
(オープニングタイトル)

「ギョロギョーロ、ギョロギョーロ…」。マンナカ小学校のこうていに、ギョロてんがつぎつぎにやってきました。こうていは水たまりができてぬかるんでいます。「ギョロてんが、やけにおおいでごじゃる」と仙(せん)ちゃん先生がいいます。「また雨ですかねぇ」とガメさん。「それにしても、おおすぎるんですねぇ。えぇ、えぇ」と校長先生もいいました。「ギョロギョーロ…」。ギョロてんはランプの木の上にまで上がってきました。ランプの木のてっぺんで、「ポワ…ポワッ」となにかしんぱいそうなランププです。

ギョロてんは川にもやってきました。がんこちゃんたちが川あそびをしています。「キャハハ!」。「川あそびって、サイコー!」。そのとき、「あれ? 雨?」。がんこちゃんの頭(あたま)にポツン、ポツンと雨つぶがおちてきました。「見て! あっちの雲(くも)、まっくろ!」とツムちゃんがいいます。とおくでくろい雲が見えて、ゴロゴロという音もきこえてきます。「もう、かえる?」とツムちゃん。でも、「いやよ~。川であそぶのひさしぶりじゃないの」とケロちゃん。「これくらいの雨、へいきへいき」とバンバンもいいます。「な、がんこ」とバンバンにいわれ、「どうしよう…」とかんがえこむがんこちゃん。

「かえる? それとも、あそぶ? うーん、雨はまだポツポツ。川あそびは、もっとしたい! でも、カミナリきこえたしなぁ…」となやむがんこちゃん。「あたし、あそぶ!」といいました。すると、「ダメダメ」という声(こえ)が。「え? ランププ!」。ランププは、「いますぐかえろう、がんこちゃん。くろい雲(くも)が見えたらすぐにお天気がかわるよ。つよい雨、ふってくる」。「え、そうなの?」。そのとき、きゅうに「ヒューッ」とつめたい風(かぜ)がふいてきて、みんなは「ひゃあっ」とふるえあがりました。「このつめたい風も雨のサイン。だから、いそいで!」とランププにいわれ、みんなはあわててかけだしました。

がんこちゃんとがんぺーちゃんがまどから外(そと)をながめています。外はザーッとつよい雨。そこへ、「見て見て。おばあちゃん、ドンドコおんせんでのんびりしてるって」とお母さんがおばあちゃんからとどいたハガキをもってきました。「いいなぁ、お天気で」とうらやましがるがんこちゃん。そのとき、「クエエーッ。クエエーッ」とハジメドリさんがやってきました。「オオアメ、オオアメケーホー、ダヨー!」といいます。「えぇーっ?」。ハジメドリさんがもってきたまきものをひらくと…。「あら?」。「校長先生?」。まきものの中に校長先生があらわれ、「いまから、ひなんじょにひなんしてください」といいました。

「ここでもんだいです。大雨のとき、ひなんじょはどっち? みちしるべのおか? それとも、学校?」と校長先生。「じしんのときも火山がふんかしたときも、みちしるべのおかだった。だから…みちしるべのおか!」とこたえるがんこちゃん。ところが、ブッブーッ。「せいかいは、学校です」と校長先生。「みちしるべのおかは、山の上。やねもない、ふきさらし。大雨のときはじめんがくずれやすくなるので、あぶないんですねぇ」。「風(かぜ)やカミナリもあぶないわねぇ」とお母さんもいいます。「そうか。にげるばしょってかわるんだね」とがんこちゃん。「マンナカ小学校は、こんなかんじであんぜんです!」と校長先生…。

ふりつづく雨のなか、きゅうにマンナカ小学校のまわりのじめんがゆれ、じひびきがしました。「カッパパワー! ほりゃほりゃ~!」。ドーナツぬまのそこでカッパさんがレバーをうごかしています。「どや、どや、がんばレバー!」。マンナカ小学校がドーナツぬまといっしょにじめんからぐんぐんもりあがりました。「ドーナツぬまは、いったん地下(ちか)へ。ザバザバーッ」。レバーをうごかすと、ドーナツぬまだけさがっていきます。水はもう学校のまわりにはありません。「んでもって、ポチッと」。カッパさんがボタンをおすと、光(ひかり)が学校をつつみ、岩(いわ)に『ひなんじょ』のマークがうかびあがりました。「ひなんじょ、かんせい!」。

