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オープニング
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オープニングタイトル

scene 01ふぶきの日に
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むかし、武蔵国(むさしのくに)のある村に、茂作(もさく)とみの吉(きち)という二人の猟師(りょうし)がすんでいました。ある年の冬(ふゆ)、二人はいつものように山へ猟に出かけました。ところがどうしたことか、その日にかぎって、えものがとれません。と、とつぜんあたりがくらくなり、ゴオオオッと山がなって、みるみるうちにはげしい雪(ゆき)がふりはじめました。ふぶきでまっ白になり、前(まえ)もうしろも見えません。そのなかを二人は、はうように山小屋(やまごや)にたどりつきました。〔語り:安達祐実(あだち・ゆみ)さん〕

scene 02山小屋の夜
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「今夜(こんや)はここにとまるべ」。「そうすべ」。山小屋(やまごや)で夜(よる)をすごすことにした茂作とみの吉は、いろりに火をつけ、蓑(みの)にくるまって横(よこ)になりました。年よりの茂作はすぐにいびきをかきはじめました。しかし、まだわかいみの吉は、外(そと)のふぶきのおそろしい風(かぜ)の音が気になってなかなかねつけません。どれほどたったでしょう。ゾクッとするようなさむさにおそわれ、みの吉は目をさましました。

scene 03雪女とのであい
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そこには白装束(しろしょうぞく)のわかいむすめが立っていました。『だれだ?』。みの吉はさけぼうとしましたが声(こえ)が出ません。おきあがろうとしても、なぜか指(ゆび)一本うごかすことができません。むすめはねむっている茂作の上にかがみこむと、「ふうっ」と、白くこおった息(いき)をふきかけました。『やめろ!』。

scene 04雪女とのやくそく
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するとむすめは音もなくちかづいてきました。みの吉の上にかがみこむと、顔(かお)をちかづけてきます。その目はぞっとするほどくろく、おそろしい。しかし、すきとおるような白い顔は、この世(よ)のものとはおもえないほど、うつくしいのでした。「わたしはおまえが気に入った。だから命(いのち)はとらないことにする。だが、いま見たことをけっして人にいってはならない。もしいったときには、おまえの命はないとおもえ。やくそくしたぞ」。そういうと、むすめはきえてしまいました。気がつくと、すでに茂作はこおりついたように息(いき)たえていました。

scene 05お雪というむすめ
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そうして一年がたった、やっぱりふぶきの夜(よる)のこと。「トン、トン」。戸(と)をたたく音がしました。みの吉が戸をあけると、なんともうつくしいむすめが一人しょんぼりと立っています。「旅(たび)のものですが、道(みち)にまよってなんぎしております。こんばんひとばん、とめてもらえませんか」。みの吉は見るに見かねて、むすめを中へ入れてやりました。むすめはお雪(ゆき)という名でしたが、みの吉はこのお雪に心(こころ)ひかれていきました。雪は七日のあいだふりつづきました。そうこうするうちに、お雪は村にすみつき、みの吉のよめになりました。

scene 06美しい よめ
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お雪はうつくしいだけでなく、よくはたらく、いいよめでした。二人のあいだにはつぎつぎ子どもも生まれ、しあわせな日がつづきました。ただ一つふしぎなことは、お雪はお天道様(てんとうさま)がきらいで、昼間(ひるま)はけっして外(そと)へ出ないことでした。

scene 07ふぶきの夜
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こうして何年(なんねん)かたった、ある冬(ふゆ)のこと。この日もやっぱり、ふぶきの夜(よる)でした。みの吉はお雪の横顔(よこがお)を見るうちに、ふと、茂作じいさんがなくなったあの日のことがうかんできました。「おもいだすでよ。あのばんのことを。茂作じいさんがしんだばんのことだ。あのばんも、今日(きょう)みたいなふぶきだった…」。みの吉は、あの夜のことをはじめて口にしました。しかし、いっぺんはなしはじめるととまらなくなって、なにもかもお雪にはなしてしまいました。

scene 08やぶられた やくそく
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「だども、ふしぎなこともあるもんだ。おまえはあのばんの女にようにとる。あのおそろしいくろい目、まっ白い顔(かお)…。あれはもしかしたら、おら、雪女(ゆきおんな)ではねえかとな…」。みの吉がそこまでいったときでした。お雪が立ち上がると、きゅうに戸(と)がひらき、ふぶきがふきこんできました。

scene 09雪女とのわかれ
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「とうとういってしまったな。けっしていってはならないとやくそくしたのに、おまえはやくそくをやぶったな! そうだ。おまえがいうとおり、わたしは雪女(ゆきおんな)だ。命(いのち)をもらうやくそくだが、子どもらがふびんだから、命だけはたすけてやる。これで、わたしたちはおわかれだ」。そういうと、雪女のすがたはあとかたもなくきえてしまいました。そして、二度(にど)とそのすがたを見たものはいなかったということです。

おはなしのくに
雪女
作者:小泉 八雲 語り:安達祐実

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