チャプターあらすじを読む
scene 01高度経済成長の“光と影”に迫る
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とある歴史番組の収録現場。プロデューサーの飯塚(いいづか)がディレクターの豊本(とよもと)に、「どうしたの? 番組で使った“三種の神器”の写真見入っちゃって」と言います。すると、「テレビ、冷蔵庫、洗濯機。高度経済成長の時代にみんなが豊かになって、一家に一台、あっという間に普及した。この時期、国民の所得が増えたことは知られていますけど、“光があれば影がある”って言うじゃありませんか。次のネタは『高度経済成長は国民に何をもたらしたか。その謎に迫る!』なんてどうです?」と豊本。「いいねぇ、光と影に迫る! 報道番組っぽい。資料配達してもらって」と言う飯塚に「もう呼んでます」。

scene 02資料No.1『駅弁のパッケージ』
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「お待たせしました。レキデリです」と、レキデリ配達員の角田(かくた)がやってきました。「ご注文は、『高度経済成長は国民に何をもたらした?』についての資料ですね? 最初は、こちらです!」。角田が見せたのは、『駅弁のパッケージ』です。高度経済成長期の1960年代中心に集めました。旅のお供の移り変わりを、60年代前半と後半に分けることで、社会の変化を垣間(かいま)見ることができます。

scene 031960年代の前半と後半を比べると…
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「今までいろんな資料を配達してもらったけど、これは予想外だったね。駅弁のパッケージか」と感心する飯塚。豊本も、「見てるだけでも面白い」と言います。「これ見て。『祝 東海道新幹線』だって!」と興奮する飯塚。「このころは新幹線開通してましたからねぇ。わっ、見て下さい、これ。東京オリンピックの記念弁当ですよ!」とさらに興奮する豊本。「聖火ランナーが描かれてるね。盛り上がってたんだねぇ。まさにこのランナーのように時代を駆け上がっていったんだね」と飯塚。すると角田が、「1965年以降に販売されたお弁当と比べて、何か気づくことございませんか」と言いました。

scene 04値段が倍以上に!
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「あ、写真を使うお弁当が出てきたよ」と飯塚。でも冷たく、「違います。デザイン以外に注目して下さい」と角田。「デザイン以外?」。すると豊本が、「あっ! 値段! 値段が倍以上上がってますよ!」と言いました。そこで「ナイス読み取り!」と角田。飯塚も、「本当だ! このころは100円とか150円でしょ。こっち300円とかだもん!」と気づきました。「10年ぐらいのあいだに倍以上ってすごくないですか」と豊本。「この時代は収入が増えただけじゃなくて、物価も上がっていったということなのかな」と飯塚が言います。すると、「ナイス探究!」と角田。

scene 05収入が増え、買う量が急激に増えた
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「物価上昇の原因にはいろいろな説がありますが、その一つを紹介しますと、物価は品物の量に比べて買う量が大幅に上回ると上がっていきます。この時代、日本では労働者の給料も上昇しました。収入が増え、買い物する量が急激に増えたことで物価が上がったと考えられます」と角田。「でもみんなの収入が上がっていったってことでしょ。じゃあ別に問題ないんじゃないの?」と飯塚。「職種によっては違いがあったんじゃないですかね。収入が上がらなかった職種は大変だったんじゃないんですか」と豊本が言います。「いいですね。探究が進んできましたね。続いての資料はグラフです!」と角田。

scene 06資料No.2『産業別の就業者数の推移』
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高度経済成長期の1950年代から70年代、産業ごとに働いていた人の数の推移を表した『産業別の就業者数の推移』のグラフ。「農林業がどんどん減っているね」と飯塚。「逆にほかの仕事は右肩上がり。製造業とサービス業がグンと伸びてますね」と豊本。「製造業は三種の神器の洗濯機、冷蔵庫、テレビなどを作る産業。サービス業にはそれらを販売するお店などが含まれます」と角田。「製造業やサービス業って都市の産業ですよね。農林業をしていた人たちが仕事を求めて都会に行っちゃったら、過疎の問題にもつながってきますよね」と豊本。「ナイス探究!」と角田。「でも逆に、都市では新しい仕事が生まれてイケイケだったってことだね」と飯塚が言うと、「そうとばかりは言えないんですよね…」と角田。