「よし、あかるいうちにいこう!」とお父さん。お母さんは、「みんな、先にいってて! だいじなものまとめたら、すぐいくわ」と大きなタンスをかつぎあげました。「はやくきてね」。ちょっとしんぱいながんこちゃんです。「イチ、ニ、イチ、ニ」。お父さんとロープでつながって雨の中をあるいていくがんこちゃん。すると、「わぁっ」。水のふかいところでころびました。「だいじょうぶかい? 足もとが見えないんだもんねぇ」。お父さんがたすけおこすと、「あっ、ながぐつぬげた!」とがんこちゃん。「ぬげにくいくつにするんだったねぇ」。お父さんのくつは、ひもでギュッとしばるくつでした。「とにかくいそごう」。「うん!」。

「イチ、ニ、イチ、ニ」。またお父さんとロープでつながって雨の中をあるいていくがんこちゃん。「学校がとおくかんじる~」。「いつもとおってる道(みち)なのに、びっくりだねぇ」とお父さんもいいます。そこへ。「がんこー!」という声(こえ)がきこえてきました。バンバンとルンルンとおばあちゃんでした。「おりゃーっ」。バンバンとおばあちゃんが手づくりのいかだをこいでいます。「のれ!」とバンバン。「うん!」。がんこちゃんたちもいかだにのりました。「ありがとう!」。おばあちゃんは「しっかりつかまって」というと、「おりゃりゃりゃりゃーっ」とものすごいいきおいでいかだをこぎはじめました。

「先生~!」。みんなをのせたバンバンのいかだが学校にやってきました。外(そと)はますますはげしい雨です。ピカッ、ゴロゴロ! カミナリがなりひびきました。「にいたん、こわい~」となきだすルンルン。「そうだ! 地下室(ちかしつ)にかくれようぜ!」とバンバンが地下室へのとびらをあけました。するとがんぺーちゃんが、「いーや! こっち、こーっち!」とかいだんをさします。「上にいきたいの?」。「あいあーい!」とがんぺーちゃん。「どうしよう…。地下はカミナリがきこえない、とおもう。でも、上のほうがあんぜんなのかなぁ。地下? 上? どっちかなぁ、うーん」とまようがんこちゃん。

ピカッ、ゴロゴロと大きなカミナリがなりました。「よし、地下(ちか)だ!」と地下へいこうとするがんこちゃん。すると、「ストーップ! 地下はダメ。あぶないよ」とランププがあらわれました。「これを見て。ポワポワ~」と、くびかざりにうつるえいぞうを見せます。「水はひくいほうへながれるんだ。だから、地下へにげちゃダメ! 水がながれこむし、とびらがあかなくなることもあるんだよ」。「えーっ!?」。そこへ、「みなさーん! ここから上にひなんしてくださーい!」とヒポ先生がかいだんの上からよびかけました。「いこうぜ」とバンバン。「だいじょうぶかなぁ、お母さん…」としんぱいになるがんこちゃんです。

「だれかぁーっ、たすけてぇーっ!」。そのころ、がんこちゃんのお母さんは、やねの上にいました。どんどん水かさがまして、もう家(いえ)のはんぶんが水の中です。そこへ、「カッパ、じゅんかい、はっすいスイーッ」と、カッパさんとラッパーが空からやってきました。「あそこだっちゃ!」とはっけん。「カッパさん! ラッパーさ~ん!」。えんとつにしがみついてお母さんがさけびました。「たすけにきたっちゃよ。ほれ!」と手をさしのべるカッパさん。ところがきゅうにつよい風(かぜ)がふいて、カッパさんのおさらがとばされてしまいました。「あれがないとひなんじょにもどれないっちゃ~」。「えぇーっ?」。

つぎの日。雨はすっかり上がって、とてもいい天気になりました。ランプの木のみがピカピカひかっています。木のねもとで、「お母さん…」としょんぼりしているがんこちゃんたち。すると、「おーい!」という声(こえ)がしました。見ると…「がんこちゃ~ん! がんぺーちゃ~ん!」と、お母さんの元気(げんき)なすがたがありました。カッパさんがそうじゅうするのりものが水たまりの上をやってきます。「お母さーん!」。かけよってだきあうがんこちゃんたち。「わたしもみんなといっしょにひなんするんだったわ」とお母さんがいいます。「ぼくたちでもギリギリだったよ」とお父さん。「わ~ん!」。

「しんぱいかけて、ごめんね~」とお母さんもなきだします。そこへ先生たちもやってきました。「ランプのみが、道(みち)をおしえてくれて、よかったわ」とお母さん。ランプの木にちかづいたがんこちゃんは、「きめた。あたし、これからはもっとはやくひなんする。そんでみんなにも、『はやくひなんしよう』っていうよ!」といいました。そして、ランプの木を見上げて、「ね、ランププ」とつぶやきました。「ポワポワッ」とランププのうれしそうな声(こえ)がきこえたような気がしました。