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(オープニングタイトル)

scene 01初恋の詩の原点
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あまく、切ない。そして、時にはほろ苦い、初恋の思い出。初恋は、くりかえし歌のテーマとなり、さまざまなアーティストが切ない思いを歌に託してきました。今回紹介するのは、そんな数ある初恋の詩の原点ともいえる作品『初恋』です。

scene 02明治時代の初々しい恋
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『初恋』が発表されたのは、明治29年。今から100年以上前のことです。この詩は、少年の初々しい恋心を美しい言葉で描き出しています。恋の相手は、日本髪を結い始めたばかりの少女です。当時、12~3歳の少女は、大人になったしるしとして、前髪をあげて髪型を変える習慣がありました。詩では少年が、りんご畑で前髪をあげたばかりの少女に出会い、恋が始まります。(画像は倉吉博物館蔵のもの)

scene 03「ついに新しき詩歌の時は来たりぬ」
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作者の島崎藤村は、明治から昭和にかけて活躍した文学者です。多くの詩や小説を残し、情感豊かなみずみずしい詩で知られています。『初恋』は、藤村が25歳のときに初めて出した詩集「若菜集」に収められています。同じころ出版された藤村の別の詩集には、藤村自身の熱い思いが記されています。「ついに新しき詩歌の時は来たりぬ。」

scene 04近づく二人の距離
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藤村は、初めての恋にゆれる少年の心を、美しく、繊細に描き出します。「まだあげ初めし前髪の/林檎のもとに見えしとき/前にさしたる花櫛の/花ある君と思ひけり」――まだ、前髪をあげたばかりのあなたが/りんごの木の下に現れたとき/前髪には花模様の櫛/そんなあなたを、花のように美しいと思った――。はじめは、少女を見つめるだけだった少年。季節の変化とともに、二人の距離は近づいていきます。きっかけは、赤く色づいたりんごの実でした。

scene 05恋の進展
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「やさしく白き手をのべて/林檎をわれにあたへしは/薄紅の秋の実に/人こひ初めしはじめなり」――やさしく白い手を差し出して/りんごを私に手渡してくれたときが/そのうっすらと赤い秋の実で/あなたを好きになる始まりだった――。「わがこころなきためいきの/その髪の毛にかかるとき/たのしき恋の盃を/君が情に酌みしかな」――思わずもれたためいきが/あなたの髪にかかったとき/うっとりとするようなたのしい恋を/あなたのやさしさで味わったのだった――。

scene 06重ねてきた時の厚み
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詩の最後に、藤村はさらに親しみを増していく情景を描きます。「林檎畠の樹の下に/おのづからなる細道は/誰が踏みそめしかたみぞと/問ひたまふこそこひしけれ」――りんご畑の木の下に/自然にできた細い道/あれは誰が歩いてできたのかしらと/お尋ねになるあなたが恋しくてならない――。りんご畑に通い続けるうちにできた細い道。二人が重ねた時の厚みを表しています。

scene 07恋愛が新しかった時代
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『初恋』は当時の若者たちに大きな反響を巻き起こします。そのころの日本では、好きな相手と自由に恋愛し結婚することは一般的ではありませんでした。しかし、個人を尊重する西洋の文化が紹介されるようになると、新しい恋愛観が生まれてきます。そうした新しい男女の関係を、この詩を通して藤村は表現したのです。自分の気持ちに正直に恋をする若い二人。その姿は、新しい時代の幕開けにふさわしい大胆で新鮮なものでした。

scene 08100年を超える共感
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『初恋』からおよそ100年。藤村が描いた、初恋ならではのときめきや緊張、喜びは、今でも共感を呼び続けています。「まだあげ初めし前髪の/林檎のもとに見えしとき/前にさしたる花櫛の/花ある君と思ひけり」。

10min.ボックス  現代文
初恋(島崎藤村)
この詩が世に出て100年。当時は恋愛自体が新鮮な概念だったが、今ではすっかり詩や詞のテーマの定番だ。この時代の恋愛観をたどり、定型詩特有のリズムを味わう。

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