チャプターあらすじを読む
scene 01初めての普通選挙は1928年
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とある歴史番組の収録現場。プロデューサーの飯塚(いいづか)が「豊本(とよもと)ちゃん、何見てんの?」と聞くと、ディレクターの豊本は「おもしろい動画見つけたんですよ」とスマホ画面を見せます。それは、1928年に行われた初めての普通選挙の映像でした。「納税額に関係なく、25歳以上の男子なら誰でも投票できるようになったから、『普通選挙』と呼ばれたみたいですよ」と豊本。「女性は太平洋戦争のあとまで投票できなかったから完全な普通選挙とは言えないけど」と飯塚。「で、どうして普通選挙が成立したのか気になりません?」と豊本。

scene 02資料No.1『風刺画(1917年)』
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「お待たせしました。レキデリです」と、レキデリ配達員の角田(かくた)がやってきました。「今回のご注文は、『普通選挙はなぜ実現した?』についての資料ですよね?」。角田が見せたのは『風刺画』。大正時代の漫画雑誌に掲載された風刺画です。タイトルは、『鋤(すき)鍬(くわ)捨てて』。普通選挙法が実現したころの社会状況を表しています。

scene 03大正時代、日本の工業化が加速した
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「手前には畑とか田んぼがあるから農村かな? で、奥には工場がたくさんありますね」と豊本。「みんな農村から工場のほうへ歩いて行ってるよね」と飯塚。「働きに行ってるんですかね」。「でも、みんな荷物が多いから、引っ越ししてるんじゃない?」。「つまりどういうことですか?」と角田に言われ、「えーと待って。えー、大正時代、工業化が進んで都市の人口が増えた」と飯塚。すると、「ナイス探究!」と角田。「この時期起こっていた第一次世界大戦の影響で、外国から日本に工業製品の注文が殺到。日本の工業化が加速しました」と角田が説明します。

scene 04当時の農民は「小作料」を払って農業をしていた
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「都市で労働力をたくさん確保する必要が出てきたってことだね」と飯塚。すると角田が、「この時代、農村では、自分の土地を持っていない農民がたくさんいまして、小作料というお金を地主に払って農業をしていました」と説明します。「なるほどね。都市で働いたら小作料もないから、もっと豊かな暮らしができるって考えたのかも」と飯塚。「結局、豊かな暮らしを送れたんですか?」と豊本。すると、「ナイスクエスチョン! 続いての資料、見てみましょう」と角田が言いました。

scene 05資料No.2『争議参加者数の推移』
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都市で働く工場労働者は、集団で会社と争う運動「労働争議」を起こすようになりました。選挙権を持っていなかった彼らはデモをして、働く待遇の改善を求めたのです。次の資料は『争議参加者数の推移』。争議に参加した人数の変化を表したグラフです。「1917年に急増してるよね。なんで会社と争わなくちゃいけなかったんだろう?」と不思議に思う飯塚。「工業化が進んで仕事はたくさんあったはずですよね。何が不満だったんだろう?」と豊本も言います。「仕事が忙しくても給料が上がらなかったんじゃない? だから『給料上げろ!』っていう不満の声を挙げたんだよ」と飯塚。すると、「ナイス探究!」と角田。

scene 06労働争議に続く小作争議
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「大戦中、日本の景気はよくなって、物価は上がりました。しかし給料はあまり上がらず、生活は苦しかったそうです」と角田が説明します。グラフを見ていた飯塚が、「こっちの『小作争議』って何なの?」ともう一つのデータを指差して尋ねました。「こちらは、労働争議の農村版ですね。農民が小作料を下げてほしいと要求した運動です」と角田。「なんで急に増え出してるんだろう?」と飯塚。「都市で工場労働者が運動を起こしていることを知って、農民たちも立ち上がったんじゃ?」と豊本。すると、「もしお二人がこのような集会に参加していたら、次にどんな行動をとりますか」と角田が尋ねました。

scene 07政治家に訴えたい
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「ぼくだったら政治家に訴えますね。国の言うことだったら聞いてくれるかもしれませんからね」と豊本。「だから自分たちにも選挙で投票させろって求めたんじゃないの?」と飯塚。「ナイス探究!」と角田。すると豊本が、「でもちょっといいですか。政治家は『はいわかりました』って選挙制度を簡単に変えてくれますかね?」と言います。「確かに。選挙権を持っていない人たちだから、無視したって影響なさそうだもんね」と飯塚。すると角田が、「実は、政治家たちも彼らの声を無視できない状況になっていくんです」と言いました。

scene 08資料No.3『普通選挙運動の新聞記事(1920年)』
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続いての資料は『普通選挙運動の新聞記事』。東京で開かれた大規模集会の様子を伝えています。「いかがでしょうか」と角田。「めちゃくちゃ盛り上がってる感じがわかりますね。『大旗を押し立てて普選の歌を高唱 万歳を三唱す』。見出しも盛り上がってる感じありますよ」と豊本。「ここ見て。これ、運動の告知じゃない?」。飯塚が『今夕六時 演説会』という記事を見つけて言いました。「ナイス着眼点! この日の夕方に大阪で行われる演説会の時間と場所、誰が演説するかが書かれているんですね」と角田。「メディアによって、日本中に普通選挙を求める声が広がっていったんじゃないですか?」と豊本が言います。

scene 09新聞・雑誌などメディアが発達した時代
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すると角田が、「こちらをご覧下さい」と資料を取り出しました。「こちら、この記事を出した新聞社の発行部数を表したグラフです」。「どんどん伸びてますね」と豊本。「後半は100万部突破してるからね」と飯塚も驚きます。「大正時代は新聞や雑誌などメディアが発達した時代でした」と角田。そこで飯塚は、「苦しい生活を打破するために、みんなで選挙権を勝ち取りたい…」と言いかけて、「あ!」と何かに気づきました。

scene 10資料から読み取れたことは
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資料から読み取ったことをまとめると…。「大正時代、選挙資格から納税条件を撤廃した普通選挙法が実現した」。「そのきっかけは、工場労働者や土地を持たない農民が、生活の改善を求め、政治参加を要求する運動を起こしたこと」。「その後、メディアを通じて『普通選挙』を求める運動が全国に広まり国民のムーブメントに。ついに政府を動かした」。「て、ことなんじゃない!?」と言う飯塚。すると、「そう! …です! 正解!」と角田。「え、え?」。「やったー! とうとう」と大喜びの飯塚。「ただ、歴史は複雑な要素がからみあって動いてますから、細かく見るとほかにも要因はありますけどね」と角田が付け加えました。

scene 11『治安維持法』の背景となった出来事が…
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「にしても、国民の声で普通選挙が実現した。これは大きな一歩ですよね」と豊本。すると角田が、「ただですね、『普通選挙法』と同時に、政府に都合の悪い主張を行う社会運動を取り締まる『治安維持法』が作られているんですよ」と言いました。「政府は、国民の力が強くなりすぎて国がめちゃくちゃになることを恐れたんですね」と角田。おおげさだと言う二人に、「いやいや、政府をそこまで怖がらせるある出来事が少し前にロシ…」。そのとき、角田を呼び出すアラーム音が鳴ります。「あーっ! ということで時間が。ロシ…あー!」。角田は行ってしまいました。「ロシアで何だよ」。「ロシアといえば、ボルシチ、ピロシキ…」。

アクティブ10 レキデリ
普通選挙はなぜ実現した?
今回のテーマは、大正時代に実現した普通選挙!納税条件がなくなり満25歳以上のすべての男子が選挙で投票できるようになった理由を、当時の社会情勢から探る!