チャプターあらすじを読む
scene 01兵器作りに国民も協力していた
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とある歴史番組の収録現場。ディレクターの豊本(とよもと)が「この写真、何の写真かわかりますか?」とプロデューサーの飯塚(いいづか)に写真を見せました。「戦時中? バケツにやかん、スコップ、三輪車…金属を集めてるの?」と飯塚。「ナイス探究! 太平洋戦争中、金属が不足していて国民から金属を回収する写真なんです」と豊本。「兵器作りのために国民も協力してたんだね」。「で、次回のテーマはズバリ! 『太平洋戦争でなぜ国民も戦った?』なんてどうです?」と言う豊本ですが、「どうして?」と聞かれ、答えられません。

scene 02資料No.1『ミッドウェー海戦の様子を伝える新聞記事』 
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「お待たせしました。レキデリです」と、レキデリ配達員の角田(かくた)がやってきました。「ご注文は、『太平洋戦争でなぜ国民も戦ったか?』についての資料ですね? 大人から子どもまで一般人も戦ったのが太平洋戦争ですからねぇ。最初の資料はこちらです」。角田が見せたのは、1942年に起きたミッドウェー海戦の様子を伝える新聞記事です。真珠湾攻撃から始まった太平洋戦争。快進撃を続けてきた日本軍の戦況が大きく変わった様子を伝えています。

scene 03「日本の圧倒的勝利」を伝える記事と事実
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「見出しは、『敵根拠地を強襲』って書いてあるね。なんだか日本が戦力で圧倒したみたいだね」と飯塚。「アメリカの空母が2隻撃沈。で、日本は2隻の空母と巡洋艦が損害。日本の圧倒的勝利じゃないですか」と豊本。すると、「ナイス読み取り!」と角田。「この新聞記事を見るかぎりでは、日本が勝利したように思えますよね。でも実際の結果は、こちらになります」。角田が見せたのは、新聞記事と事実を対比させたデータ。「左側は新聞記事の発表。そして右側が事実です」。すると、「あれ? 新聞の記事ではアメリカの空母は2隻沈没なのに、事実は1隻ですよ」と豊本が気づきました。

scene 04なぜ正確ではない記事を?
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「日本は実際には5隻も沈没していた? 完全に日本の負け戦じゃん」と飯塚。すると、「ナイス読み取り!」と角田。「実はミッドウェー海戦は、今まで連勝を続けてきた日本軍が初めて大敗した戦いだったんです」。と角田。「でも、なんで正確ではない記事を書いたんだろう?」と飯塚。「言えない事情でもあったんですかね」と豊本。「いいですねぇ。その探究心いいですねぇ。歴史のミステリーを解明する、そこにつながるわけですよ。わたしの大好きな歴史家にはこういう言葉があります。探究心…」と力が入る角田。でも飯塚に、「もういいから資料いって!」と言われてしまいました。

scene 05資料No.2『日本軍が戦った地域の地図』 
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続いて角田が見せた資料は、太平洋戦争で日本軍が戦った地域を表した地図です。ミッドウェー海戦のあと日本軍が侵攻していた地域を赤枠で示しています。「太平洋戦争って、日本から離れた中国や東南アジア、それに太平洋まで戦いが広がっていたんだね」と飯塚。「そういう場所で戦いが行われていたら、国民はその状況を知ることなんてできませんよね。だから、負けているという情報は国民に言いたくないので、不正確な情報を流した」と分析する豊本。すると、「チョットだけナイス探究!」と角田が言いました。

scene 06記事の原案を作っていた大本営報道部
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「確かに、戦っている軍人は負けを伝えたくないかもしれませんが、それだけではないんですね。カギを握るのはこの人!」と角田が写真を取り出しました。「だれ?」。「新聞記事の原案を作っていました、大本営元報道部の冨永謙吾(とみなが・けんご)さんです」と角田が言います。そして、「冨永さん、こういう文章を残しているんですよ」と見せたのは、『朝九時ごろ、作戦室に入った発表主務部員は室内の空気が重苦しくいつもの顔ぶれが一言も語らず黙りこくっているのに気がついた』という証言でした。「なるほどね。軍人にとってもミッドウェー海戦で負けたのは相当ショックだったんだね」と飯塚。

