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オープニング
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scene 01ふかいふかい海のそこに
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ふかいふかい海(うみ)のそこに、なにがあるのかしっていますか? そこには、サンゴや色(いろ)とりどりの貝でできた、にんぎょのおしろがあるのです。おしろには、六人のきれいなにんぎょひめがくらしていました。なかでもいちばんすえのにんぎょひめは、それはそれはうつくしい手話(しゅわ)ではなし、見るものの心(こころ)をつかみます。手話は、にんぎょひめのたからものでした。「歌(うた)は わたしの しあわせ 歌は わたしの たからもの うたえば心 ときめくの」。〔手話:大石鮎美(おおいし・あゆみ)さん 語り:大原櫻子(おおはら・さくらこ)さん〕

scene 02はやく海の上を見てみたい
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すえのにんぎょひめには、もう一つ、大すきなことがありました。それは、おねえさんたちからきく、人間(にんげん)の世界(せかい)のおはなしです。「人間の世界には、大空がひろがり、雲(くも)がながれて、鳥(とり)たちがうつくしい羽(はね)をひろげてとんでいるわ。人間は海(うみ)の中では生きられないの。だから、船(ふね)というものにのって海をわたるの」。「あぁ、海の上ってどんなところかしら。わたしもはやく見てみたい」。にんぎょは、十五さいになると海の上に出ることをゆるされます。そして、すえのにんぎょひめもついにその日をむかえました。

scene 03船べりでうたうわかい王子の手話
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「ではおねえさまたち、いってまいります」。「けっして人間(にんげん)にすがたを見られないようにね」。にんぎょひめは、むねをはずませながら、海(うみ)の上へむかっておよぎました。海の上に出たにんぎょひめは、おどろきました。「まぁ、海が金色(きんいろ)にひかっているわ」。そして、船(ふね)に気がつきました。「あっ、あれが船ね。なんて大きいのかしら」。船にちかづいていくと、その上にうつくしい指先(ゆびさき)が見えてきました。それは、船べりでうたう、わかい王子の手話(しゅわ)でした。「まぁ、なんてすてき…」。

scene 04「王子さまをたすけなくちゃ!」
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夜(よる)になると、きゅうに海(うみ)があれはじめました。船(ふね)は、大きな波(なみ)にのまれ、あっというまにしずんでしまいました。「たいへん! はやくたすけなくちゃ!」。にんぎょひめは、あれくるう海の中で、気をうしなっている王子を見つけると、だきかかえてりくまでおよぎつづけました。

scene 05気がついた王子は…
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ようやく小さな入り江(いりえ)にたどりつくと、すなはまに王子をそっとねかせました。「王子さま、どうかごぶじで…」。にんぎょひめは、そっと王子のほほをなでました。そのとき、人のけはいがして、にんぎょひめはいそいで岩(いわ)かげにかくれました。やってきたのは、わかいむすめです。「うーん…」。気がついた王子はそのむすめにいいました。「あぁ、あなたがたすけてくれたのですか。ありがとう」。岩かげで見ていたにんぎょひめは、「あぁ…王子さま」。

scene 06恋をしたにんぎょひめ
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その日から、にんぎょひめは王子のことがわすれられなくなりました。「恋(こい)をしたの あの方(かた)に もっとそばにいたい もっとみつめていたい でも この体(からだ)では いっしょにいられない どうしたらいいの」。

scene 07人間になるために
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おもいなやんだすえににんぎょひめがむかったのは、ぶきみなどうくつにすむ、海(うみ)のまじょのところでした。「ヒッヒッヒ。人間(にんげん)になりたいのかい? いいとも、おまえに足をやろうじゃないか。これが薬(くすり)だよ。ただし、おまえのだいじなものとひきかえだ」。「だいじなもの?」。「そうさ。おまえのそのうつくしい手話(しゅわ)だよ」。「手話を? そんな…」。「それからもう一つ。もし王子がほかのむすめとけっこんすることになったら、おまえはあわになってきえてしまう。それでもいいのかい?」。「人間になれるのなら…はい」。にんぎょひめは薬をうけとると一気にのみほしました。

scene 08王子とのしあわせなじかん
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気がつくとにんぎょひめはあの入り江(いりえ)にたおれていて、目の前(まえ)にはいとしい王子が立っていたのです。「気がついたんだね。よかった。きみはどこからきたの?」。手話(しゅわ)をうしなったにんぎょひめは、こたえることができません。そのかわりに、体(からだ)には足がついていました。「一人では心(こころ)ぼそいことでしょう。ぼくのしろにくるといいよ」と王子がいいました。王子はあいらしいにんぎょひめをかわいがり、いっしょに馬(うま)にのって森をかけたり、色(いろ)とりどりの花を見たりしてすごしました。にんぎょひめは王子のそばにいるだけでしあわせでした。

scene 09おもいは王子にとどかない
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しかしある日、王子は、だれにもいっていなかったむねのうちを、にんぎょひめにはなしはじめました。「じつは、ぼくにはわすれられない人がいるんだ。入り江(いりえ)でぼくをたすけてくれた人…。いったいどこにいるんだろう」。『おたすけしたのはわたしです』。しかし、にんぎょひめのおもいが、王子にとどくことはありません。

scene 10王子が見つけた命のおんじんは
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そして、数(すう)か月がたったある日。王子が息(いき)をきらせてにんぎょひめのもとにやってきました。「やっと見つけたんだ! 入り江(いりえ)でぼくをたすけてくれた命(いのち)のおんじんを! あの人は、となりの国(くに)の王女だったんだ!」。『そんな…』。にんぎょひめのむねは、いまにもはりさけそうでした。

scene 11王子さまのしあわせはわたしのしあわせ
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つぎの日。王子はとなりの国(くに)の王女をつれてきて、にんぎょひめにいいました。「ぼくはかのじょとけっこんする。きみはぼくのしあわせをよろこんでくれるかい?」。にんぎょひめののうりに、まじょのことばがよみがえります。『王子がほかのむすめとけっこんすれば、おまえはしんであわになってしまうよ』。「でも…」。にんぎょひめの心(こころ)にうかんだのは、王子とすごした日々でした。『あの日、王子さまと出あえたこと。馬(うま)にのってかけめぐった森。いっしょに見たきれいな花』。そして、『あぁ、王子さま、なんてしあわせそう。そうよ。王子さまのしあわせは、わたしのしあわせ…』。

scene 12海のあわになったにんぎょひめ…
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にんぎょひめは、ひとり、海(うみ)をのぞむ場所(ばしょ)へむかいました。『さようなら、王子さま。あなたにあえて、しあわせでした』。にんぎょひめの体(からだ)はあわになり、日の光(ひかり)の中で、しずかにとけていきました。

おはなしのくに
【手話つき】にんぎょひめ
“海の上ってどんな世界なのかしら?”【作者】アンデルセン童話【語り】大原 櫻子【手話】大石鮎美

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