方、ケニアの陸上選手たちがトレーニングのあとに食べているのは、トウモロコシの粉から作られた『ウガリ』という食べもの。これがケニアの主食です。トウモロコシ、小麦、いも、米…。世界にはいろいろな主食があります。でも、どうして国や地域によって違いがあるのでしょう。そこで今回の疑問、『世界にはどうしてさまざまな主食があるの?』

scene 02お米を主食とする地域が多いアジア
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世界の主食の分布を表した図を見ると、お米や小麦、トウモロコシやいもなど、主食とされているものが地域によって違うのがわかります。私たちの住むアジアを見ると、お米を主食としている地域が多くなっています。どうしてなのでしょう。まずは、気候が主食に与える影響を見てみましょう。たとえばベトナム。大衆食堂で人気の料理は、米の粉といもを混ぜて作った蒸し餃子や、米粉で作られた麺、フォー。そして、米粉とココナッツオイルのデザート。すべてにお米が使われています。

scene 03高温多湿な地域は稲作が盛ん
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ベトナム北部に広がる農地には、山を切り開いて作られた田んぼ「棚田」が広がっています。民族衣装を着て田植えをしているのは、少数民族「モン族」の人たちです。この山岳地帯で300年にわたって稲作をしてきました。お米作りに必要なのは、年間の降水量1000mm以上。ベトナムは、5月から9月に雨が多く降る高温多湿な地域。だから、お米作りに適しています。ベトナム南部では一年に3回もお米がとれる地域もあります。アジアでは、東アジアから南アジアにかけて雨が多く降るので、稲作が盛んなのです。

scene 04一口メモ――アフリカでお米が主食?
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実は意外な国でもお米を主食としています。それは、アフリカ大陸の東の海にあるマダガスカル。首都アンタナナリボを訪れてみると、町で人気の料理は、フランス語で「ボル・ランベルセ(さかさま丼)」。ボウルの中に目玉焼きと野菜や肉を入れ、てんこ盛りのごはんを乗せ、最後にボウルの中身をお皿の上に引っくり返すとできあがります。マダガスカルでとても人気の料理だそうです。なぜマダガスカルではお米が主食かというと、地域によっては年間降水量が3000mmを超え、アフリカのなかでも降水量が多い。そのため昔からマダガスカルの人は、稲作をしてお米を主食としてきたのです。

scene 05アジアの乾燥地域では
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実は、アジアでも雨の少ないところがあります。中国内陸部から北部に広がる乾燥した地域。年間降水量はおよそ400mm。そこで栽培されているのは、小麦です。小麦は年間降水量1000mm以下という乾燥した場所で栽培するのに適しています。この地域でよく食べられるのは、ラーメン。中国では同じ国でも、降水量の多い南部ではお米を主食とし、乾燥した北部では小麦を主食としているのです。国土の7割が乾燥気候のオーストラリアでも、やはり小麦。年間およそ2500万トンを生産しています。オーストラリアでは主食として、小麦を使ったパンやパスタなどが食べられています。

scene 06高山気候という厳しい環境では
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次は、人々の知恵から生まれた主食について見てみましょう。南米ペルー、標高4500mのパルキヤの谷。なんと、富士山より高いところに人が住んでいます。ここは高山気候。雨がほとんど降らず、昼夜の温度差も激しいところです。こうした厳しい環境のなかで育つ作物はほとんどありません。ここに住む人たちは一体何を食べているのでしょう。それは、じゃがいも。ペルーの人たちは、古くからじゃがいもを主食としてきました。じゃがいもはアンデス山脈が原産地。でも、なぜこんな厳しい環境でじゃがいもは育つことができるのでしょう。

scene 07野生のじゃがいもを食べる工夫
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その秘密をにぎるのが、標高4000m以上の高山にすむ、ビクーニャです。地面一面のビクーニャの糞。この糞を栄養として、野生のじゃがいもは育つことができます。でも、このままでは食べられません。野生のじゃがいもには、人間にとって有害な物質が含まれているからです。それでもなんとか食べようと、古来、ペルーの人々は知恵を絞りました。高山気候の特徴である昼夜の温度差を利用すれば、水分を含んだじゃがいもができます。そのじゃがいもを足で踏みつけると、水分と一緒に毒素も出ます。こうしてできた乾燥じゃがいも「チューニョ」は、10年も保存できる食料になりました。

scene 08ツンドラ気候で暮らす人々は
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ほかにも、厳しい環境で暮らす人々がいます。北極圏にあるグリーンランドで暮らしているのは、イヌイットと呼ばれる先住民たち。ツンドラ気候と呼ばれるこの地域は、氷と雪に覆われ、農耕ができません。彼らの主食はアザラシなどの生肉。先祖代々食べてきました。新鮮な生肉を食べることには重要な意味があります。生肉にはたんぱく質だけでなく、ビタミンが多く含まれているため、野菜や果物がなくても健康を保つことができました。厳しい環境のなかでも知恵や工夫で自分たちに適した主食を見つけ、生き延びてきた歴史があったのです。

scene 09気候や環境の違い、人々の知恵と工夫
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今回の疑問、『世界にはどうしてさまざまな主食があるの?』。それは、地域の気候や環境が違い、そこには、人々の知恵と工夫があったからです。このほかに、たとえば衣服や住居などには、気候や環境とどんなつながりがあるのでしょう。考えてみてください。

10min.ボックス  地理
世界にはどうしてさまざまな主食があるの?~世界の人々の生活と環境~
世界各地の主食は米や小麦を使ったパンやパスタ、とうもろこしなど、地域や文化、歴史によりさまざまある。なぜ違いがあるのか、「気候」などの「見方」をもとに探る。
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