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オープニング
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(オープニングタイトル)

scene 01“人間らしく幸せに生きる権利”
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今日のテーマは…、「ずばり! 人権です!」とダルさん。「“人権”ってなんだ?」とタイイクが言いました。「簡単にいえば、“人間らしく幸せに生きる権利”のこと」とダルさん。「そんなの当たり前じゃない。人間だもの」とタイイク。すると、「そう思うだろう? でも、憲法で保障されているからこそ、タイイクも自分の歌いたいことを歌えたりできるんだよ」とダルさんが言いました。「ホントに?」。「ほんとに!」。

scene 02基本的人権とは?
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基本的人権とは、人が平等に扱われ、自分の意思で自由に生きることができる、生まれながらに持つ権利のことです。日本国憲法では、「すべての国民は個人として尊重され、法の下に平等である」とされています。具体的に言うと、自由にものを考えたり、それを人に伝えたりできる権利や、いきなり逮捕されたり、奴隷のように扱われたりしない権利。自分で職業を選んで働き、それで得た収入を自由に使ってよいという権利などがあります。また、みんなが今学校で学べるのも、基本的人権の一つ、教育を受ける権利があるからです。そして、このような基本的人権がちゃんと守られるように、政治に参加することができます。国民の代表を選ぶ権利である選挙権は、18歳以上のすべての国民に認められているのです。

scene 03当たり前のことのような気がするけれど…
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「なるほどね~。でも、やっぱりどれも当たり前のような気がする」とタイイクが言います。「それが当たり前じゃないんだよ」とダルさん。「全部守られていなかったことがあるから、わざわざ憲法に書いたんだ。それに、憲法に書かれているからといって、油断はできないんだよ」と言いました。「どういうこと?」とタイイク。

scene 04患者・元患者が国を訴えた裁判
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憲法に違反した法律で人権を侵害されたとして、国を訴えた裁判の判決が、2001年にありました。原告は、ハンセン病の患者と元患者さんたちです。実はつい最近まで、国家による人権侵害が行われていたのです。明治時代から国はハンセン病の患者を療養所に隔離する政策をとっていました。ハンセン病とは、病原菌により手足がまひしたり、目が見えなくなったり、皮膚に病的な変化が起こったりする病気。当時は恐ろしい伝染病だと信じられていました。そのため、発病したことがわかると警察などが来て連れて行かれ、家中を消毒されたりしました。

scene 05政府の隔離政策と世間の偏見
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当時、患者は療養所に隔離され、多くの人が、死ぬまでそこを出ることが許されませんでした。こうした隔離政策によって、ハンセン病は恐ろしいものだというイメージが植え付けられ、患者やその家族は激しい差別を受けました。1940年代になると、治療薬が開発され、ハンセン病は治る病気になりました。多くの患者が薬のおかげで完治しました。しかし、世間の偏見は変わらず、国も政策を変えなかったのです。

scene 06あらゆる基本的人権が侵害されていた
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そのため、1950年代になっても、1万人以上が全国各地の療養所に収容され続けました。療養所で元患者同士が結婚しようとすると、子どもができなくなる手術を強制されることもありました。療養所から脱走しようとしたり、言うことを聞かなかったりすると、独房に閉じ込められることもありました。実際に使われていた、「特別病室」と呼ばれる部屋。特別病室は四重の扉で閉ざされていました。広さは四畳ほど。小さな窓からかすかに明かりが入るのみ。ここに閉じ込められたまま亡くなった患者さんもいたといいます。憲法で保障されているはずのありとあらゆる基本的人権が侵害されていたのです。

scene 07100年以上続いた人権侵害がようやく終わった
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2001年、国のこうした政策は憲法違反だとする、患者、元患者さんの訴えがようやく認められました。国は過去の過ちを認めて謝罪。元患者さんたちの名誉回復と、保障に努めることを約束しました。その後、元患者さんが生活しやすいように手助けしたり、偏見をなくしたりするための法律もつくられました。100年以上続いた国家による人権侵害がようやく終わったのです。

scene 08“インターネットと人権”
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タイイクがだまりこんでいます。「どうした? タイイク」とダルさんに聞かれ、「つい最近までこんな人権侵害があったなんて…。ショックだなぁ」とタイイク。「人権侵害って、ひとごとではないんだよ。タイイクだって、気づかないうちに人権を侵害してしまうこともあるかもよ」とダルさん。『え、ぼくが?』。――世の中の変化とともに、過去にはなかったような人権侵害が起こるようになりました。最近注目されているのは、情報化に伴う“インターネットと人権”の関係です。簡単に情報を得たり、情報を発信しやすくなったりする一方で、心ない書き込みによって名誉が傷つけられるといった人権侵害が増えています。

scene 09瞬く間に広がるデマ・中傷の書き込み
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タレントのスマイリーキクチさんも被害者の一人。突然、身に覚えのない犯罪の加害者だとネットに書き込まれ、個人情報が世間にさらされてしまったのです。デマを信じた人たちの書き込みは瞬く間に広がり、仕事のキャンセルが相次ぎました。ネットに一度書き込まれたものをすべて消すことはできません。書き込みを見た人が、また脅しの書き込みをする。被害は長年にわたって続きました。「まったく知らない人間から『殺す』と言われ、しかも僕のことを凶悪な殺人事件の犯人だと思い込んでいる。そこがいちばんの恐怖感でした」(スマイリーキクチさん)。

scene 10身のまわりの“人権”に目を向けてみよう
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「そうか…。不用意な書き込みが人の幸せを奪っちゃうこと、あるよね」とタイイク。「情報社会ならではの人権侵害だよね」とダルさん。するとタイイクが、「ねえ、ダルさん。もしかして気づいてないだけで、ほかにも守らなくちゃいけない人権ってあるのかな」と言います。「おおーっ、タイイク。いいところに目をつけたね!」とダルさんが言いました。「ダルさん、今日は“人権”について語り合おうよ」。「とことんつきあうぞ!」。

アクティブ10 公民
“人権”ってなんだ?
憲法で保障されているにも関わらず「人権」を侵害する事件は今もなくならない。ハンセン病患者への差別などを例に、人権と人権侵害について考える。