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オープニング
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(オープニングタイトル)

scene 01少年ネロと犬のパトラッシュ
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ある小さな村に、ネロという少年(しょうねん)がいました。ネロは、いつも犬のパトラッシュといっしょでした。足のわるいおじいさんのかわりに、町までミルクをはこぶときもいっしょです。「パトラッシュ、今日(きょう)もがんばろうね」。「ワン!」。おもいミルクを荷車(にぐるま)にのせ、毎日(まいにち)坂道(さかみち)を10キロいじょうあるいていました。〔語り:高杉真宙(たかすぎ・まひろ)さん〕

scene 02「ぼくはきっと画家になってみせる」
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ネロは、今日(きょう)もパトラッシュを外(そと)でまたせて、教会(きょうかい)の中へ入っていきました。やがて出てきたネロは、「パトラッシュ、今日も見られなかったよ。あーぁ、あの絵(え)をひと目でも見られたらなぁ」といいました。ネロは、ルーベンスという画家(がか)の絵を見たかったのです。でもその絵は、お金をはらわないと見られないのです。ネロには、大きなゆめがありました。「パトラッシュ、ぼくはきっと、画家になってみせる」。「ワン!」。

scene 03親友アロアは村いちばんのお金もちのむすめ
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ネロには、そのゆめをはなせる親友(しんゆう)がいました。村いちばんのお金もちのむすめ、アロアです。ある日、ネロがアロアの絵(え)をかいていると、アロアのお父さんのコゼツさんがやってきました。「二人でなにをしている! なにをかいているんだ!?」。ネロの絵を見たコゼツさんは、「おぉ、これは…」とおどろいたようです。「ネロ、この絵をかってやろう。金をやるから、二度(にど)とアロアとあうんじゃない!」といいます。「いいえ。その絵はさしあげます。どうぞもっていってください」。コゼツさんは立ちさりました。「あぁ、パトラッシュ。あのお金があれば、あの絵を見ることができたのに」。「クゥーン」。

scene 04絵のコンクールにゆうしょうできれば
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じつは、ネロにはパトラッシュだけがしっているひみつがありました。コンクールに出すための絵(え)をかいていたのです。何日(なんにち)もパンをがまんしてようやく手に入れた、紙(かみ)とチョークだけでかいていました。もし、ゆうしょうすれば、絵の学校にかよえるようになるのです。「この絵は、ぜんぜんかちがないかもしれない。ぼくにはわからない。でも、さいごまでやるよ」。「ワンワン!」。

scene 05雪の中で見つけた人形を
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「ワンワン! ワンワン!」。パトラッシュが、雪(ゆき)の中にうもれていた人形(にんぎょう)を見つけました。「パトラッシュ、これをアロアにあげたら、よろこぶよね?」。「ワン!」。ネロはアロアの家(いえ)にいき、ドアをノックします。コンコン。出てきたアロアに、「これ、きみにあげる」と人形をわたし、ネロはかえっていきました。

scene 06アロアの家が火事に!
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その日の夜(よる)。「火事(かじ)だっ!」。アロアの家(いえ)のものおきが火事になりました。ネロも手つだいにかけつけます。ところが、「ネロ、おまえが火をつけたんだろう。おまえがうちのまわりをうろついていたのはしっているんだ」とコゼツさんがいいました。ネロはびっくりして声(こえ)が出せません。その日をさかいに、村の人たちはみんなコゼツさんにえんりょして、ネロにしごとをたのまなくなりました。

scene 07絵のコンクールのけっかは…
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クリスマスがちかづいたある日。おじいさんは息(いき)をひきとりました。しごともなく、家(いえ)の中にはたべるものもありません。グゥー。「おなかがすいたね、パトラッシュ」。「クゥーン」。「きみにパンをかってあげたいのに…」。ただ一つののぞみは、あの絵(え)がコンクールでゆうしょうすること。クリスマスイブの日。ネロとパトラッシュは、コンクールのけっかを見にいきました。しかし…、「パトラッシュ、もうなにもかもおわりだ」。「クゥーン」。ゆうしょうしたのは、べつの絵でした。

scene 08パトラッシュをアロアの家に
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外(そと)は、いつのまにかふぶきとなっていました。「ワン、ワンワン!」。パトラッシュが、雪(ゆき)の中からなにか見つけました。「コゼツさんのさいふだ。きっとこまってる。とどけなきゃ」。トントントン。アロアの家(いえ)のドアをノックするネロ。ドアがひらきました。「これ、パトラッシュが見つけました」。ネロがさいふをさしだします。「だから、ごほうびにあたたかいたべものを、パトラッシュにあげてください。ほら、パトラッシュ」。「クゥーン」。パトラッシュを家の中に入れると、ネロはドアをしめて立ちさりました。

scene 09教会のあの絵の前で
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コゼツさんの家(いえ)では、クリスマスイブのおいわいでいろいろな人がたずねてきました。「ワンワン!」。パトラッシュは、ちょっとのとびらのすきまから外(そと)へとびだしました。そのころ、教会(きょうかい)のあの絵(え)の前(まえ)に、ネロはたおれていました。「ワンワン! ワンワン!」。パトラッシュの声(こえ)です。よわよわしく目をひらいたネロは、「パトラッシュ、きてくれたんだね。ありがとう」とつぶやきました。「ウォーン」。ネロはまた目をとじてしまいます。

scene 10「パトラッシュ、ぼくたちはずっといっしょだ」
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そのとき、教会(きょうかい)のまどから月あかりがさしこんできました。ふと見上げると、絵(え)をおおっていたぬのがおち、ルーベンスの絵があらわれました。「あぁ、神(かみ)さま。もう、これいじょうはなにものぞみません」と、感動(かんどう)してなみだをながすネロ。「パトラッシュ、ぼくたちはこれからもずっといっしょだよ。だれもぼくたちをひきはなしはしない」。そういうと、ネロはよこたわったままゆっくりと目をとじました。よくあさ、村の人たちは、ネロとパトラッシュを見つけてかなしみ、つらくあたったことをくやみました。『パトラッシュ、ぼくたちはずっといっしょだ』。

おはなしのくに
フランダースの犬
”ぼくたちは、ずっといっしょだ”【作者】ウィーダ イギリスの児童文学【語り】高杉真宙

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