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scene 01ごみ拾いの面白さがわかってもらえない
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「すごいでしょ。もう道がなくなっちゃって」。大阪の淀川(よどがわ)の河川敷(かせんしき)にはたくさんのごみが落ちています。「多いときはこんなもんじゃない」。川や海から流れてきたごみ。全部、もとはだれかのものだったはずだけど、今は行き場を失って“ごみ”とよばれています。ぼくは、このごみを使って作品を作るアーティスト『淀川テクニック』の柴田英昭(しばた・ひであき)です。「あ、トウモロコシのおもちゃ。いいですね。もらっちゃおう」。ぼくのなやみは、ごみ拾いの面白さがあまり人にわかってもらえないことです。

scene 02拾った海のごみで作った『宇野のチヌ』
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まずは、ぼくの代表作を見て下さい。黒鯛(クロダイ)を表現した『宇野(うの)のチヌ』。10年以上前に作りました。ウロコをよく見ると、ミニカー、ボールやテニスのラケット、すべて海岸や河川敷(かせんしき)で拾った海のごみです。新品にはない味わい深さがある。夢中で作りました。みんなは、この作品を見てどう思うのでしょうか。「こういうごみのせいで、魚とか生き物が死んじゃったりするんだろうな。かわいそうだなって、防げることだなって思いますね」(女の人)。「今、海洋プラスチックの問題、世界中で問題になっていますし、ポイすてされたりするのを見ると残念な気持ちになりますね」(男の人)。

scene 03あまり説教くさいことは言いたくない
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環境汚染(かんきょうおせん)は、とても深刻(しんこく)な問題。ごみを使ったぼくの作品も、環境を考えるイベントで展示(てんじ)されることが多くなりました。でも、面白くてごみ拾いをしているぼくは、ちょっとズレを感じます。「環境的な視点(してん)で言うとどうしても説教くさくなっちゃう。ぼくの作品がすべてそういう視点かというとそういうわけではないので。そこがちょっと違和感(いわかん)はある」(柴田さん)。

scene 04ごみの価値を発見してほしい
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ごみ拾いって、やらされることが多いけど、それじゃあ面白くない。ぼくはまず、ごみをよく見てもらおうと、最近、ワークショップに力を入れています。「海の清掃(せいそう)をして、一回あらって」。テーブルの上にはたくさんのごみ。「このままじゃ、だれが見ても“ごみ”って感じかな」。参加者には自由に作品を作ってもらいます。教わるのではなく自分で考えることで、ごみの価値(かち)を発見してほしいのです。「フラミンゴにしたいんだよね」とお母さんに言われ、うなずく女の子。一度イメージがわくと、だれもが真剣(しんけん)そのもの。「面白がってやってくれてるのでいいですね」(柴田さん)。

scene 05価値を今すぐ決めてしまわずに
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何か別のものに見えてきたごみ。よく見ずにふくろにつめてしまうことが多いけど、もったいないな。ごみを楽しむ人が増えれば、自然とごみを拾う人も増えるとぼくは思います。「下手したら宝(たから)さがしになっているときもあるし、価値(かち)があるのかないのかって、今のところないんですけど、何かの瞬間(しゅんかん)に価値っていうのが出てくるかもしれない。今すぐ決めちゃわずに、もうちょっと考える時間があってもいいかなと思ったりします」(柴田さん)。

scene 06海岸のごみで作品を作ってもらった
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あなたの“ごみを拾う理由”を見つけてほしい。この日、大分県にある海辺の中学校をたずねました。毎年、行事として海岸のごみ拾いを続けてきた学校です。「こんにちは」。おとずれたのは、大分県佐伯(さいき)市立東雲(しののめ)中学校。これまで、集めたごみは収集(しゅうしゅう)所に送っていたそうですが、今回初めて持ち帰り、ごみで作品を作ります。「これは、イカです。お父さんがイカつりをしていて、これ見たときにおいしそうなイカだなって」とプラスチックのボトルごみを手にする女子生徒。見つめてみたら、家族のことや自分の好きなものが見えてきたんだね。

scene 07自分にとって面白い“ごみとの向き合い方”を
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「今、プラごみが問題になっている。こういう魚が誕生(たんじょう)して食べてくれればいいなぁ」と魚を作品にした男子生徒。なるほど、海をきれいにしたいっていう気持ちで作品を作ったのか。「ぼくのまわりのアーティストも、よくよく話を聞いてると、あなたそれが好みなのねとか、本当に好きな場所なんだねみたいなのが見えかくれしてくる。本人も気づいていない場合もあって」(柴田さん)。自分にとって面白いと思える“ごみとの向き合い方”をさがしてほしいな。かれらの身近には美しい海水浴場がいくつもあります。「観光で来た場合、ごみがないほうが絶対人も集まりやすいし、楽しんでもらえる。それがすごく大事だと思うので、がんばって拾っていけたらと思います」(男子生徒)。

scene 08未来のために何ができる? 
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作品作りの直後、台風のえいきょうで海岸には再び大量のプラスチックごみが。放置しておくと劣化(れっか)して小さくくだけ、海のマイクロプラスチックになる。ここまで小さくなると、もう拾うことはできない。「50年後くらいには、海の中にあるプラスチックのごみの量が、海全体の生物の量をこえるといわれている。人間もふくめた生物にえいきょうが出てくる可能性は十分に考えられるので、できることからやったほうがいいと思いますね」と東京大学大気海洋研究所教授の道田豊(みちだ・ゆたか)さんは言います。

scene 09みんなはどうごみと向き合う?
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今回、大分県内の6つの学校で作品を作ってもらいました。それをまとめて、ぼくが大きな作品を作るというプロジェクトです。「宙(ちゅう)にういている感じにしたいなと思っていて」(柴田さん)。作品を作ることでごみ問題が解決するとは思っていません。でも、未来のために、ごみとのいろいろな向き合い方が広がるといいなと思っています。みなさんは、どうごみと向き合いますか?

SEED なやみのタネ
柴田さんのなやみ ~ごみ拾いの面白さが伝わらない~
河原や海で拾ったごみを使って作品をつくるアーティスト、柴田英昭さん。環境保護の大切さを伝える一方で、「ごみ拾いの面白さ」も伝えたいと活動している。でも…

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