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scene 01世界でもっとも短い詩「俳句」
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「雪とけて村いっぱいの子どもかな」。“春”というとどんな景色(けしき)を思いうかべますか。日本には、四季折々(しきおりおり)の風景(ふうけい)や感じたことを、とても短い言葉で表現(ひょうげん)する方法(ほうほう)があります。それが「俳句(はいく)」です。世界でもっとも短い詩、ともいわれています。どんな景色なのか想像(そうぞう)してみましょう。

scene 02雪とけて村いっぱいの子どもかな
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「雪とけて村いっぱいの子どもかな」――春が来て、雪がとけ、子どもたちが大よろこびで外で遊び始めた。村じゅう、子どもでいっぱいだ。江戸時代の信濃(しなの)の国、今の長野県に小林一茶(こばやし・いっさ)という人がいました。一茶が村の風景(ふうけい)を見てよんだのが、この作品です。「雪とけて村いっぱいの子どもかな」。

scene 03「季語」を入れる
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五・七・五の十七音で作る俳句。昔も今も、多くの人がよんでいます。俳句にはルールがあります。その一つが「季語(きご)」。季節(きせつ)を表す言葉のことで、俳句にはかならず入れることになっています。たとえば、「雪とけて村いっぱいの子どもかな」という俳句の季語は「雪とけて」。雪がとけること、つまり「雪どけ」は、春の季語です。春の季語…雪どけ、ふきのとう、梅(うめ)、つばめ、つくし、木の芽(このめ)、さくら、おぼろ月、菜の花(なのはな)…。

scene 04菜の花や月は東に日は西に
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「菜の花(なのはな)や月は東に日は西に」――菜の花がさいている。月が東からのぼり、日が西にかたむいている。これは、江戸時代に、与謝蕪村(よさ・ぶそん)という人が、菜の花とうつりかわる空の様子をよんだものです。「菜の花や月は東に日は西に」。

scene 05季語をまとめた「歳時記」
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季語(きご)はおよそ3万あるといわれています。それをまとめたのが、「歳時記(さいじき)」です。歳時記には春、夏、秋、冬を表す言葉が書いてあります。江戸時代の歳時記を見ると、当時の人たちがどんな言葉に季節(きせつ)を感じていたかがわかります。そして今の歳時記には新しい季語も登場しています。4月に行われる「入学式」は春の季語。「アイスクリーム」はもちろん夏の季語。時代とともに、季語もうつりかわっているのです。

scene 06春の季語「ふらここ」
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春の季語(きご)にはこんなものもあります。「ふらここ」。これはぶらんこのことです。「ふらここの会釈(えしゃく)こぼるるや高みより」(炭太祇:たん・たいぎ)――ぶらんこを高くこぎ上げながら、あいさつをしているよ。まるで笑顔(えがお)がこぼれ落ちてきそうだ。

scene 07「風船」も春の季語
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「風船」も春の季語です。「風船を手放すここが空の岸」(上田五千石:うえだ・ごせんごく)――風船を手放したら、どんどん空にのぼっていく。ここが、空が始まる場所、岸辺(きしべ)のような気がする。

scene 08春から夏へ
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菜の花(なのはな)、ぶらんこ、風船、おたまじゃくし、遠足、子ねこ、春風、母の日、あめんぼ、かぶと虫…。「かぶと虫」ということは、夏!? 「ひっぱれる糸まっすぐや甲(かぶと)虫」――糸がピーンとまっすぐになっている。その先には、引っぱっているかぶと虫。「ひっぱれる糸まっすぐや甲虫」(高野素十:たかの・すじゅう)。

scene 09万緑の中や吾子の歯生え初むる
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「万緑(ばんりょく)の中や吾子(あこ)の歯生え初(そ)むる」――見わたすかぎりの力強い緑にかこまれて、小さなわたしの子どもにはじめて歯が生えてきた。「万緑の中や吾子の歯生え初むる」(中村草田男:なかむら・くさたお)。

おはなしのくにクラシック
雪とけて 俳句(1)春・夏
たった17文字で豊かな世界を表現する世界最短の文学、俳句。江戸時代から近代以降の名句を、春・夏を中心にバリエーション豊かに紹介する。

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