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オープニング
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(オープニングタイトル)

scene 01日本人が親しんできた漢詩
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何千年もの歴史を持ち、豊かな文化を花開かせた中国。なかでも「漢字」は、まわりの国々に大きな影響を与えてきました。固有の文字を持たなかった日本は、中国から漢字を学ぶことで、自分たちの文化を築いてきました。やがて、中国の詩「漢詩」に出会い、8世紀半ばには最初の漢詩集を作ります。貴族や僧侶などの知識人にとって、漢詩を作ったり読んだりすることは、一流の教養人であることの証と見なされてきました。

scene 02のどかな春の朝を詠んだ「春暁」
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日本人に親しまれてきた漢詩の一つ、孟浩然の「春暁」です。「春眠暁を覚えず 処処啼鳥を聞く 夜来風雨の声 花落つること知る多少」。――春の眠りは夜明けに気づかないほど心地よい、あちらこちらで鳥の声が聞こえる、ゆうべは雨や風の音がしていた、花はどれほど散ってしまったことだろう。のどかな春の朝の様子が、短い言葉でみごとに描き出されています。

scene 03漢詩が発展した唐の時代
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7世紀から9世紀にかけて栄えた唐の時代。漢詩はめざましく発展しました。都が置かれた長安はさまざまな人が行き交う国際都市として繁栄を極め、文化的な活動が盛んになります。文字の数や並べ方など、漢詩の複雑な決まりが完成し、多くの優れた詩人が活躍しました。漢詩の規則の一つに、「押韻(おういん)」があります。たとえば「春暁」の詩で使われている「暁」、「鳥」、「少」の三つの文字。この三文字は同じ発音を含んでいます。同じ発音を含んだ文字を決まった場所に置くことで、詩全体の美しいリズムが生まれます。

scene 04酒と月を愛した詩人、李白
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唐の時代の優れた詩人の一人が李白です。酒と月をこよなく愛し、旅を続け、雄大でロマンチックな作品を数多く生み出しました。中国一の大河、長江のほとりで、黄鶴楼の上から先輩詩人孟浩然を見送った詩が、「黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る」です。「故人西のかた黄鶴楼を辞し 煙花三月揚州に下る 孤帆の遠影碧空に尽き 唯だ見る長江の天際に流るるを」。友人を乗せた船は遠ざかり、やがて青い空に吸い込まれるように見えなくなります。あとには、長江が空の果てに流れゆくのが見えるだけです。

scene 05社会の矛盾を見すえた詩人、杜甫
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李白と並び称される詩人、杜甫。その生涯は苦難に満ちたものでした。戦争や貧困など、社会を見すえた詩が数多く残っています。戦乱によって破壊された長安の都で詠んだ「春望」です。「国破れて山河在り 城春にして草木深し 時に感じては花にも涙を濺ぎ 別れを恨んでは鳥にも心を驚かす 烽火三月に連なり 家書万金に抵たる 白頭掻けば更に短く 渾べて 簪に勝へざらんと欲す」。都が戦乱で崩壊しても、変わることのない自然。一方で、はかなく移ろう人の世の姿。杜甫の深い絶望感が伝わってきます。

scene 06日本文学への影響 
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漢詩の影響はさまざまな日本文学にも見られます。江戸時代、松尾芭蕉は『おくのほそ道』で杜甫の詩を引用しています。かつて繁栄を極めた町が、跡形もなくすたれてしまった光景を描いた部分です。「国破れて山河あり、城春にして草青みたりと、笠打敷て時のうつるまでなみだを落し侍りぬ」。

scene 07伝わり続ける思い
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自然の美しさや、人生の苦しみや喜び。漢詩にこめられた思いは、時代と国境を越えて伝わり続けています。

10min.ボックス  古文・漢文
漢文(2)漢詩
日本の文学に長年にわたって大きな影響を与えてきた漢詩。杜甫や李白の詩を読みながら、時代も、国も、言語も越えて味わうことができる不思議を解き明かす。
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