オープニングタイトル
「みなさん。今日(きょう)は先生が、げいじゅつさくひんをもってきました」。ヒポ先生がみんなにえを見せます。「題(だい)して、『くだものを見つめる美女(びじょ)』。このえを見てなにをかんじたかしら?」と先生。モデルの女の人はヒポ先生ににているようですが…。「うまそうギャオ」、「バランスがおもしろい」、「いろがきれい!」。いろいろなかんそうが出ます。「がんこちゃんはどう?」ときかれ、「え? えーと、バナナです!」とがんこちゃん。「ほかには?」ときかれても、「えーと…」。なかなかことばが出てきません。「あーぁ、がんこまってたらよるになっちまうぜ」。「あははは」とみんなにわらわれてしまいます。
「あーぁ、なんでああいうとき、パッパッてうまくいえないんだろう」。がんこちゃんがドーナツぬまにやってくると、ラッパーにあいました。「なにしてるの?」ときくと、「♪おいらあさからさかなつり つりざおポッキリ びっくりがっくり しょうがないからおひるねぐっすり」とラッパー。「あたしもラッパーさんみたいにパパーッといえたらいいのになあ」。すると、「そんじゃ、いいうたおしえてやるぜ!」とうたいはじめました。「♪イーカナ、イーカモ、イイカンピー、ヘイ!」。ラッパーは「なんていえばいいかわかんないときは、イイカンピーって。みんなもりあがるぜ!」といいます。「そうなんだ。ありがとう!」。
つぎの日。「どう? ぼくのあたらしいおたから」。チョビくんがじまんの石をみんなに見せています。「うまそうギャオ」、「お月さまみたいね」とみんな。「がんこちゃん、どう?」ときかれたがんこちゃん、「え、えーとねえ…」とすぐにはこたえられません。そのとき、あのうたをおもいだしました。「♪イーカナ、イーカモ、イイカンピー、ヘイ!」。みんな、あっけにとられています。がんこちゃんはみんなにもおしえてあげました。「♪イーカナ、イーカモ、イイカンピー、ヘイ!」。みんな大よろこびでたのしそうにうたっています。「すごーい! ほんとにすごいうただ。ね、ツムちゃん!」といわれ、「え? う、うん…」とツムちゃん。
校庭(こうてい)で先生たちがはなしています。「今日(きょう)はまいりましたわ。子どもたちになにをきいても、『イイカンピー!』なんです」とヒポ先生。「あたしも『今日のきゅうしょく、どう?』ときいたら、『イイカンピー!』って」とガメさん。「なんだかみょうなことばがはやってるでごじゃるなぁ」と仙ちゃん先生。そこへ校長先生がやってきました。「あ、どうも。♪ヘーイ、みなさん、イイカンピー、ヘイ!」。あっけにとられる先生たちに校長先生は、「なんだかたのしくてですね、くせになるんですねぇこれが。♪イーカナ、イーカモ、イイカンピー!」。おもわず「ヘイ!」とあわせたヒポ先生、「あら…つい…」。
おうちで、「イイカンピー!」、「ピー!」とあそんでいるがんこちゃんとがんぺーちゃん。「わたしのドレスすがた、どうかしら?」とがんこちゃんにたずねたお母さん。「イイカンピー!」といってもらってよろこんでいます。そこへ、「がんこちゃん…」とツムちゃんがやってきました。「あのね、あたし、ハーブクッキーやいてみたの」。クッキーを入れたかごをもっています。「お母さんのおたんじょうびにプレゼントしたくて。がんこちゃん、お味見(あじみ)してもらってもいい?」とツムちゃん。「うん。するする!」とがんこちゃんがいいました。
「かたちがバラバラになっちゃって。でもお母さんによろこんでもらいたくて、なんどもつくりなおしたの」とツムちゃんがせつめいします。がんこちゃんはさっそく、「いただきまーす!」とクッキーをたべてみました。「どうかしら?」とツムちゃんにきかれ、「うん。イイカンピー!」。「かたさは?」。「え? イイカンピー!」。「あじは? かおりは?」。「ぜーんぶまとめてイイカンピー!」とがんこちゃん。するとツムちゃんは、「そう…ありがとう。がんこちゃん、もういいわ…」というと、なんだかしょんぼりしてかえっていきました。
「ツムちゃーん! なんできゅうにかえっちゃったんだろう」。ツムちゃんをおいかけてきたがんこちゃんがふと見ると、校長先生とハジメどりさんが、いわの上にすわっています。「なにしてるの?」ときくと、「いえね、空があんまりうつくしいもんですからねぇ」と校長先生が空を見上げました。つられて見上げたがんこちゃんは、「うわぁ、ほんとだ。イイカンピー!」といいます。「ねえ、あのくも、なにいろですかねぇ」と校長先生がきいてきました。「え? くもは白でしょ?」とがんこちゃん。すると、「えーっ? 白?」と二人はびっくりしたようにいいました。「えーっ?」とがんこちゃんもちょっとびっくり。
「もっと、よーく見て」とハジメどりさんにいわれたがんこちゃん、「あ、あのはじっこのとこ、ピンク?」と気がつきました。「あっ、でもまんなかへんがキラキラしてるね。よーく見ると、すっごくいろんないろ!」とがんこちゃん。「それで、なんとかぴったりのことばを見つけたくて、さっきから二人でかんがえてるんですねぇ」と校長先生。「そうだねえ。こんなにきれいな空だもん、ぴったりのことばをさがしたいよねえ」。そういったがんこちゃん、「ぴったりのことば…? あれ?」。ツムちゃんに『あたし、じぶんでハーブクッキーやいてみたの。どうかしら?』ときかれたのをおもいだしました。「ツムちゃん…」。
ツムちゃんが空を見上げてためいきをついています。そこへ、「ツムちゃーん!」とがんこちゃんがかけてきました。「あのさぁ、さっきのクッキーだけどさ…。いいにおいで、あまくて、かたちはいろんなのがあったけど、ツムちゃんのお母さん、すっごくよろこぶとおもう!」といいます。「ほんとう? よかったぁ。あたし、うまくできたかしんぱいだったの。ありがとう!」とツムちゃん。「さっきはうまくいえなくて、ごめんね」とがんこちゃんがあやまると、「あたしも、うまくいうのにがてだもの。でもがんこちゃん、あたしがゆっくりでも、いつもちゃんとまってくれるでしょ。あれ、すごくうれしいのよ」とツムちゃん。
「そうだね! ゆっくりでも、ぴったりのことばをさがせばいいんだよね!」とがんこちゃん。「うん!」とツムちゃん。するとそこへ、ラッパーがやってきました。「がんこ、ヘイ、ヨウ! 二人とも、“なかよしこよし”かヨウ!」。するとがんこちゃんとツムちゃんは、「あたしたち、イイカンピー!」とうれしそうにこたえたのでした。