チャプターあらすじを読む
scene 01今日のお話「いなばの白うさぎ」
ないようを読む

神話。それは、遠い遠い昔、世界がどんなふうに始まったのかをつたえる物語のことで、いろいろな神様が出てきます。今日しょうかいするのは、日本につたわる神話の一つ、「いなばの白うさぎ」です。登場するのは、オオクニヌシノミコトという心のやさしい神様、いじわるでわがままなオオクニヌシの兄弟たち、そして、うさぎです。さて、どんなお話でしょう。今の言葉と昔の言葉で聞いてみましょう。

scene 02サメをだましたうさぎ
ないようを読む

むかしむかし隠岐(おき)という島に、1ぴきのうさぎがおりました。うさぎは海の向こうの広い陸地(りくち)にあこがれていました。ある時うさぎは悪だくみを思いつき、海にいるサメに言いました。「うさぎとサメ、どちらの一族が多いかくらべよう。お前たち、なかまをつれてきて島から岸までならばせろ」。サメはすっかり本気にして一列にならびました。うさぎはその上を、数を数えながらピョンピョンととんで海をわたり、さいごに「お前たち、だまされたな!」と言いました。そのとたん、はじっこのサメがおこってうさぎをつかまえ、毛皮を全部はがしてしまいました。

scene 03サメをだましたうさぎ(原文)
ないようを読む

――かれ、海のわにをあざむきて言ひしく、「吾(あれ)と汝(なむち)と、くらべて、族(うがら)の多さ少なさを計らむとおもふ。かれ、汝は、その族のありのまにまに、ことごとく率(ゐ)て来て、この島より気多(けた)の前(さき)にいたるまで、みな列(な)みふしわたれ」。吾、その上をふみ、読みわたり来て、今地(つち)に下りむとする時に、吾(あ)がいはく、「汝は、我(あれ)にあざむかえぬ」と言ひをはるに、すなわち最(もと)もはしにふせりしわに、我をとらへて、ことごとく我(あ)が衣服(ころも)をはぎき。

scene 04日本の神々の物語『古事記』
ないようを読む

はるか昔、日本の神様たちの物語は、地域(ちいき)ごとに人から人へとつたえられていました。そこで、およそ1300年前、天皇が命じて一つの書物にまとめさせました。それが『古事記』。日本でいちばん古い本といわれています。「いなばの白うさぎ」のお話もこの本にのっています。『古事記』にはたくさんの神様が出てきます。たとえば、日本列島をつくったイザナギノミコトとイザナミノミコト。ヤマタノオロチという怪物(かいぶつ)を退治(たいじ)したスサノヲノミコト。どの神様もわくわくするような物語をくりひろげています。

scene 05意地悪な兄弟たちのアドバイス
ないようを読む

さて、サメに毛皮をはがれたうさぎは、海岸でいたみのあまりないていました。そこに通りかかったのが、オオクニヌシの兄弟たちでした。意地悪な兄弟たちは、にやりとわらってこう言いました。「こうしたらいいよ。この海の水をあびて、風に当たって、高い山のてっぺんで横になるんだ」――汝(なむち)がせまくは、この海塩(うしほ)を浴(あ)み、風のふくに当たりて、高き山の尾上(をのへ)にふせれ。――うさぎはその通りにしました。すると、塩(しお)と風で皮がさけ、ますますはげしいいたみにおそわれたのです。

scene 06オオクニヌシのアドバイス
ないようを読む

そこへ今度はオオクニヌシが通りかかりました。兄弟たちの荷物を持たされて、あとからやってきたのです。オオクニヌシはうさぎにやさしくこう言いました。「今すぐ川の水で体をあらいなさい。そしてガマの花をしきつめてその上に横たわるといいよ。そうすれば、お前の体はきっと元通りになるだろう」――今すむやけくこの水門(みなと)にゆき、水をもちて汝(なむち)が身を洗(あら)ひて、すなはちその水門の蒲黄(かまのはな)を取り、しき散(ち)らしてその上にこいまろばば、汝が身、もとのはだのごとく必(かなら)ずいえむ。

scene 07物語の舞台といわれる海岸
ないようを読む

オオクニヌシノミコトのおかげで、うさぎはすっかり元気になりました。この海岸が「イナバ」という国にあったことから、このお話は「いなばの白うさぎ」とよばれています。物語の舞台(ぶたい)といわれる場所が実際(じっさい)にあります。「白い兎(うさぎ)」と書いて、白兎(はくと)海岸とよばれています。

scene 08うさぎとサメ、どちらの一族が…
ないようを読む

もう一度、物語の名場面を聞いてみましょう。「うさぎとサメ、どちらの一族が多いかくらべよう。お前たち、一族をみんなつれてきて、島から岸までならばせろ」――吾(あれ)と汝(なむち)と、くらべて、族(うがら)の多さ少なさを計らむとおもふ。かれ、汝は、その族のありのまにまに、ことごとく率(ゐ)て来て、この島より気多(けた)の前(さき)にいたるまで、みな列(な)みふしわたれ。

scene 09今すぐ川の水で… 
ないようを読む

「今すぐ川の水で体をあらいなさい。そしてガマの花をしきつめてその上に横たわるといいよ」――今すむやけくこの水門(みなと)にゆき、水をもちて汝(なむち)が身を洗(あら)ひて、すなはちその水門の蒲黄(かまのはな)を取り、しき散(ち)らしてその上にこいまろばば、汝が身、もとのはだのごとく必(かなら)ずいえむ。

おはなしのくにクラシック
古事記「いなばの白うさぎ」
「古事記」から、子どもに親しまれている「いなばの白うさぎ」を原文で読む。また、日本神話の由来について解説する。

クリップ

教材きょうざい資料しりょう

教材・資料(先生向け)

配信はいしんリスト

今年度こんねんど放送ほうそう

その放送ほうそう