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オープニング
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オープニングタイトル

scene 01とっても自由な一休さん
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むかしむかし、あるお寺(てら)に一休(いっきゅう)さんというおぼうさんがいました。「はぁー、今日(きょう)はいい天気だ。ひるねでもするかな。ひとやすみと」。一休さんは弟子(でし)もいるりっぱなおぼうさんですが、とっても自由(じゆう)な人でした。すると…。「あ、どうして?」。「なんで?」。「つ? つ?」。そんな声(こえ)がきこえてきました。「ん? なんだ? なんだ?」。おきあがった一休さんは、お寺の中に入っていきました。〔語り:荒川良々(あらかわ・よしよし)さん〕

scene 02十だけは『つ』がつかない
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「なんで?」。「どうして? つ?」。二人の弟子(でし)がさわいでいます。「どうした?」。「あぁ、一休おしょう、きいてください」。「むずかしいもんだいがとけなくてこまっているんです」。「ほぉ、むずかしいもんだいか。どれ、わしにもきかせてみなさい」と一休さん。「はい。ではまず、このおだんごをかぞえてください」。「いいだろう。一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、七つ、八つ、九つ、十(とお)。かぞえたぞ」。すると弟子が、「数(かず)を十までかぞえるとき、一つから九つまでは、みな『つ』の字がつきます。しかし、十だけは『つ』がつかないのです」。「これがどうしてなのかわからなくて」

scene 03とおの『つ』は【いつつ】の中に?
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「なるほど。なぜ十(とお)に『つ』がつかないか。たしかにふしぎだな」。かんがえる一休さん。『♪どうしてか どうしてか とんちんかんだが どうしてか? うーん はっ!♪』。キラーン。「わかったぞ。はっはっは。よいか、声(こえ)に出してかぞえてみるから、よーくきいているんだぞ」。「はい」。「ひと『つ』、ふた『つ』、みっ『つ』、よっ『つ』、い『つ』『つ』、むっ『つ』、なな『つ』、やっ『つ』、ここの『つ』、とお。今(いま)、『つ』が二つあったのは?」と一休さん。「んー? あ! 『いつつ』に『つ』が二つあります」。「そのとおり! とおの『つ』は、【いつつ】の中におったのだ」。

scene 04“とんち”とは、とっさのちえ
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「いやぁ、おみごと!」。「さすが、“とんち”の名人ですね」。「ま、とおだけに、とけてとうぜんじゃ。あっははははは」。弟子(でし)のいった“とんち”とは、とっさのちえのこと。一休さんは、どんなもんだいもかいけつする“とんちの名人”だったのです。すると、「あれ? でも【みっつ】にも、小さい『つ』がありますよ」。「あ! 【よっつ】も、【むっつ】も、【やっつ】にも。これは?」と弟子がいうと、「はっはっはっはっ。ま、小さいことは気にするな。はっはっはっはっはっはっ」。そんな一休さん…。

scene 05『このはしわたるべからず』
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じつは、子どものころから、とんちがとくい。一休さんは、お寺(てら)でしゅぎょうをしながら、町のいろいろなもんだいをとんちでかいけつしていました。「おーい、一休さーん」。「はい、なんでしょう」。一休さんがいってみると、おじいさんがこまっていました。「これを見てくれ。橋(はし)をわたりたいのに、わたるべからずとはこまった」。見ると、『このはしわたるべからず』と立てふだにかいてあります。「なるほど。それなら…」と一休さん、すたすたと橋をわたりました。「まん中をわたりましょう。端(はし)をわたらなければよいのです」。「『端』かぁ。ありがとう、一休さん」。

scene 06うわさはとのさまの耳に
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「ふぅ、よかった」とお寺(てら)にもどった一休さん。それからも、「一休さん、一休さんいらっしゃる?」。「はーい」。「一休さん、こっちもたのむよ」。「はーい」。町じゅうからたよりにされた一休さんのうわさはひろがり、とうとう、とのさまの耳にとどきました。「わしはとんちが大すきだ。さいきんは一休というこぞうのうわさばかりきくが、しょせんは子どもだろう。よし、ためしてやるか」。そうおもったとのさまは、一休さんを自分(じぶん)のおやしきによびだしました。「おとのさま、なんのごようでしょう」。「よくきた一休。これを見てくれ」。とのさまが見せたのは、大きなトラの絵(え)です。

scene 07「絵のトラをしばってたいじしてくれ」
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「うわわぁ、りっぱなトラですね」。「そうだろう。しかしこのトラがな、絵(え)から出てはあばれまわるからこまっておる。そこで一休よ、トラをしばってたいじしてくれないか」。「えぇ! 絵のトラをですか?」。「そうだ。とんちの名人ならなんとかできるだろう?」。とのさまは一休さんに、わざとむちゃなおねがいをしました。「すこし時間(じかん)をいただけますか?」と一休さん。絵のトラをしばるなんて、むちゃくちゃだ。でも、あいてはおとのさま。ことわるなんてできないぞ。『♪どうするか どうするか とんちんかんだが どうするか? うーん はっ!♪』。キラーン。「そうか、わかったぞ!」。

scene 08「絵の中からトラをおいだしてください」
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「おまかせください」と一休さん。「それではトラをしばりあげます。いきますよー。あっ、その前(まえ)におとのさま、絵(え)の中からトラをおいだしてください」といいました。「な、なにをいう。そんなことできるわけがないだろう」。「え? おとのさまでもできないのですか。それでは、わたしにも絵のトラをしばることはできませんね」。すると、「はっはっはっ。みごとだ、一休。これは一本とられたわ」。とのさまは一休さんのとんちを気に入り、たくさんのほうびをあたえました。みんなからあいされた一休さんのとんちは、たくさんのおはなしになってかたりつがれましたとさ。

おはなしのくに
一休さん
“どうしてか とんちんかんだが どうしてか!?” 一休さんのとんち話。【語り】荒川良々

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