チャプターあらすじを読む
scene 01戦争の背景に切り込む!
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とある歴史番組のオンライン会議。「次のテーマなんだけど」とプロデューサーの飯塚(いいづか)が言うと、ディレクターの豊本(とよもと)が「戦争をテーマにしようかと。昭和の初めって、日本はずっと戦争をしてたじゃないですか」とアイデアを出します。「日中戦争に太平洋戦争ね…」と飯塚。「そこでズバリ! 日本はなぜ日中戦争に? その背景に切り込む! なんてどうですか?」と豊本が言います。「でも難しくない?」と言う飯塚に、すかさず「レキデリさん、もう呼んじゃってます」と豊本。するとタイミングよくレキデリ配達員の角田(かくた)がオンライン会議に参加してきました。

scene 02資料No.1『1936年に作られた世界地図』
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「日中戦争から太平洋戦争。この長い戦争へ向かう大きなきっかけとなった地域があります。それがこちらです」と言う角田が見せたのは、資料番号1『1936(昭和11)年に作られた世界地図』です。「日本周辺に注目してください。お気づきのことございませんか?」と角田。すると、「あ、朝鮮半島、それに台湾も日本領になってる」と豊本が気づきました。「ナイス、でも、もう一つ…」と角田。「あ! 満州国?」と飯塚。「ナイス読み取り! 戦争に突入するきっかけとなったのが、日本が作った満州国なんです」と角田が言いました。「日本が作った?」。

scene 03日本軍が主導して作った満州国
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「満州国とは、1932年に、中国の満州に駐留していた日本軍が主導して作った国です。軍は清王朝の元皇帝、溥儀(ふぎ)を国家元首にしました」と角田。「なんで軍はこんなことを?」と言う豊本に、「資源とか利益を守るためじゃない?」と飯塚。すると、「ナイス探究! 日本は、領土の一部を借りる権利や、鉄道の経営権などさまざまな権利を持っていました。当時の中国は、こうした権利を取り戻そうとしていました」と角田。「だからって、何も国まで作らなくても。日本にいる国民はどう思ってたんですかね?」と豊本が疑問に思います。すると、「素晴らしい! その質問、待ってたんですよ!」と角田が言いました。

scene 04資料No.2『1932年3月9日の新聞記事』
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続いて角田が見せたのは、資料番号2『1932年3月9日の新聞記事』です。満州国で行われた建国式の様子を伝えています。記事の見出しには、『満州国実現の第一歩 きょう栄えある建国式』とあります。角田が本文の一部を読みます。「多年平和と自由を求めてやまなかった満蒙(まんもう)三千万民衆の待望はきょういよいよその実現の第一歩を踏出す」。すると飯塚が、「こじつけというか、日本に都合よく解釈しているような…」と言います。豊本が挿絵に気がつきました。「『待望久し! 満州国の生誕』ですって。お祝いムードがすごい。大歓迎って感じですね」。すると角田が、「そこまでは言いきれないかもしれませんね」と言いました。「なんで?」。

scene 05「機会均等 門戸開放」とは?
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「当時は、治安維持法もありましたから、政府に都合の悪い考えや運動は取り締まられていたようですね」と角田。飯塚は「当時の報道を鵜呑みにはできないってことか。」と言うと、挿絵の文字に注目します。「あ、何か字が書いてある。何て書いてあるんだろう?」「『機会均等 門戸開放』と書いてあります。満州国を相手にだれもが自由に貿易ができるようになった、という意味のようです」と角田。「だれもが自由に貿易?」とけげんそうな飯塚。「当時、アメリカの株価大暴落をきっかけに、世界各国は不況に見舞われていました。『世界恐慌』といわれています。こちらをご覧ください」。と角田が見せたのは…。

scene 06資料No.3『世界恐慌後の貿易エリア』
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資料番号3『世界恐慌後の貿易エリア』。世界恐慌後の主な国の貿易エリアを示した地図です。不況になった欧米諸国は、貿易相手を、関税がコントロールできる植民地などに制限していました。「なんで制限しちゃうの?」と飯塚。「たとえば、外国から安い肉が入ってくる。不況だと、国産の高い肉は売れなくなりますよね。生産者は困ります。だから政府は、外国産に高い関税をかけて、売れないようにする。こうすると…」と角田が言いかけると、「国内の産業を守れますね」と豊本。「つまり、自分の国と植民地だけで経済を回そうってことか。植民地が多い国ならではの発想だね」と飯塚が言いました。

scene 07満州国建国の背景にある日本の経済事情
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「ということは、当時の日本は貿易できる相手が限られていたということですよね?」と豊本。「ナイス探究! 日本は、輸出品の主力である生糸が売れず、深刻な不況に陥っていましたあちこちで会社が倒産し、自殺する人も多かったようです。でも、満州国ができると…」と角田が言いかけると、「景気がよくなるぞ! ってことか」と飯塚。「だからこんなに歓迎ムードなんだ」と豊本。「でも勝手に国なんか作っちゃったらさすがに中国は納得しないんじゃない?」と飯塚が言うと、「その通り! 中国は国際連盟に訴えます。それを受けた連盟は、満州国を認めないと決議します。こちらをご覧ください」と角田が見せたのは…。

scene 08国際連盟からの脱退
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「当時販売されていた絵葉書です」と角田。「脱退? あ、国際連盟から脱退しちゃったんだ!」と驚く飯塚。「『こんな風呂に入っていられるかい』って書いてありますよ」と豊本。さらに、「風呂にいるのは欧米諸国の人たちだけど、鬼になっちゃってる!」と飯塚。「貿易を制限するおまえたちこそ鬼だ、出てってやる! って感じですね」と豊本。「絵葉書になるくらいだから国民の多くがそう思っていたのかもしれないね。何にせよ日本は世界から孤立しちゃったわけだ」と飯塚が言うと、豊本が「こうなったらね日本は満州国を守るしか道はありませんよ」「あ!」。二人は何かに気づいたようです。

scene 09資料から読み取れたことは
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二人が資料から読み取ったことをまとめます。「1932年、日本軍が中国での利益を守ろうと、満州国を建国」。「その背景には、深刻な不況にあえぐ国民の期待があった」。「中国(中華民国)と対立を深めた日本は、国際連盟からも脱退。孤立した日本は、満州国を守る名目で軍事行動を起こし、日中戦争に突入していった」。「て、ことなんじゃない!?」と飯塚が言うと、「そう…かもしれませんね!」と角田。

scene 10戦争によって不況を脱した日本はその後…
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「ちなみに、満州国建国後、軍事物資の需要が高まり、国内は好景気にわいたそうです」と角田が付け加えました。「戦争によって不況を脱したんだ」と飯塚。「なんか皮肉ですね。戦争で失ったもののほうが大きすぎますよ」と豊本。さらに豊本が尋ねます。「日中戦争に続いて、日本は太平洋戦争に突入しますよね。それはなぜなんですかね」。「いい疑問ですねぇ。それは…」と角田。「それは…?」と身を乗り出す飯塚と豊本。すると角田が、「別の課題なので、別途注文いただけますか」と退出してしまいました。

アクティブ10 レキデリ
日本はなぜ日中戦争に?
歴史資料をオンラインでお届け!?今回のテーマは、ズバリ!「日本はなぜ日中戦争に?」。『満州国』建国当時の日本国内の様子がわかる新聞記事から読み解きます。