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オープニング
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(オープニングタイトル)

scene 01 わが国初の随筆『枕草子』
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「春はあけぼの。やうやうしろくなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる」。『枕草子』は平安時代の半ば、今から千年以上も前に書かれた、わが国初の随筆です。長いもの、短いもの、合わせておよそ三百段の文章で成り立っています。作者は清少納言。天皇の妻に女房(高貴な人に仕える女性)として仕えた、才気あふれる女性でした。

scene 02自由な感性が感じたこと
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『枕草子』は、清少納言が宮中の暮らしのなかで見聞きしたことや考えたことなどを、かたちにとらわれず、記したものです。たとえば第一段では、季節のなかで最も趣があると感じる瞬間を切り取っています。春は、日の出前。ほのぼのと夜が明けるとき。夏は、なんといっても夜がいい。秋は、風の音や虫の音が聞こえる夕暮れどき。冬は、凛(りん)とした寒さがすばらしい早朝。

scene 03冬の早朝のすがすがしさ
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そのなかから冬の場面についてくわしく見てみましょう。「冬はつとめて。雪の降りたるは言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでもいと寒きに、火などいそぎおこして、炭持てわたるも、いとつきづきし」。冬のぴんと張りつめた寒さのなか、急いでおこした炭火を持って人々が行き来するすがすがしい早朝の様子が浮かんできます。

scene 04 貴族社会で花開いた才能
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清少納言が活躍したのは、10世紀末から11世紀にかけて。当時は、天皇や貴族を中心とした平安文化の最盛期でした。宮廷には教養ある知識人がたくさん集まっていました。そんななか、清少納言が注目されたのは30歳ごろ。天皇の妻、中宮(ちゅうぐう)定子(ていし)の女房として宮仕えを始めたことがきっかけでした。漢詩や和歌について豊富な知識を持つ清少納言は、すぐに定子のお気に入りとなります。

scene 05「香炉峰の雪は…」
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『枕草子』の一つのエピソードです。「雪のいと高う降りたるを、例ならず御格子まゐりて、炭櫃に火おこして、物語などしてあつまりさぶらふに、『少納言よ。香炉峰の雪いかならむ』と仰せらるれば、御格子上げさせて、御簾を高く上げたれば、笑はせたまふ」。雪の日、女房たちが集まっていると、定子が「香炉峰の雪はどうかしら」と尋ねました。漢詩の「香炉峰の雪はすだれをかかげてみる」という有名な一節を思い出した清少納言は、御簾を高く巻き上げて雪景色を見せました。雪を見たいという定子の気持ちを察したのです。

scene 06するどい観察眼
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清少納言のするどい感性は、およそ百六十段を占める「ものづくし」と呼ばれる文章に遺憾なく発揮されています。たとえば、「うつくしきもの、瓜にかきたるちごの顔。雀の子のねず鳴きするにをどり来る。二つ三つばかりなるちごの、いそぎて這ひ来る道に、いと小さき塵のありけるを、目ざとに見つけて、いとをかしげなる指にとらへて、大人ごとに見せたる、いとうつくし」。はいはいしている子どもがごみを見つけ、小さな指で拾って大人に見せる、そんな仕草のかわいらしさ。小さいものに対するやさしいまなざしが感じられます。

scene 07「ありがたきもの」
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「ありがたきもの」。これは、今の言葉でいう「めったにないもの」について書いた文章です。「ありがたきもの。舅(しゅうと)にほめらるる婿(むこ)。また、姑(しゅうとめ)に思はるる嫁の君。男女をばいはじ、女どちも、契り深くて語らふ人の、末までなかよき人かたし」。舅と婿、姑と嫁。そして友だちどうしの付き合い方など、人間関係の微妙さ、難しさが、時代を超えて伝わってきます。

scene 10今と変わらない人々のすがた
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『枕草子』の人気の秘密は、こうしたするどい人間観察や、それを簡潔な言葉で表すみごとな表現力にあります。清少納言が宮廷の暮らしのなかで、日々感じたことを生き生きと描いた『枕草子』。そこには、現代と少しも変わらない人々のすがたを見ることができるのです。

10min.ボックス  古文・漢文
枕草子(清少納言)
豊かな感性とあふれる知性が魅力の「枕草子」。作者清少納言は、天皇の妻に仕えるエリート女官だった。雅な宮廷の文化を解説し、この古典をより面白く読む。

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