scene 07資料No.3『サザエさん』
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「続いての資料は、こちらです!」と角田が取り出したのは…、『サザエさん』。戦後、新聞連載の四コマ漫画からスタートした国民的作品『サザエさん』の、1970年の新聞に掲載された作品を用意しました。一コマ目、お客さんの目の前を虫が飛んでいます。二コマ目、サザエさんがプシューッと殺虫剤を噴きかけます。でも「アラきかない」とサザエさん。三コマ目、お客さんが「ハー」と息を虫に吹きかけると、虫はポトッと落ちました。四コマ目、「ひどいところにおすまいなんですネ!」とサザエさんが言うと、「ハイ」とはずかしそうにうつむくお客さん…。

scene 08当時の都市の様子は…
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「どうしてこんな作品が描かれたか」と角田が聞きます。「息を吐いてる人はサラリーマンっぽいよね」と飯塚。「都市で働いている人じゃないですかね」と豊本。ここで角田がヒントを出します。「当時の都市は、こんなことになっておりました」と写真を見せました。「こちらは、三重県四日市(よっかいち)市の子どもたちです」と角田。「みんなマスクしてるね」と飯塚。豊本が、「子どもたちの背景に、工場の煙突がいっぱい立ってますよ」と気づきました。「ほんとだ。あ、わかった、四日市ぜんそく? 産業化がどんどん進んでいって、都市で公害問題が起こったんだ」と飯塚。すると、角田は「ナイス探究!」。

scene 09全国で多発した公害問題 
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「次、こちらご覧下さい」と角田が取り出したのは、都市部で起こるようになった公害問題をまとめた地図です。「全国にこんなに公害問題ってあったんだ」と驚く飯塚。「大気汚染、水質汚濁、鉱毒…。都市では産業化が進んだ一方で、公害で苦しむ人が生まれたということですよね」と豊本。「高度経済成長でイケイケな時代に…あ!」と飯塚がひらめきました。

scene 10資料から読み取れたことは
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資料から読み取ったことをまとめると…。「高度経済成長の時代、国民の所得は増えたが、物価も上昇した」。「そのため、製造業やサービス業など、都市での収入のいい仕事をする人が増え、農村では過疎化の問題が起きた」。「一方、都市では、産業化が進むと同時に公害問題が発生。大きな社会問題となった」。「て、ことかな!?」と角田に迫る飯塚。「そう! …かもしれませんね!」と角田。「ただ個人的な意見を申しますと、経済的な発展を追い求めても幸せにはならないのかな、とは思いますよね」と言いました。「そうだねぇ」とうなずく飯塚。

scene 11日本の未来のためにどうすればいい?
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「このことは、これから先の日本を考えるときに重要なポイントになるんじゃないですかね」と言う角田に、「じゃ、ぼくたちこれからどうすればいいんですか?」と豊本。「そうですねぇ。やっぱりそれ…」。ここまで言ったとき、角田を呼び出すアラーム音が鳴ります。「あーっ! ごめんなさい。申し訳ない。考えて下さい! 失礼しまーす!」。角田は行ってしまいます。「レキデリさん!」。「ちょっと!」。「じゃあ、この先の未来のためにどうすればいいんですか」と豊本。「たとえば地球温暖化の問題とか? 今よく言われている『SDGs』とかさ」と飯塚。モヤモヤしたまま考える飯塚と豊本でした。

アクティブ10 レキデリ
高度経済成長は国民に何をもたらした?
高度経済成長で国民の所得は増えたものの・・・代償として直面した問題とは?「駅弁のパッケージ」「漫画サザエさん」など身近な資料から紐解いていく!

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