scene 07国民の士気を下げないために
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すると豊本が、「わかった! 国民だって負けた事実を知ればショックなんですよ。国民の士気が下がると思ったのでは?!」と言いました。すると、「ナイス探究!」と角田。「冨永さんたちは上層部から、そのまま放送すると国民の士気が下がると指摘され、日本が有利になっているような記事にしたそうです」と角田が説明します。「だから事実と異なった記事が出たんだね」と納得する飯塚。「国民はどうなっていったかと言いますと、こちらの資料をご覧下さい」と角田が見せたのは…。

scene 08資料No.3『戦時中の国民生活』
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戦時中の国民生活を写した写真。戦争遂行のために労働力として動員される女性、軍事訓練を行う子どもたちの姿が映し出されています。「女性が大勢で何か作っているみたいだね」と飯塚。「よく見ると、飛行機の翼?」と豊本。すると、「ナイス着眼点! こちらは、航空機工場で働く女性です。戦闘機を作っています」と角田。「そうか。成人の男性は次々に戦場に送り込まれたから、残された女性が兵器を作っていたんだね。しかも女性が銃を持って訓練しているみたいだよ」と飯塚が言いました。「この銃は模型の銃ではあるんですが、戦う訓練は行われていました」と角田が言います。

scene 09女性も子どもも軍事訓練
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すると豊本が、「飯塚さん、女性だけじゃない。子どもたちも戦う訓練してますよ」と写真を見て言いました。「こちらは、今でいう小学生の授業風景の写真です」と角田が言ったので、「え? 小学生の授業風景なの、これ?」と飯塚はびっくり。「はい。子どもたちも軍事訓練をしていました」と角田。「小学校でも将来の戦いに備えて軍事訓練するなんて、今じゃ考えられないね」と飯塚。「なんだか胸が痛くなってきましたよ」と豊本が言います。「これはおれも胸痛い…」と言いかけて、飯塚は「あ!」と何かに気づきました。

scene 10資料から読み取れたことは
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資料から読み取ったことをまとめると…。「太平洋戦争中、戦争に関する情報については、さまざまな情報統制が行われていた」。「その理由の一つは、国民の士気を下げずに、一致団結して戦争に邁進(まいしん)させるためだった」。「その結果、女性や子どもたちも、お国のためにと戦争に総動員されるようになった」。「て、ことなんじゃない!?」と言う飯塚。すると、「そう! …アッ、かもしれません!」と角田が言いました。

scene 11やがて国民も疑問に思うように 
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「でもミッドウェー海戦から日本軍は負けていくわけですよね。そのことに気がつく日本人っていなかったんですかね?」と不思議に思う豊本。「確かにね。戦争が長引いて物資が不足して、バケツややかんを集め始めたらなんとなく気づく気がするけどね」と飯塚も言います。すると、「ナイスするどい!」と角田。「いくら勝っているように報道しても、国民は疑問に思ったんですね」と豊本が言いました。「いずれにせよ、情報がコントロールされるってこわいなぁ」と飯塚。

scene 12私たちも情報に操られている…?
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すると角田が、「実は、今の我々も知らず知らずのうちに情報がコントロールされているかもしれませんからね。ほら、ネットにはね、フェイク…」。そのとき、角田を呼び出すアラーム音が鳴ります。「あーっ! ごめんなさい。だめだ、行かなきゃ。だめだ~」。角田は行ってしまいました。「フェイクって?」と考える豊本。「ネットでさ、いろいろな情報が流れてるじゃない。トイレットペーパーが不足するって情報が流れて、みんな買いだめしたりとか」と飯塚。「僕たちも、情報に操られているかもしれませんね…」と急に真剣に考え込む豊本です。

アクティブ10 レキデリ
太平洋戦争でなぜ国民も戦った?
太平洋戦争は、軍人だけでなく、全国民が総動員された戦いだった。今回のテーマは、なぜ国民は「お国のために」と戦争に突き進んでいったのか?情報統制という視点で探る!