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オープニング
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オープニングタイトル

scene 01じさまが山へたきぎとりに
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むかしむかし、あるところに、なかのいい、じさまとばさまがすんでいました。ある日のこと、じさまは山へたきぎをとりに出かけました。ばさまは、じさまのためにおいしいおむすびをどっさり作ってあげました。じさまが山でカッコーン、カッコーンと木を切っているうちに、お昼どきになりました。「どうれ。ばさまのおむすびでも食べっかな」。そう言ってつつみを開いたとたん、おむすびが一つころげでて、坂道をコロコロコロコロ、ころがりはじめました。「まて、まてぇ~ぃ!」。〔語り:阿藤快(あとう・かい)さん〕

scene 02おむすびがころがってあなの中へ
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だけどおむすびはとまりません。コロコロころがって、地面(じめん)にあいたあなの中にころがりおちました。するとあなの中から、「♪おむすびころりん すっとんとん ころころころりん すっとんとん♪」と歌が聞こえました。「これはおもしろい!」。じさまはおもしろくなって、おむすびをまた一つ、あなの中へほうりこみました。するとまた、「♪おむすびころりん すっとんとん…♪」。また一つおむすびをほうりこむと、「♪おむすびころりん すっとんとん…♪」。じさまは、おむすびを一つのこらずあなの中へほうりこんでしまいました。

scene 03ねずみのしっぽにつかまって
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「これはしまった。せっかくのおむすびがなくなってしもうた!」。じさまがそうさけんだとき、あなの中から1ぴきのねずみが出てきました。そして、「おいしいおむすびをごちそうさまでした。お礼(れい)をさし上げたいと思います。しっぽにつかまって、目をつぶっていてください」と言いました。じさまが目をつぶってしっぽにつかまると、ねずみはあなの中に入っていきました。「ひぇ~~~っ」。

scene 04ねずみたちのもちつき
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「じさま、目をあけてください」。そう言われて目をあけたじさまはおどろきました。そこにはねずみの御殿(ごてん)があって、ねずみたちがもちつきのじゅんびをしていました。するとねずみが、「今から、もちをつきはじめっけど、けっして『ニャア』と言わんでくれよ。わしら、ねこは大のにがてだからな」とじさまに言いました。「ああ、けっして言わねぇ」。じさまがやくそくすると、もちつきがはじまりました。

scene 05おみやげの“こづち”
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「♪ぺったん ぺったん ちゅ~ちゅ~ちゅ~ ねこのいぬまにぺったんこ ねこの鳴き声ごめんだよ ぺったん ぺったん ちゅ~ちゅ~ちゅ~♪」。ねずみたちはついたおもちを、じさまにたくさん食べさせました。「すっかりごちそうになりました。これで、おいとまいたしましょ」。じさまがそう言うと、ねずみが言いました。「じさまは本当によいお人だ。さあ、おみやげをもって帰ってください」。じさまは、ねずみから“こづち”をもらって帰っていきました。

scene 06もらったこづちをふると…
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じさまは、家に帰ると、今日のことをばさまに話しました。「まあまあ、それはそれは」と、ばさまはよろこびました。そして、こづちをふりふり、おどりました。「♪おむすびころりん すっとんとん ころころころりん すっとんとん♪」。するとどうしたことでしょう。こづちをふるたびに、「あれあれあれぇ~っ?!」。白いお米がざぁらざら。金の小判(こばん)がザックザク。じさまとばさまは、またまた大よろこび! 

scene 07よくばりじさまとばさま
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ところが、この話を、となりのよくばりじさまとばさまが聞きつけました。そこで、自分たちもねずみからおみやげをもらおうと思いました。まずは、よくばりばさまがでっかいおむすびをにぎりました。そして、よくばりじさまが、そのおむすびをもって山へ出かけていきました。よくばりじさまは、ねずみのあなに、でかいおむすびをぎゅうぎゅうとつめこみました。すると、やっぱり歌が聞こえてきました。「♪おむすびどんどん ぎゅうぎゅうぎゅう もうたくさんだよ ぎゅうぎゅうぎゅう♪」。よくばりじさまはどなりました。「え~い! はやく、わしをむかえに来~い!」。

scene 08よくばりじさまもねずみのあなの中へ
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すると、あなの中からねずみがあらわれました。それで、よくばりじさまも、しっぽにつかまってあなの中に入っていきました。あなのそこにつくと、ねずみがじさまに言いました。「今から、もちをつきはじめっけど、けっして『ニャア』とは言わんでくれよ。わしら、ねこは大のにがてだからな」。「ああ、けっして言わねえ」と言いながら、よくばりじさまは「しめた!」と思いました。ねこの鳴き声をまねて、ねずみたちをおっぱらってしまえば、おたからを一人じめできると思ったのです。

scene 09「ニャア~」と言ったとたん
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「♪ぺったん ぺったん ちゅ~ちゅ~ちゅ~ ねこのいぬまにぺったんこ ねこの鳴き声ごめんだよ♪」。「今だ!」と思ったよくばりじさまは、大声で「ニャア~!!」とさけびました。ねずみたちは大さわぎ。すると、あたりはまっくらになってしまいました。「た、たすけてくれえーい!」。あっちこっち、まっくらな地面(じめん)の下をさまよっているうちに、とうとうよくばりじさまは、もぐらになってしまったそうな。

おはなしのくに
おむすびころりん
作者:日本の昔話 語り:阿藤快