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オープニング
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『もやモ屋』。それは、まぼろしの映画館(えいがかん)。みればみるほど、頭はモヤモヤ、心もモヤモヤ。さあ、ごらんあれ!

scene 01おばあちゃんがなくなった
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おばあちゃんが、なくなった。北海道に住んでたおばあちゃん。あまり会ったことなかったけれど、お父さんのお母さんだ。お父さんがないてるの、はじめて見た。

scene 02わたしがおばあちゃんににてる?
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「アスカ、ちこくするわよ。早く食べちゃいなさい」。「はい。いただきます」。朝ごはんを食べていたアスカは、お父さんがじっと自分を見ているのに気がつきました。「お父さん、何?」と聞くと、「いや、おばあちゃんににてるなーって思ってさ」とお父さんが言います。「わたしが? おばあちゃんに?」とおばあちゃんの遺影(いえい)に目をやって聞き返すアスカ。するとお母さんも、「そうねぇ、目のあたりとか、よくにてる」と言います。「そうだな」。お父さんはじっとアスカを見つめていました。

scene 03べつに悲しくなかった…
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「おはよう、アスカ。ひさしぶり」。校門を入ったところでカオリが声をかけてきました。「カオリ、おはよう」。「北海道寒くなかった?」と聞かれ、「けっこう寒かった。びっくりしたよ」とアスカ。「飛行機(ひこうき)乗ったの?」。「うん。上から見たらね、家がこんなちっちゃかったんだよ」。いろいろ北海道のことを話すアスカ。「魚の煮物(にもの)もあったし、さしみもあったし、あと、やき魚もあったの」。するとカオリが、「おばあちゃん、なくなったんでしょ?」と言いました。「あ…うん」。「悲しかったよね」と聞かれ、「べつになんでもなかったんだけどね、わたしは」とアスカ。「え?」。

scene 04なかなかったアスカはつめたい?
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「お葬式(そうしき)、どうだった?」。教室でカオリがまたたずねました。「おばあちゃんの兄弟とか、おばあちゃんの友だちがいっぱい来てたよ」と答えるアスカ。「お父さんがないててさ」。「アスカは?」と聞かれ、「なかなかった」とアスカ。「どうして?」。「悲しくなかったから…かな。おばあちゃんさ、ずっと北海道に住んでたからほとんど会ってなくて、今までと何もかわらないっていうか…」。そこへ、「何話してんの?」とやってきたノゾミ。おばあちゃんのお葬式でアスカがなかなかったと聞いて、「えー、アスカつめたーい。わたしだったらおばあちゃんが死んじゃったら大なきするよ、ぜったい。ねえ?」。

scene 05なかなきゃいけない決まりでもある?
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ノゾミにそう聞かれたユウタは、「おれはゲームで自分のキャラクターが死んでも、べつにないたりしないぜ。なあ」とシュンスケに言います。「おう」。「それはすぐ生き返らせるからでしょ」とノゾミ。「じゃあさ、何かが死んだりしたら、ぜったいないたりしなきゃいけないって決まりでもあるわけ?」とシュンスケ。「決まりはないけどさ、でも悲しくならなきゃおかしいでしょ」とノゾミが言うと、「でもさ、自分はいたくもかゆくもないわけじゃん。なんでないたりするわけ?」とユウタが言いました。アスカの心は少しモヤモヤ…。

scene 06金魚のおはか
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「ただいま」。アスカが家に帰ってくると、「お姉ちゃん、金魚のトトちゃん、死んじゃった」と妹のユイが言いました。「そっかぁ。じゃ、おはか作ってあげようか」。「うん。よかったね、トトちゃん」。アスカは庭のすみにあなをほりました。「できたよ。入れて」。「うん。おふとんかけてあげてもいい?」とユイ。「あ、うん、いいよ」。落ちていたかれ葉をトトちゃんにそっとかけてあげるユイ。その上に少しずつ土をかぶせていくアスカ。すると急にユイが、「おねえちゃんやめて! トトちゃんに会えなくなっちゃうよ!」と言いました。「え?」。

scene 07もう会えなくなるとわかって
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「おばあちゃんも同じなのかなあ…」。えんがわでカオリとアイスクリームを食べていたアスカがつぶやきました。「え、何のこと?」。「妹とさ、死んじゃった金魚をうめようとしたんだよね」。アスカが見つめる先には金魚のおはかがあります。「庭のすみにあなをほって、金魚を入れたの。そこまでは平気だったのに、さいごに土をかけようとしたらいきなり『やめて』って」。「それは多分、ずっといっしょにいた金魚ともう会えなくなっちゃうとわかって、はじめて悲しくなったんじゃない?」とカオリが言います。「そうだよね、それならわたしにもわかるかな」。ちょっとすっきりしたようなアスカ。

scene 08「そんなことしたらアリが死んじゃう」
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そのとき、アスカが持っていたアイスクリームがとけて、手をつたってたれ落ちました。「やば! ごめん、ティッシュ持ってきて」とアスカ。「うん」。カオリはアイスクリームをお皿において、ティッシュを取りにいきます。「ありがとう」と声をかけたアスカがふとお皿を見て、「あ、ありんこ」と言いました。カオリのアイスクリームにアリがたかろうとしていたのです。あわてて手のひらで「バンバン」とゆかをたたいてアリを追いはらおうとするアスカ。すると…。「だめだよ、アスカ! そんなことしたら、アリ、死んじゃうかもしれないよ」とカオリがかけよりました。「え? だって…」とアリを見下ろすアスカ。

scene 09死んだものは元にもどらない…
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「アイス、食べられなくなっちゃうじゃん?」と言うアスカに、「アイスはまた買えばいいでしょ。でも、アリ、死んじゃったらかわいそうだよ」とカオリ。「何でそんなこと言うの? わたし、カオリのためにやったのに!」。カッとなってアスカがそう言うと、「でもさ、死んじゃったアリは元にもどらないよ」とカオリが言いました。「元に…もどらない…?」。アスカは、おばあちゃんのお葬式(そうしき)でないていたお父さんのせなかを思い出しました。そして、やさしそうな顔のおばあちゃんの顔も…。

scene 10悲しくならなきゃおかしい?
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「わたしね、かってたインコが死んじゃったことがあって…」と話し出すカオリ。「え?」。「わたしの手の中で、動かなくなったの…、もう二度と」。アスカはみんなのいろいろな言葉を思い出します。…『お姉ちゃん、やめて! トトちゃんに会えなくなっちゃうよ!』。『何かが死んだりしたら、ぜったいないたりしなきゃいけないって決まりでもあるわけ?』。『決まりはないけどさ…。でも、悲しくならなきゃおかしいでしょ』。『でもさ、自分はいたくもかゆくもないわけじゃん?』。カオリを見ながら、アスカの心はモヤモヤ…。

もやモ屋
アリとアイスクリーム【生命の尊さ】
遠くで暮らしていたおばあちゃんのお葬式。お父さんは泣いたけど、明日香は悲しくならなかった。そのことを友だちに話すと「冷たい!」と言われ…
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