チャプターあらすじを読む
scene 01田子の浦に…
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藤原定家(ふじわらの・ていか)がえらんだ名歌の数々。まずしょうかいするのは…。「田子の浦(たごのうら)にうちいでて見れば白妙(しろたへ)の 富士(ふじ)の高嶺(たかね)に雪は降(ふ)りつつ」――田子の浦のながめのいいところに出てみると、真っ白な富士山の高い嶺(みね)に、雪がしきりに降っているんだ。これは奈良時代の歌人・山部赤人(やまべの・あかひと)が、今の静岡市の海岸から冬の富士山を見たときに詠(よ)んだ歌です。

scene 02百人の歌人の歌を一首ずつ
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『百人一首』は、今から800年くらい前の鎌倉時代にまとめられた和歌集です。百人の歌人の、すぐれた和歌を一首ずつえらんだので、『百人一首』とよばれています。そして、この“和歌ベスト100首”をえらんだのが、藤原定家です。

scene 03久方の…
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次の和歌は、「久方(ひさかた)の光のどけき春の日に しづ心(ごころ)なく花の散(ち)るらむ」――日の光がのどかな春の日なのに、なぜさくらの花だけが落ち着きなく散るのだろうか。これは、平安時代の歌人・紀友則(きの・とものり)が、はかなく散ってしまうさくらの花をおしんで詠(よ)んだ歌です。

scene 04花の色は…
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つづいての和歌は、あの絶世(ぜっせい)の美女が詠(よ)んだ歌です。「花の色は移(うつ)りにけりないたづらに 我が身(わがみ)世にふるながめせしまに」――美しかった花の色はすっかり色あせてしまった。長雨がふりつづくあいだに。わたしの美貌(びほう)もおとろえてしまったわ。ぼんやりと物思いをしているあいだに。作者は平安時代の歌人・小野小町(おのの・こまち)。雨で色あせていくさくらの花に、愛(あい)した人との恋(こい)もかなわず、年老(お)いていく自分のすがたを重ねて詠んだ歌です。

scene 05ちはやぶる…
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和歌はたった三十一音の中に、作者が感動した自然(しぜん)の風景(ふうけい)や、そのときどきの気持ちがこめられています。次は、マンガのタイトルにもなった歌です。「ちはやぶる神代(かみよ)も聞かず竜田川(たつたがは) からくれなゐに水くくるとは」――ふしぎなことが多い神々の時代でも聞いたことがない。竜田川が、もみじでしぼり染(ぞ)めのように真っ赤に染まるなんて。これは平安時代の歌人・在原業平(ありわらの・なりひら)が、奈良の竜田川に、紅葉(こうよう)したもみじの葉が流れる様子を詠(よ)んだ歌です。

scene 06今も親しまれる「競技かるた」
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『百人一首』は、江戸時代のころから「かるた」として楽しまれるようになりました。今もしたしまれている「競技(きょうぎ)かるた」の名人は、『百人一首』を全部暗記しているので、歌をほんの少し聞いただけで取るという神業ができるのです。

scene 07瀬を早み…
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ここまでは四季折々(しきおりおり)の風景(ふうけい)を詠(よ)んだ和歌でしたが、『百人一首』には、恋(こい)の歌もたくさんあります。その一つが、「瀬(せ)を早み岩にせかるる滝川(たきがは)の われても末(すえ)に逢(あ)はむとぞ思ふ」――川の流れが速くなり、岩にせき止められて二つに分かれてもすぐに合流して一つになるように、たとえ今は恋しい人とわかれても、またいつかきっと再会(さいかい)しようと思う。これは、平安時代の天皇・崇徳院(すとくいん)が、川の流れの行く末に自分の恋の未来(みらい)を重ねて詠んだ歌です。

scene 08君がため…
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最後(さいご)は、『百人一首』指おりの美しい歌です。「君がため春の野にいでて若菜(わかな)つむ わが衣手(ころもで)に雪は降(ふ)りつつ」――あなたのために、春の野原に出かけて若菜をつんでいるわたしのそでに、雪がしきりに降りかかってくるよ。これは、平安時代の光孝(こうこう)天皇が、雪が降るなかで、大切な人を思いながら春の若菜をつんだときの歌です。…「君がため春の野にいでて若菜つむ わが衣手に雪は降りつつ」。

おはなしのくにクラシック
百人一首
お正月の定番、百人一首。いくつかの歌を、意味や背景を知りながら味わい、カルタではなく、短歌という日本文化として見直す。