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オープニング
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オープニングタイトル

scene 01びんぼうなじいさまとばあさま
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むかしむかし、びんぼうなじいさまとばあさまがなかよくくらしていました。ある年の大みそかのこと。じいさまはため息(いき)をついていました。「はぁー。明日(あした)はお正月だというのに、おもちをつく米(こめ)もない。なんぞうるもんでもあればええがのう」。ばあさまが土間(どま)を見ると、夏(なつ)にかりとっておいたすげがつんでありました。「じいさま、このすげでかさをこさえて町さうりにいけば、おもちがかえんかのう」。そこで二人はかさをつくりはじめました。やがて、かさが五つできました。〔語り:渡辺哲(わたなべ・てつ)さん〕

scene 02かさをうりに町へ
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「おもちかってかえるで。にんじん、ごぼうもしょってくるでのう」。じいさまは町へかさをうりに出かけました。明日(あした)はお正月とあって、町はおおぜいの人でにぎわっていました。「かさはいらんかな。かさ~、かさはいらんかな~。おらの家(うち)のばあさまと、いっしょうけんめいつくったかさじゃ。かさ~、かさはいらんかな~」。でも、年こしの日にかさをかう人はいないようです。「かさ~、かさはいらんかな~」。

scene 03一つもうれなかったかえりみち
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かさは一つもうれませんでした。「おもちももたんでかえれば、ばあさまはさぞやがっかりするじゃろう」。じいさまがとぼとぼあるいていると、風(かぜ)が出てきて、ひどいふぶきになりました。「なんとまぁ、もうすこし早うに雪(ゆき)になってくれたら、かさの一つもうれたろうに」。あゆみをはやめたじいさまは、ふと立ちどまってとおくを見ました。「はて、あれは…、だれだべ」。

scene 04おじそうさまにかさを
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それは、六人ならんだおじぞうさまでした。『さむーっ』『頭(あたま)のあたりがみょうにつめたい』『わたしカチカチでこざいます』『ふ~、さむっ。さむ~』…。おじぞうさまたちもさむそうにはなしています。『ああ?』。そこへじいさまがやってきました。「はあ~、おじぞうさまじゃ。これはお気のどくに。さぞ、さむかろう、つめたかろう。そうじゃ、このかさをつこうてくだされ」。じいさまは、うりもののかさをおじぞうさまにかぶせると、風(かぜ)でとばないよう、しっかりむすびました。

scene 05自分の手ぬぐいもかけてあげた
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しかし、じいさまのもってきたかさは五つ。おじぞうさまは、ぜんぶで六人。「はて、こまった。はぁ、そうじゃ、そうじゃ」。じいさまは自分(じぶん)がかぶっていた手ぬぐいをはずして、「すこしばかりぼろぼろですが、さむさはしのげるで、こらえてくだされ」と、六人めのおじぞうさまにかぶせてあげました。「はい。これでええ、これでええ」。じいさまは、はればれとした気分(きぶん)になって、家(いえ)にもどりました。

scene 06「それは、ええことをしなさった」
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「さぞ、つめたかったろうの。かさはうれたかや?」。ばあさまがたずねました。「それがさっぱりうれんでのう。なんにもかえずにかえってきたよ。でもな、雪(ゆき)をかぶってさむそうなおじぞうさまに道(みち)であってな、ばあさまとつくったかさは、ぜんぶかぶせてきた。はっはっはっは」とじいさまがいいました。するとばあさまは、「ほおーーー。それは、ええことをしなさった」とよろこびました。「さあさ、じいさま、あたたまってくだされ」。ばあさまはすこしもおこらないで、二人は早々とねむってしまいました。

scene 07とおくからきこえるきみょうな音
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「♪どこじゃ どこじゃ よっこいしょのこらしょ どこじゃ どこじゃ じさまのうちは どこじゃ どこじゃ…♪」。じいさまは、ハッとして目をさましました。「ばあさま、きみょうな音がきこえるのう。この年こしのばんに、だれかおもたい荷物(にもつ)をひいてるものがあるようじゃ」。ばあさまも「んだなあ。だんだんちかづいてくるようだなあ」といいます。すると、ますます大きく「♪ここじゃ ここじゃ じさまのうちじゃ♪」ときこえたかとおもうと、「どん、どん、どん! どっしーん、がらがらがら~!」とものすごい音がしました。

scene 08たくさんのごちそうや金貨が
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じいさまはおそるおそる戸(と)をあけて外(そと)をのぞきました。「ばあさま、ありゃなんだ?」。そこにはたくさんのごちそうや、ひかりかがやく金貨(きんか)がおいてありました。「だれか親切(しんせつ)なおかたがおいていってくれたにちがいなかろう」。「まあまあ、ありがたや、ありがたや」。そのとき、じいさまが気づきました。「ばあさま、あれを見い」。見れば、月あかりの中、六人のおじぞうさまがだんだんとおく小さくなっていくところでした。「♪どこじゃ どこじゃ よっこいしょのこらしょ ありがたやったら ありがたや♪」。

scene 09めでたいお正月を
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「ゴーン、ゴーン…」。そのとき、かねの音かひびいてきました。「ばあさま、あたらしい年がやってきたのう」。手をあわせておがみながら、じいさまがいいました。ばあさまも、「おじぞうさまのおかげで、めでたいお正月になりますのう」といいました。心(こころ)やさしいじいさまとばあさまは、それからも二人でなかよくくらしましたとさ。

おはなしのくに
かさじぞう
作者:日本の昔話 語り:渡辺哲

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