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scene 01男とは? 女とは?
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とつぜんですが、みなさん。わたしのことを男だと思いますか? 女だと思いますか? 女性っぽい声だから、女? 男性っぽい服を着ているから、男? わたしのなやみは、そんな性別や見た目のことと関係があります。

scene 02女性の体形にも合うメンズスーツを作る
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わたしの名前は田中史緒里(たなか・しおり)。オーダーメイドのスーツを作ることが仕事です。女性の体形にも合うメンズスーツを作っています。一般的(いっぱんてき)な女性用のスーツはウエストの部分がくびれていて、ぴったりとしています。それを着たいという女性もいるけど、そうじゃない人もいます。わたしが作るスーツは、女性の体格でも着られるサイズです。体のラインが出ないようにデザインを工夫しています。

scene 03“男・女”を見た目で決められるのはおかしい
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注文が入ったら、直接お客さんと会って話を聞きます。この日のお客さんは、「友だちの結婚(けっこん)式に女性用のドレスではなくメンズスーツで参加したい」となやみを打ち明けてくれました。「ちゃんとした服を着たいという気持ちはあるけど、女の子用と男の子用があったら、『女の子なんだからこっちにしなさい』と言われるとすごくきゅうくつに感じる」(お客さん)。“男らしさ”、“女らしさ”。それを服装(ふくそう)や見た目で決められるのって、おかしいと思いませんか? わたしのなやみのタネは、まわりから変な目で見られるのがこわくて、着たい服を着られないという人がまだたくさんいること。

scene 04 “LGBTQ+”とは
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みなさんは、“LGBTQ+”という言葉を知っていますか? Lは女性を愛する女性、レズビアン。Gは男性を愛する男性、ゲイ。Bは男女両方を愛する、バイセクシュアル。Tは体の性と心の性がことなる、トランスジェンダー。Qは心の性や好きになる性が定まっていないクエスチョニングなど。ほかにも多様な性を表す、性的マイノリティー(少数者)のことです。

scene 05“体の性”と“心の性”の違和感
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わたしも“体の性”と“心の性”に違和感(いわかん)をかかえてきたトランスジェンダーです。小さいころから“女の子らしく”しなきゃいけないことにとまどいがありました。中学生のときには制服ではなくいつもジャージを着ていました。制服はわざとビショビショにぬらして着られなくしていたのです。「スカートがいやだったし、女の子っぽい格好が苦痛(くつう)だった」。成人式ではふりそでではなくメンズスーツを着たかったのですが、買いに行くことはできず、参加しませんでした。「女の子がメンズスーツをほしいと言うとめずらしい感じで見られるのがいやだった。変な人だと思われたくない気持ちもあった」。

scene 06トランスジェンダーだと家族に打ち明けたら
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自分の性についてまわりの人にわかってもらえるか、不安な人がたくさんいます。成人式のためにスーツを買いにきてくれたカンナさん。体は女性、心は男性のトランスジェンダーです。以前は、こわくてだれにも話せませんでした。ある日、不安をかかえながらも、自分がトランスジェンダーだと家族に打ち明けたそうです。するとお父さんから思いがけないメッセージがとどいたといいます。『つらいこと、いやなこと、悲しいこと、いろいろあったと思うけど、…自分らしく、生きてください。…家族みんなで乗りこえましょう』。「えーっ。これはパパやばい…」。まわりの人からわかってもらえることは、大きな救いになります。

scene 07世の中の偏見はなくなっていない
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でも、まだまだ理解されないこともあるんです。お客さんからこんな相談をされたことがありました。わたしが作ったスーツを着て会社に行ったら、同僚(どうりょう)にこう言われたそうです。「なんで女なのにメンズスーツなんか着てるんだよ」。そのお客さんも悲しそうだったし、自分もショックだった。『え、そんな人いるの?』みたいな。自分が想像していたよりも、世の中の偏見(へんけん)はなくなっていない。自分の中で受け止めるのにちょっと時間がかかった気がする。

scene 08偏見をなくすためのライブ配信
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偏見(へんけん)をなくしたい。そのためにはどうすればいいんだろう。なやんだ末に始めたのがインターネットでのライブ配信です。性的マイノリティーのことをもっと知ってもらい、身近に感じてほしい。当事者ではない人もまきこもうと企画(きかく)しました。コメント欄(らん)にとどいたなやみについてみんなで話し合います。『友だちとしての好きと、恋愛(れんあい)の好きがわからない』について。「これ、みなさんどう思いますか? 本当にコメントおねがいします。みんなでなやみを解決したいんだ」。でもこの日、なかなか参加者は集まりませんでした。

scene 09みんなが自分らしくいられるために
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「いろんな人をまきこみたかった。LGBTQ+にかぎらず。理解がまだ深まっていない分、当事者と、当事者ではない人の話し合う場は少なくなっていくのでは…」(田中さん)。気軽に話し合える場が増えれば、もっと身近に感じてもらえるのに。なやみはつきないけど、今日もまたお客さんに会いにいきます。「こんにちは~」。「あ、こんにちは」。できあがったスーツを見てもらうと、「かっこいい。このピッタリ感。自分のピッタリ感がいいですね。すごくうれしい」と喜んでもらえました。性別や見た目にとらわれずに、みんなが自分らしくいられるためにはどうしたらいいのでしょうか。みなさんはどう思いますか?

SEED なやみのタネ
田中さんのなやみ ~みんなが自分らしい服を着られたらいいのに~
女性の体形に合うメンズスーツのブランドを運営する田中さん。性別や見た目に関係なく、みんなが自分らしい格好ができるよう活動するが、まだ受け入れられないことも多く…

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