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オープニング
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『もやモ屋』。それは、まぼろしの映画館(えいがかん)。みればみるほど、頭はモヤモヤ、心もモヤモヤ。さあ、ごらんあれ!

scene 01写生の絵の具をわすれたナツミ
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「今回の写生大会のテーマは『自然(しぜん)』です。みんなで目の前にあるものをよく見て、きいて、感じて、絵にかいてみましょう」。先生がみんなに言いました。「はーい」。川べりの思い思いの場所で絵をかき始めるみんな。でもナツミはその場にのこったままです。「田代さん、どうしました?」と先生に言われ、「絵の具、わすれちゃいました」とナツミ。「あら、こまったわね。そしたら、妹尾(せのお)さんにかりてかきましょうか」と先生。「はい」。『妹尾ハルナは、かわり者で有名だった』。「妹尾さん。あの、わすれちゃって、絵の具を…」とナツミ。ハルナはだまって絵の具を箱ごとナツミのほうによこしました。

scene 02かわり者で有名なハルナと
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「絵なんてかきたくないなあ」とつぶやくナツミ。「使いたい色あったら取っていいからね」と急にハルナが言います。「うん」とナツミ。一つのパレットを使って絵をかきつづける二人。「あと20分でーす」と先生がみんなに声をかけました。「うーん」。川の動きがうまくかけないナツミは、「妹尾さん、動いてないなかに、動いている川ってどうやってかくの?」と聞きました。ハルナはナツミの絵の川に白で光をかき入れました。「わあ、すごい!」。「もうちょっと白くしたほうがいいかな」とハルナ。『田代ナツミは妹尾ハルナに少しだけ近づいた…とごかいした』。

scene 03ろうかにはり出された絵
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みんなが写生大会でかいた絵が教室のろうかにはり出されていました。ナツミがまんぞくそうに自分の絵を見ています。でもハルナの絵はありません。「妹尾さんの絵、ないね」。ナツミがハルナに話しかけますが、ハルナはだまって行ってしまいます。朝の会で先生が言いました。「いくつかの入選(にゅうせん)作品は、図工室前のろうかに展示(てんじ)されています。これらの作品は、先生たちが一人一まい、えらんで決めました」。ハルナの絵は入選作品でした。『田代ナツミにとって妹尾ハルナの行動はなぞだらけだった。いぜんとして田代ナツミと妹尾ハルナのあいだにはきょりがあった』。

scene 04ハルナの絵、三輪さんの絵
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「どのような川が流れているかではなく、川の流れそのものを感じました。この日がきっといい日であったことがつたわってくる、すてきな作品です」。ろうかにはられたハルナの絵のコメントをナツミが読んでいます。そこへ、ほかの女子もやってきました。「あ、三輪(みわ)さんの絵、あった!」。「すごーい」。自分の絵がかざられていてうれしそうな三輪さん。ところが、「この絵おもしろい」。ハルナの絵のほうに女子たちはすいよせられます。「へんなのー。でもかわいい」と女の子たち。

scene 05こんな絵はおかしい?
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すると、「写生大会は目の前にあるものを見たままかくのよ。先生もそう言ってたでしょ。こんなのちっともうまくなんかないじゃない。どこにこんなカラフルな川が流れているのよ」と三輪さんが言いました。「たしかにそうだね。こんな川なんかないね。へんだよ」と三輪さんのきげんをとるようにみんなも言い出します。「だれがこの絵をえらんだのかな」とコメントを見ると…、「校長」。すると三輪さんが、「きっと何かのまちがいよ。こんなのおかしいもの。はがしてもいいんじゃない」と絵をはがそうとします。

scene 06絵をはがそうとする三輪さん
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「そんなことだめよ」ととめるナツミ。「だっておかしいじゃない。こんなへんな絵が入選(にゅうせん)してるの」と三輪さん。「そういえば田代さん、妹尾さんといっしょに絵をかいてたよね。友だちだからかばってんでしょ?」。そう言われ、「べつに友だちなんかじゃないよ。あの日はたまたま絵の具わすれちゃったからかりてただけだもん」とナツミ。「じゃあ田代さん、こんな色の川見たことあるわけ?」と聞かれ、「ないけど…」と何も言えなくなってしまうナツミ。そこへ近づいてきたハルナが、「あるよ」と言うと、自分で絵をはがして行ってしまいました。『妹尾ハルナは、かわり者で有名だった』。

scene 07絵をはがしたのは…
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「今日、図工室前にはられている入選(にゅうせん)作品の一つが、はがされていました」と、帰りの会で先生が言いました。「えーっ」。ざわざわするみんな。「その絵はうちのクラスの人の絵でした。どうしてこのようなことが起こったんでしょうか」。すると、「はい」と三輪さんが手をあげました。「わたし知ってます。だれがはがしたか」と三輪さん。「だれ?」。三輪さんはハルナを指さして、「妹尾さんは、自分で自分の絵をはがしていました」と言いました。「えー?」。「自分で?」。「おかしいよ」。またみんながざわつきます。「妹尾さん、本当?」と先生が聞きますが、ハルナはだまって絵をかきつづけています。

scene 08本当のことを言おうとしたら
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すると一人の女子が、「先生、わたしも妹尾さんがはがしているところ見ました」と言いました。「わたしも。自分でかってにはがしたのよ」とほかの女子。「妹尾って、へんなやつだよな」と男子も言い始めます。『田代ナツミは、勇気(ゆうき)をふりしぼった』。立ち上がるナツミ。「どうしましたか、田代さん」と先生。ハルナが顔を上げてナツミを見ました。「あの…えっと…あの絵をはがしたのは…」と言いかけるナツミ。するとハルナが急に立ち上がって、「ごめんなさい」と頭を下げました。教室はざわざわ。ハルナはだまって帰っていきます。『田代ナツミにとって、妹尾ハルナの行動は、なぞだらけだった』。モヤモヤ…。

scene 09ナツミとハルナが見た川は
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『いつも妹尾ハルナは…。それでも田代ナツミは…』。川ぞいの道を帰っていくハルナ。ナツミがあとを追って走ってきました。だまって歩く二人。するとハルナが、何かを見てうれしそうにかけだしました。ハルナは川べりでふりむき、ナツミにわらいかけます。ナツミがハルナのそばにかけよってみると、二人の前に広がっていたのは、夕陽をあびてかがやくあの川です。ハルナが見てかいた絵のとおり、とてもカラフルな色になっていました。

もやモ屋
あの子の絵の具【相互理解、寛容】
絵の具を借りたことをきっかけに、個性的な絵を描く陽菜に興味を持つナツミ。クラスメートたちに「変な絵!」と否定された陽菜は、ある行動に出る。

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