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オープニング
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『もやモ屋』。それは、まぼろしの映画館(えいがかん)。みればみるほど、頭はモヤモヤ、心もモヤモヤ。さあ、ごらんあれ!

scene 01スポーツも勉強もできないトシヤ
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「はい、まちがえたところはおうちに帰ったら復習(ふくしゅう)して下さいね」。先生がみんなにテストを返しています。「えー、また20点だ」「でもおまえ、サッカーうまいからいいじゃん」「そっか、はははは」と気楽そうに話している男子たち。トシヤは自分のテストに目をやりました。45点です。「ふみかちゃん、すごい」「そんなことないよ。1問まちがえちゃったし」「ふみかちゃん、勉強できるもんね」。勉強のできるふみかちゃんと女子たちがにぎやかに話しています。『ぼくはスポーツもできないし、勉強もできない…』。トシヤはため息をつきました。

scene 02ふみかはスピーチが苦手
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「それでは、帰りの会のさいごはスピーチタイムです」と先生。今日のスピーチは、ふみかでした。「ふみかちゃん、おねがいします」。先生にそう言われて立ち上がるふみか。でもそうとうきんちょうしているようです。きょうだんに立って話そうとしますが、「あの…、えっと…」となかなか言葉が出てきません。「人に気持ちを伝えるための練習だから、どんなことでもいいのよ」と先生にはげまされますが、「今日、あの…」とやっぱり言葉が出ません。すると、「ふみかって、いっつもこうだよな」「早く帰りたいんだけどなぁ」と聞こえよがしに言う男子たち。「えっと…」。なきだしそうになるふみかです。

scene 03「あれ? ウケてる?」
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そのとき、トシヤはふと思いつきました。「なるほどなるほど、そうか。へぇー、てれるなぁ」。急に大きなひとり言を言います。「トシヤ、どうした急に?」と聞かれ、「今、ふみかちゃんのスピーチ、みんな聞いてなかったの? テストの点が悪くても明るいトシヤくんを見ていたら、元気をもらえました。だからトシヤくんに感謝(かんしゃ)したいって、言ってなかった?」とトシヤ。「いや、言ってないだろ」。「あれぇ、言ってなかったかぁ」ととぼけるトシヤに、「あははは」とみんな大わらい。『あれ? ウケてる?』と思うトシヤ。ふみかも笑顔(えがお)になっています。

scene 04ふみかにお礼を言われた
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帰ろうとするトシヤに、校庭でクラスの男子が声をかけてきました。「いやぁ、スピーチタイムのときのトシヤ、おもしろかったぁ」「トシヤ、おまえ、実はおもしろいんだな」。そう言われて、「あは、まあな」とてれるトシヤ。「早く帰れたし、ラッキー」「じゃあな」と男子たちは帰っていきました。トシヤも帰ろうとすると、「あの…」と、木のかげにいたふみかが声をかけてきました。「トシヤくんておもしろいんだね。あの…、ありがとう」。そう言ってはずかしそうに立ち去るふみか。ちょっとうれしそうに見送るトシヤ。

scene 05おもしろいのも個性?
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その夜。トシヤがテレビのおわらい番組を熱心に見ています。「どうしたの? そんなにテレビにむちゅうになって」とお母さんに言われ、「今日さ、学校で『おもしろい』って言われてさ」とトシヤ。「えー、よかったじゃない」とよろこぶお母さん。「だからもっともっとおもしろい人になりたいの」。トシヤがそう言うと、「人をわらわせることができるのも、個性(こせい)かもね」とお母さんが言いました。「そうか、おもしろいのが個性…」とじっとテレビに見入るトシヤ。

scene 06「トシヤくんてクラスでいちばんおもしろいよね」
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次の日、ろうかのそうじのとき。「トシヤ、具合でも悪いの? だいじょうぶ?」。トシヤがバケツに顔をつっこんだまま動きません。でも、「具合は悪くないけど…顔は悪いかも!」。顔を上げると、顔じゅうにテープをはってへんな顔を作っていたのでみんなは大わらい。体育館のそうじでは、「あー、月日がたつのは早いもので、あっという間ですう」と校長先生のまね。「めちゃくちゃにてる!」とまたみんな大わらい。「トシヤくんてクラスでいちばんおもしろいよね」と教室で話している女子たち。ふみかが、「わたし、トシヤくんのおもしろいところ、すきだな」と言いました。ろうかで聞いていたトシヤはうれしくなります。

