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scene 01『幸福の王子』
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町を見わたす高台(たかだい)。風見鶏(かざみどり)の家(いえ)のちかくに、その王子のぞうは立っていました。全身(ぜんしん)を金ぱくでおおわれ、ひとみにはブルーのサファイアが二つ。そのすがたを見ると、人々は幸せな気もちになるので、「幸福(こうふく)の王子」とよんでいました。〔語り:古川雄大(ふるかわ・ゆうた)さん〕

scene 02王子のぞうの足もとにとまったツバメ
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「今夜(こんや)はここでひと休みだ」。冬(ふゆ)のおとずれをかんじはじめたあるばん。一羽(いちわ)のツバメが王子のぞうの足もとにおりたちました。「このけしきが気に入った」。そのときでした。ポツン、またポツンと、しずくがおちてきました。ふと王子のぞうを見上げたツバメは、「もしかして、ないているのか?」とびっくり。すると王子のぞうが、「♪幸福の王子とよばれ なにひとつ不自由(ふじゆう)なく生きてきた なのにここに立ち いま目にするのは しらなかったかなしみ 見えなかったくるしみ わたしの心(こころ) なまりでできた心さえも はりさけてしまいそう」とうたったのです。

scene 03赤いルビーをあの親子にとどけてほしい
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王子がツバメにいいました。「ごらん。よこたわる男の子が見えるかい? あの子はねつを出して、もう何日(なんにち)もくるしんでいる。母親(ははおや)はつかれた顔(かお)をしているだろう。家(いえ)はまずしくて、薬(くすり)をかうこともできない。だから、たのみがある。わたしのけんについた赤いルビーを、あの親子にとどけてほしい」。そういわれ、「ぼくが? ぼくはここでひとやすみしたいだけなんだ」とツバメ。でも王子のうたをツバメはふとおもいだします。「♪わたしの心(こころ) なまりでできた心さえも はりさけてしまいそう」。そしてしかたなく、「いちどだけなら」とツバメはいいました。

scene 04「さむいのに心も体もあたたかい」
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ツバメは、赤いルビーをくちばしでつかむと、夜空(よぞら)にはばたきました。「王子からのおくりものだよ」。ツバメは、男の子のほてった顔(かお)に気づくと、つばさでやさしくあおぎました。…「ふしぎだな。外(そと)はさむくなってきたのに、心(こころ)も体(からだ)もあたたかい」。王子のところにもどってきたツバメがつぶやきました。すると、「きっとそれは、きみがいいことをしたからだ」と王子の声(こえ)がしました。「え?」と王子を見上げたツバメ。王子の気もちがわかったような気がしました。

scene 05ひとみのサファイアをやせた青年に
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つぎの日。ツバメが南(みなみ)の国(くに)へと旅(たび)立とうとすると、「おねがいだ。あとひとばんだけここにいてほしい。こんどは、わたしのひとみのサファイアをとどけてほしい」と王子がいいました。「ひとみ?」とおどろくツバメ。「ほら、あそこにやせた青年がいるだろう。かれはものがたりをかいて人にゆめをあたえる、きぼうの光。でも、お金がなくてもう何日(なんにち)もたべていない。わたしはかれにもういちどものがたりをかいてほしいんだ」。ツバメはおもわずいいました。「だからって…、ひとみをとるなんてできない」。すると王子は、「わたしには、もう一つのひとみがあるさ」といいました。この日、ツバメは王子のそばをはなれませんでした。

scene 06ひとみのサファイアをマッチうりの少女に
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「さぁ、たのんだよ」と王子。ツバメは、王子の青いひとみをしずかにとりはずすと、青年のもとへとどけました。よろこぶ顔(かお)を見るのはうれしい。でも、ツバメは冬(ふゆ)をこすことができないのです。「これいじょう、ひきとめてはいけないとわかっている。だから、さいごのねがいだ。ふんすい広場(ひろば)でマッチをうる少女(しょうじょ)に、このひとみをとどけておくれ」。「そんなことしたら!」。でも、ツバメはわかっていました。少女がうりもののマッチを水たまりにおとしてしまい、ないていることを。「これでわたしはもう、なみだをながすこともない」。王子の目からなみだが一つぶ、ながれおちました。

scene 07「体の金ぱくをはがしてくばっておくれ」
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ツバメは、青くかがやく宝石(ほうせき)を少女(しょうじょ)のかごに入れました。そして、つめたい風(かぜ)をきってとびさりました。「王子、ぼくが王子のひとみになるよ!」。ツバメは、町をとびまわり、目にした人びとのようすを王子につたえました。「そのこまっている人たちに、わたしの体(からだ)の金ぱくをはがしてくばっておくれ」。ツバメは、一まい、また一まいと金ぱくをはがしては、こまっている人にとどけました。

scene 08はいいろになってしまった王子
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やがて、金ぱくはすべてはがれ、王子は、はいいろになりました。「むかし、わたしがぶとう会(かい)でおどっていたころ、わたしは、かなしみやくるしみをしらず、なみだをながしたこともなかった。幸せだとおもっていた。けれど、いまのわたしにとって、ほんとうの幸せというのは…」。そのときです。バシッ! 王子の顔(かお)に石があたりました。「こんなうすよごれたどうぞう、とりこわしてしまえ!」。石をなげつけたのは、とおりすがりの男でした。

scene 09王子とツバメにえいえんの命を
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とうとう雪(ゆき)がつもりました。ツバメは、ひっしに体(からだ)をあたためようとします。でも、ふるえはとまりません。「王子…おわかれのときがきた」。王子を見上げてツバメがそういいました。そして王子の「…ありがとう」ということばをきくと、ツバメはゆっくりと目をとじ、しずかに雪の中にたおれこみました。ピシッ! パキーン! 王子の心(こころ)は、まっぷたつにわれました。天使(てんし)たちは、われた王子の心と、つめたくなったツバメを、天国(てんごく)にはこびました。「この世(よ)でいちばんとうといもの、それらにえいえんの命(いのち)をさずけよう」。

おはなしのくに
幸福の王子
“わたしのひとみのサファイアをとどけてほしい ”【語り】古川雄大

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