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オープニング
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オープニングタイトル

scene 01体が一寸ほどの赤んぼう
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むかし、ある村に、おじいさんとおばあさんがくらしていました。ずっと子どもにめぐまれなかった二人は、毎日(まいにち)、村の氏神(うじがみ)さまにおまいりしていました。「氏神さま、どうか子どもをおさずけください。」そんなある日。「おんぎゃー。おんぎゃー…」二人のいのりがとどいたのか、とうとう赤んぼうが生まれました。けれどもその赤んぼうは、それはそれは小さい男の子で、体(からだ)は一寸(いっすん)。今(いま)でいえば、3センチほどしかありません。それでも、おじいさんもおばあさんも大よろこびです。「いっぱいたべて、大きくなるんだぞ」。〔語り:松岡茉優(まつおか・まゆ)さん〕

scene 02“いっすんぼうし”とからかわれ
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ところが、男の子は、五つになっても、七つになっても、いっこうに大きくなりません。村の人たちは、この子のことを“いっすんぼうし”とよぶようになりました。「やーい、やーい。ちびすけのいっすんぼうし。」「ほれ、犬にふまれるぞ。」「それ、カラスにくわれるぞ。」村の子どもたちは男の子をからかってはやしたてます。「ううっ。おらがこんなに小さいから、おじいさんの畑(はたけ)しごとも手つだえん。おばあさんのめしたきも手つだえん。ううっ、ううう…」と、いっすんぼうしはくやしくてなみだをながすのでした。

scene 03「おらを都にいかせてください」
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ある日、いっすんぼうしはおじいさんとおばあさんにいいました。「おらを都(みやこ)にいかせてください。」おじいさんが「都へいってどうする?」というと、「ひろい世(よ)の中を見てみたいのです。きっとりっぱになってかえってきます。」といっすんぼうしはいいました。「そんな小さな体(からだ)ではあぶなかろう。」としんぱいするおばあさん。するといっすんぼうしは、「だいじょうぶです。おらに、はりと、おわんと、はしをください。」といいました。おじいさんとおばあさんはひきとめましたが、いっすんぼうしの心(こころ)はかたくきまっていました。はりの刀(かたな)をこしにさすと、出発(しゅっぱつ)です。

scene 04にぎやかな都にやってきた
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「♪指(ゆび)にたりないいっすんぼうし 小さい体(からだ)に大きなのぞみ おわんのふねにはしのかい 京(きょう)へはるばるのぼりゆく♪」小さないっすんぼうしにとって、大きな川は大海原(おおうなばら)のようでした。それでも、いっすんぼうしはくる日もくる日も、川をこぎのぼっていきました…。「おお、ここが都(みやこ)かあ!」都の大きなとおりをあるいていくいっすんぼうし。おおぜいの人が行き来(いきき)しています。「わぁ、これでは、ふみつぶされてしまうぞ。」しばらくいくと、大きなおやしきの前(まえ)に出ました。

scene 05名だかい大臣のけらいに
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「おたのもうします!」いっすんぼうしは大声(おおごえ)でいいました。出てきた人は、「おや、声がしたのにだれもおらぬな。」といいます。「ここです! あなたさまの足もとにおります!」というと、「やや、これはおどろいた。なんと小さな剣士(けんし)じゃ。」いっすんぼうしは、「わたしを、けらいにしてください。」といいました。「おまえのようなものにいったいなにができるというのだ。」いっすんぼうしは、はりの刀(かたな)をみがまえると、「エイッ、ヤアッ」と、とんでいたハエをみごとしとめてみせました。「ほおーっ、みごとじゃ、みごとじゃ。」その人は、都(みやこ)でも名だかい大臣(だいじん)でした。

scene 06大臣のおひめさまにつかえて
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こうしていっすんぼうしは、大臣(だいじん)のやしきではたらくことになりました。おひめさまは、いっすんぼうしが大のお気に入りです。「いっすんぼうし、手ならいをするから、すみをすっておくれ。」するといっすんぼうしは、「はい、ひめさま」と、自分(じぶん)の体(からだ)ほどの大きさのすみをすります。「いっすんぼうし、紙(かみ)をおさえておくれ。」するといっすんぼうしは、「はい、ひめさま」と、体で紙をおさえます。…こうして、何年(なんねん)かがすぎました。

scene 07大きなおにがおひめさまを!
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ある日、おひめさまは清水寺(きよみずでら)へおまいりにいくことになり、いっすんぼうしもおともをしました。かえり道(みち)、とつぜん、大きなおにがあらわれました。「うおーっ! ひめはもらっていくぞ。」「あれえーっ。」「まて! ひめさまには指(ゆび)一本ふれさせないぞ!」といっすんぼうし。でも、「ん? 声(こえ)はしたのにだれもいないぞ。」とふしぎそうなおに。「ここだ、ここだ! エイッ、ヤァッ!」はりの刀(かたな)をふるって立ちむかいますが、大きなおににはとてもかないません。「なんだ、このちっこいのは?」おにはいっすんぼうしをつまみあげると、パクリとのみこんでしまいました。

scene 08おににのみこまれたいっすんぼうし
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けれども、いっすんぼうしもまけてはいません。「エイッ。エイッ。エイッ。」おにのはらの中を、はりの刀(かたな)でつきさしはじめたのです。「うん? うっ、うっ…」と、きゅうにおにはくるしみはじめました。「エイッ。エイッ。」「い、いたい! いたい、いたい、いたい!」おにはおなかをかかえてくるしんでいます。「エイッ。エイッ。トウッ!」「いたい!」おにはとうとうがまんができなくなって、「これはたまらん! こうさんだ! ハ、ハ、ハックション!」と大きなくしゃみをしていっすんぼうしをはきだしたかとおもうと、いちもくさんににげていきました。

scene 09おにがおとしていった『打ち出の小づち』
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「ひめさま、おにがこれをおとしていきました」といっすんぼうしがいうと、おひめさまはひろい上げて、「これは、『打ち出(うちで)の小づち』というたからものです。これをふれば、どんなねがいもかなうといいます。いっすんぼうし、そなたのねがいはなんですか?」といいました。「わたしのねがいは、背(せ)が大きくなることです。」といっすんぼうしはこたえました。「あいわかった。」おひめさまは、「打ち出の小づちよ、いっすんぼうしの背を大きくしたまえ。背、出ろ。背、出ろ。背、出ろ」といって打ち出の小づちをふりました。すると…。いっすんぼうしはりっぱなわかものになっていました。

scene 10みごとりっぱなさむらいに
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おひめさまをすくったいっすんぼうしの手がらは都(みやこ)じゅうにひろまりました。いっすんぼうしは、出世(しゅっせ)してりっぱなさむらいになり、おひめさまとけっこんしました。もう、“いっすんぼうし”とよばれることもありません。そして、おじいさんとおばあさんを都によびよせて、いつまでもしあわせにくらしましたとさ。

おはなしのくに
いっすんぼうし
“小さな男の子が鬼たいじ!”【作者】日本の昔話 【語り】松岡茉優

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