scene 07大阪からの転入生コウジ
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「それではみなさんに転入生をしょうかいします」。その日、クラスに転入生がやってきました。「はじめまして。大阪から来ましたマツオ・コウジです。みんなと早くきょりをちぢめられたらうれしい。よろしくおねがいします」。おじぎをしてゴン! とつくえに頭をぶつけるコウジ。すると、「いて~。みんなときょりをちぢめる前に、教卓(きょうたく)とのきょりをちぢめすぎて頭ぶつけてもうたわ」と言ったので、「あははは」とみんながわらいだしました。トシヤも思わずわらいます。でも見回すと、みんながあまりにも大わらいしているので、なんだか不安(ふあん)になってじっとコウジを見つめました。

scene 08トシヤとどっちがおもしろい?
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ろうかのそうじのとき、一人何かしているコウジ。「コウジくん何してるの? ちゃんとそうじしてますか?」と先生が言います。「してますよ」。「まだよごれてるところあるよ。ちゃんとぞうきんでふいてください」。するとコウジは、「ぞうきんがよごれてるんで、ぞうきんをぞうきんでふいてるんです」と言いました。「ぞうきんはふかなくていいの」と思わずわらってしまう先生。「コウジっておもしろいよな」「たしかに。トシヤとどっちがおもしろいんだろ」と話している男子たち。その夜、テレビのおわらい番組を見ながらセリフをノートに書きとめているトシヤ。「なんでやねん!」とツッコミの練習もしていました。

scene 09コウジのスピーチが大ウケ
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「今日のスピーチタイムはコウジくんです」と先生が言いました。コウジは教卓(きょうたく)の上にモモを一つおきました。「え? なんで?」とふしぎがるみんな。「日本でいちばん生産(せいさん)されている県は、山梨県や福島県です。おいしい食べごろは夏で」と話し始めるコウジ。「コウジくん、何の話してるの?」と先生。するとコウジは、「モモは英語(えいご)でピーチですよね。今、ピーチタイムの時間ですよね」と言いました。「ちがうわよ。スピーチタイムの時間でしょ」と先生。「あ、まちがえてもうたわ」とコウジ。「あははは」とわらいだすみんな。ふみかもわらっています。でも、トシヤはわらえません。

scene 10トシヤのスピーチは
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次の日。トシヤがきんちょうして教だんに立っています。今日のスピーチタイムはトシヤです。「トシヤ、おもしろスピーチたのむぞ」「きのうのコウジのスピーチをこえてくれよ」と声がかかります。「スピーチタイムはおもしろいことをする時間じゃありませんよ」と先生。トシヤが話し始めます。「えー、今日、給食(きゅうしょく)に大好物(だいこうぶつ)のツナが出ました。つくえの上に落ちちゃったけど、ぼくはツナがすきだからそれを食べたら、それはツナじゃなくて…」。みんなが身を乗り出して聞き入ります。「なんと、消しゴムのカスでしたー!」。ところがみんなはシーンとしてわらいは起きません。

scene 11あせるトシヤ、よゆうのコウジ
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あせったトシヤがつづけます。「えーっと、あ、そうそう。今日、道徳(どうとく)の授業(じゅぎょう)があったけど、道徳の問題って、どうとくの? うははは」。自分で言って自分でわらうトシヤ。でも、みんなはシーン…。「今日はさ、ふつうのスピーチでいいよね」「そだね」と男子たち。先生も、「トシヤくん、むりにおもしろいこと言おうとしなくてもいいんだからね」と言います。あせるトシヤに、「おれが代わりにスピーチしようか?」とコウジがよゆうの表情(ひょうじょう)で言いました。「いいよ、だいじょうぶだよ」とトシヤ。「やっぱトシヤでも昨日のコウジのおもしろさ、こえられないよな」と男子。

scene 12ふみかのまねをしてしまった…
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追いつめられたトシヤは、「あ、今日テストのとき、ぎりぎりまでトイレに行きたいのがまんしてたふみかちゃんのまね。『先生、トイレに行ってもいいですか~』」とふみかのまねをしました。「あははは」「さすがトシヤ」「にてるー」と男子には大ウケ。ホッとするトシヤですが、うつむいているふみかに気がつきました。『ちょっとやりすぎたかなあ』。すると、「トシヤくん、なんでそんなことやるの。ひどい。ふみかがかわいそう」と女子が言いました。「だいじょうぶ」とふみかは言いますが、「たしかにちょっとやりすぎたかもな」「でも、おもしろかったから、よくね?」と男子たち。そして、モヤモヤした顔のトシヤ…。

もやモ屋
おもしろい子はいい子?悪い子?【個性の伸長】
人を笑わせる事が大好きなトシヤは、ひょうきんな友だちに負けまいと人を茶化した笑いをとってしまう。笑いはとれても何だかモヤモヤした気持ちに。

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