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scene 01“秋”を感じる言葉
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すいか、朝顔、とうもろこし、えだ豆、残暑(ざんしょ)、コスモス、すず虫、秋の空…。もうすっかり秋ですね。みんなは、どんな言葉に“秋”と感じますか。たとえば、夕日、赤とんぼ…。「俳句(はいく)」は、季節(きせつ)の風景(ふうけい)や、そのときに感じたことを五・七・五のとても短い言葉で表現(ひょうげん)する詩です。たとえば、有名な秋の俳句にこんな句があります。「柿(かき)くえば鐘(かね)が鳴るなり法隆寺(ほうりゅうじ)」。

scene 02柿くえば鐘が鳴るなり法隆寺
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――柿(かき)を食べていたら、法隆寺の鐘(かね)が鳴った。これは、明治時代、正岡子規(まさおか・しき)という人が奈良にある法隆寺というお寺をたずねたときの俳句です。柿の味。鐘の音。秋のひんやりした空気。いろいろな感覚(かんかく)がつたわってきます。「柿くえば鐘が鳴るなり法隆寺」。

scene 03名月を取ってくれろとなく子かな
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秋といえば、月。秋は空気がすんでいるので、月がくっきりと見えます。「名月(めいげつ)を取ってくれろとなく子かな」――きれいな月が出ている。あの月を取ってちょうだい、と子どもがないているよ。これは、江戸時代の小林一茶(こばやし・いっさ)という人の作品です。月を取ることなんてできないのに、子どもが言うことは昔もかわいかったんですね。「名月を取ってくれろとなく子かな」。

scene 04季語にみられる細やかな季節感
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俳句で使う、季節(きせつ)を表す言葉を「季語(きご)」といいます。季語を見ていると、日本人がとても細やかに季節を感じていることがわかります。たとえば、“月”は秋の季語。でも、ぼんやりかすむ“おぼろ月”は春の季語。寒い季節のくっきりとした月を表す“寒月(かんげつ)”という言葉もありますが、これは冬の季語なのです。

scene 05「おぼろ月」の句と「寒月」の句
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「おぼろ月みそ煮(に)る町の匂(にお)いかな」(横井也有:よこい・やゆう)――おぼろ月の春の夜。町には、みそで何かを煮る匂いがただよっている。「寒月や門なき寺の天高し」(与謝蕪村:よさ・ぶそん)――こおりつくような月が出ている寒い夜。門がない小さなお寺の上には、夜空が高く広がっている。

scene 06雪の朝二の字二の字の下駄のあと
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すすき、どんぐり、みのむし、わたり鳥、冬じたく、北風、マフラー、かれ木、こたつ、雪…。もう冬ですね。「雪の朝二の字二の字の下駄(げた)のあと」――雪の朝、下駄で歩いたあとが、二の字をくりかえし書いたみたいだ。これは、江戸時代、今の兵庫県で女の子がよんだ俳句。なんと、6歳(さい)のときの作品といわれています。「雪の朝二の字二の字の下駄のあと」(田捨女:でん・すてじょ)。

scene 07咳の子のなぞなぞあそびきりもなや
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「咳(せき)の子のなぞなぞあそびきりもなや」――咳をしている子が、ねていて退屈(たいくつ)している。なぞなぞ遊びがいつまでも終わらない。これは、昭和時代に活躍(かつやく)した女性の俳句。子どもの看病(かんびょう)をしたときのことをよんでいます。「咳の子のなぞなぞあそびきりもなや」(中村汀女:なかむら・ていじょ)。

scene 08梅一輪一輪ほどの暖かさ
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つらら、ひなたぼっこ、水せん、雪どけ、ふきのとう、うぐいす、梅(うめ)…。また春が来ました。昔も今も、季節(きせつ)はくりかえしめぐりつづけているんですね。「梅一輪(いちりん)一輪ほどの暖(あたた)かさ」(服部嵐雪:はっとり・らんせつ)――梅が一輪さいた。一輪分、暖かくなった。

おはなしのくにクラシック
柿食えば~俳句(2)秋・冬
秋・冬の名句を、江戸時代から近代以降まで、バリエーション豊かに紹介する。

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