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オープニング
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(オープニングタイトル)

scene 01「語り」で表現する笑いの世界
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日本伝統の話芸、「落語」。自らが発する言葉とわずかな身振りで、笑いの世界を表現します。落語の基本は「語り」。落語家は、座布団一枚の上にすわり、聴く人を笑いの世界に引き込んでいきます。落語には、大がかりなセットも、派手な衣装もないのです。

scene 02江戸時代に生まれた原型
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庶民の暮らしを題材に、登場人物の会話をもとにおもしろおかしく語る、落語。その原型が生まれたのは17世紀ごろ、江戸時代だといわれています。「辻ばなし」と呼ばれるおもしろい話をしてお金をかせぐ人たちが現れたのです。初めは寺の境内や河原などで行われていましたが、次第に座敷などでも演じられるようになりました。幕末から明治時代にかけて人気はさらに高まり、落語を演じる演芸場「寄席」が、東京、大阪を中心に次々に作られました。

scene 03稽古を通して伝えられていく話芸 
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その後、ラジオやテレビが普及するようになると、落語は寄席だけでなく、全国いたるところで親しまれるようになりました。落語には決まった台本というものはありません。師匠から弟子へ、口から口へ、語り継がれ、受け継がれてきたのです。科白(せりふ)や細かな手の動き、目線など、稽古を通して伝えられてきました。

scene 04古典落語と新作落語
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落語の噺(はなし)は大きく二つに分かれています。明治時代の半ばまでに作られた古典落語と、それ以降に作られた新作落語です。古典落語の一つ、『みそ豆』を紹介しましょう。みそ豆とは、味噌を作る前のおいしく煮えた大豆のこと。このみそ豆をめぐる、主人と定吉(さだきち)のやりとりです。台所のみそ豆が煮えたかどうか見てくるように言われた定吉は、見ただけではわからないからと、ひと粒食べてみます。よく煮えておいしいので次々に食べていると、主人に見つかってしかられてしまいます。

scene 05登場人物の立場を表す決まり
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登場人物の会話を通して話を展開するのは、落語の特長の一つです。落語家は、一人で複数の登場人物を演じ分けなくてはなりません。登場人物のなかで立場が上の人、家の中にいる人は、舞台の上手(かみて)、つまり観客から見て右側に、そして立場が下の人、家の外にいる人は、舞台の下手(しもて)にいることになっています。立場が上の人は上手から下手に向かってしゃべるので、顔が客席から見て左側を向きます。この区別を、落語家は「上下(かみしも)を切る」といいます。

scene 06人物を演じ分けるしぐさ
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目線だけでなく、細かなしぐさや表情は、人物を演じわける上で大切なポイントです。たとえば、職人、おかみさん、子ども、侍という年齢や性別、職業も違う四人はどう演じ分けられるのでしょうか。職人の場合はちょっとこぶしを握り、おかみさんは少し手を横に置きます。子どもが出てくるときは目線が上を向き、手を前に組んで何かをねだるようなしぐさ。侍が出てくるときは、少しひじを張って構え、低い声でしゃべるのです。

scene 07洗練され続けてきたわざ
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さらに、人物を表現する上で欠かせないのが、扇子や手ぬぐいなどの小道具です。『みそ豆』では、煮えた豆をすくうしゃもじに見立てて扇子が使われています。一方、そばを食べる動作のときは扇子が箸(はし)に、たばこを吸うしぐさでは煙管(きせる)になります。そのほか、扇子は酒を飲むときのさかずきや、刀、槍(やり)に見立てても使われます。日本伝統の話芸、落語。それを支えているのは、笑いを極めるために洗練され続けてきた人物を演じ分けるわざであり、落語家の語りなのです。

scene 08古典落語『みそ豆』の「オチ」
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『みそ豆』の続きを見てみましょう。煮えた豆を食べていてしかられた定吉、今度は山田さんのところへ行って、品物が届いているかどうか聞いてくるよう主人に言われます。定吉が出かけたあと、主人がふと豆を見ると、なるほどおいしそうです。ひと粒食べてみた主人も、おいしいので次々に食べますが、そんなところを見られたら定吉をしかることができなくなります。そこで、一人になれてだれも来ないところで食べようと考え、主人はおわんに豆をよそって、便所に入ります。そこへ戻ってきた定吉は…。

10min.ボックス  古文・漢文
落語
しぐさや声色一つで、複数の人物を造形し、聞き手の想像力をかき立てる落語。古典落語の例を紹介しつつ、根強い人気を誇るこの話芸の魅力を探る。

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