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scene 01秀吉の時代より100年以上も前に石垣が?
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とある歴史番組のオンライン会議。プロデューサーの飯塚(いいづか)が「次回のテーマなんだけど…」と言うと、ディレクターの豊本(とよもと)が沖縄から届いた絵葉書を見せました。「グスク(城)?」と飯塚。「正解。日本で石垣造りが普及するのは豊臣秀吉が天下を統一したくらいから。沖縄ではそれより100年以上も早く石垣が築かれ、栄えていたみたいなんですよ」と豊本。「そのころ沖縄は『琉球』と呼ばれてたんだよね」と飯塚。「そこで次のテーマは、ズバリ! 『室町時代 琉球はなぜ栄えていた?』なんてどうです?」と豊本。さっそくレキデリを呼びました。

scene 02資料No.1『万国津梁の鐘』
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レキデリ配達員の角田(かくた)がオンライン会議に加わりました。「ご注文ありがとうございます。今日のご注文は、『室町時代 琉球はなぜ栄えていた?』ですよね?」。角田が見せたのは、『万国津梁(ばんこくしんりょう)の鐘』。15世紀半ば、琉球を治めていた国王の命令で造られた釣り鐘です。表面には当時の琉球の様子が記されています。「現代語訳しますと、『琉球は明と日本のあいだにあり、他の国々とも貿易をしやすい場所にある。そのため、船を使ってあらゆる国の橋渡しとなり、外国からの宝物であふれていた』」と角田。

scene 03東南アジアの国々との“中継貿易”
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「船であらゆる国の橋渡しとなり外国からの宝物であふれていたって、琉球は一体どんな商売をしてたんですかね?」と豊本。すると、「こちらご覧下さい」と角田が資料を取り出します。当時の琉球が貿易をしていた国を表した地図です。「当時、アジアでいちばん栄えていた明(みん)、それ以外に朝鮮や日本、東南アジアの国とも貿易してたんだね」と飯塚。「でもたくさんの国と貿易することでどうしてもうかるんですかね?」と豊本が不思議に思います。「当時の琉球は、中継貿易を行っていました。簡単に言うと、“転売”ですね。たとえば、琉球が明から手に入れた品物を日本に売るという貿易のことですね」と角田。

scene 04わざわざ琉球を介して貿易したのは?
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「あー、わかった。安く仕入れて高く売る。その差額でもうけてたってことか」と飯塚。「ナイス探究!」と角田。すると、「でもちょっと待って下さい。わざわざ琉球から高い品物を買うっておかしくないですか? 日本は明とも近いし、直接買えばいいじゃないですか」と豊本が言います。飯塚も、「そうだよね。朝鮮や東南アジアの国だって明とは近いわけだから、直接買うほうが得だよね」と言います。すると、「実は当時、日本を含め他の国々は、明と自由に貿易ができない理由があったんですね」と角田が伝えます。

scene 05資料No.2『倭寇図巻』
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角田が次に見せたのは、『倭寇図巻(わこうずかん)』。明王朝の周辺の海には「倭寇」と呼ばれる、密貿易を行う商人が押し寄せていました。明は兵士を出して取り締まりを行っていました。「当時の明は、『朝貢(ちょうこう)貿易』といって、国ごとに、数年に一回、10年に一回と、貿易の回数を割り当てていました」と角田。「10年に一回って、少ないよね。だからルールを無視して貿易をしようとする商人が現れたってことかな」と飯塚。「とは言っても、野放しにしていたら明のメンツは丸つぶれですよ」と豊本。「明は、朝貢貿易で訪れる船以外を徹底的に追い払うようになったそうです」と角田。

scene 06琉球だけが明の特別待遇
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「倭寇のような商人から品物が入ってこなくなったから、琉球を通して買ったってこと?」と飯塚。「琉球もほかの国と同じで、貿易の回数を割り当てられてたんじゃないですか?」と豊本。すると角田が、「琉球は比較的ひんぱんに明と貿易ができたそうです」と言いました。「なんで琉球だけ特別待遇だったんですかね?」と意外そうな豊本に、「明がどうしても手に入れたかったものを琉球が持ってたんじゃないかな」と飯塚が言います。すると、「ナイス着眼点!」と角田。「当時の琉球が貿易していた主な品物をまとめていますのでこちらをご覧下さい」と貿易の資料を呼び出しました。

scene 07明が琉球を優遇したわけは
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資料の図を見て、「琉球から明に馬と硫黄が輸出されてますよね。これが優遇される理由ですか?」と豊本。「当時、明は、海で倭寇と戦うだけではなく、国境を接しているモンゴルとも対立関係にありました」と角田。すると、「あ、わかった! モンゴルとの戦いに備えて、馬と、火薬の原料になる硫黄が欲しかったんだ」と飯塚。ここで「ナイス探究!」と角田。豊本も、「だからほかの国は琉球を介して明から多くの品物を手に入れようとしたってことですね。実際に、明の銅銭が日本に、陶磁器が東南アジアに渡ってますよ」と気がつきました。再び「ナイス探究!」と角田。

scene 08経済的結びつきから独自の文化が
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「それにしても、中継貿易をやっていた琉球には外国からいろいろな物が入ってきていたんですね」と豊本は感心します。「ここに書かれているもの以外にも貴重なものがたくさん入ってきたと考えられています。琉球に運び込まれたものが、形を変えて現在の沖縄文化になっているものがあります」と角田。たとえば、沖縄を代表する飲み物「泡盛(※沖縄のお酒)」。楽器の「三線(さんしん)」。そして色あざやかな配色が特徴の「紅型(びんがた)」と呼ばれる染め物です。「すごいねぇ。地域の経済的な結びつきから独自の文化も生まれていったんだね。だから琉球は…」と言いかけたところで、飯塚は「あ!」と何かに気づきました。

scene 09資料から読み取れたことは
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資料から読み取ったことをまとめると…。「室町時代の琉球は、中継貿易で莫大(ばくだい)な経済的利益を得ていた」。「その理由の一つは、明が倭寇の取り締まりを強化し、各国との貿易を制限する一方で、琉球との貿易だけは優遇していたからだ」。「さらに、中継ぎ貿易でさまざまな国の品物が入ってきたことで、独自の文化を発展させていくことにもなった」。「て、ことかな!?」と飯塚が言いました。すると、「そう…かもしれませんね!」と角田。「私、答えはわからないから。すみませんね」。

scene 1016世紀、琉球の存在をおびやかす存在が…
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「でもこれだけ栄えていたら琉球は安泰。こわいものなしですよね」と豊本。すると、「そうとばかりは言えないんですね」と角田が言いました。「このあと、琉球の存在をおびやかす存在が現れるんです。16世紀になってから、東南アジアの国に大海原を航海してやってくる…」。そのとき、角田を呼び出すアラーム音が鳴ります。「ああっ、鳴っちゃった! ごめんなさい。失礼しまーす!」。角田はモヤモヤした気持ちの二人を置いてオンライン会議から退出していきました。豊本が続きを考えます。「16世紀になってから東南アジアの国々に大海原を航海してやってくる…」。そこで豊本の画面は固まってしまいました。

アクティブ10 レキデリ
室町時代 琉球はなぜ栄えていた?
今回のテーマは、ズバリ!「室町時代 琉球はなぜ栄えていた?」。知られざる琉球繁栄のなぞに、歴史資料デリバリー会社≪レキデリ≫が持ってきた資料から迫ります!

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