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scene 01仲良しクラスの気になる光景
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今日はまず、ある中学3年生のクラスの様子を見てもらいます。埼玉県志木(しき)市立宗岡(むねおか)第二中学校3年1組は、男子も女子もとても仲良し。でも、ちょっと気になる光景も。クラスメートの首に手を回してしめているようにも見えますが…。「これは、肩(かた)組み」という返事。一方、「話すことがなくなったら、とりあえず『ブス』って言う。いじっとけば楽しいだろうと」と女子。…「わからなくはないんですけど、はたしてみんなが楽しいと思えてるのかというところが、ちょっとこわい」(高橋さん)。

scene 02“いじり”は必要?
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「いじりは楽しい」。そんな雰囲気(ふんいき)がクラスに広がり始めたことが気になっていた担任の飯塚善大(いいづか・よしひろ)先生。みんなに、こんな疑問を投げかけました。「いじりって必要なのかな?」。すると、「自然と出ちゃうものだから、『無し』ってなるとしゃべりにくい」(女子)、「自分が失敗したときにシーンとなったらイヤだから、そういうときにワーッて盛り上げていじってくれたほうがいい」(女子)といった意見が出ました。34人中、32人もの生徒が、「コミュニケーションとして“いじり”は必要」と考えていました。

scene 03授業では言えなかった本音
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でもそのなかで、授業では言えなかった本音を話してくれた子がいました。笑美(えみ)さんです。「顔のことだったり、体のことだったり、家族のことだったり、あんまりデリケートな部分にはふれてほしくない。でも、“場の空気”みたいなものを読んでしまって、今ここで『やめて』って言ったらみんな面白くなくなっちゃうんだろうなと思って、笑ってごまかすことしかできない。もうちょっとはっきり言えるようになりたいんですけど…」。

scene 04本当はだれもいじられたくない?
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「うーん、難しい…。本当はだれもいじられたくないと思うんですよ。いじらないで面白いならそれがいちばんいいけど…」(高橋さん)。確かに、笑美さんも『いやないじりをされても、空気を読んで笑うしかない』と言っていましたね。「わたしもいじられるタイプの人間なんで。わたしもしばらくは、たえた時期があったんですよ。でも、たえてるとやっぱりみんな、『いいんだ』と思っちゃう。『“たかみな”は何をいじっても笑ってくれてるから大丈夫なんだ』って。笑ってると人に安心感をあたえちゃうので」(高橋さん)。

scene 05いじりがいじめにつながらないか
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「それ一回で終わればいいんですけど。それが定番化して、だれかがそれ言ったらみんなのってきて、みんなで笑うみたいになってしまうとすごく苦しくなってしまうので、“場の空気”が悪くなろうが、本人が『イヤだ』と言わないと、いじりが止まらなくなっちゃう」(高橋さん)。実は、担任の飯塚先生も、いじりがいじめにつながらないかと心配して、次の授業をこんな質問から始めたのです。

scene 06ゆるされるいじりはあるのか
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「こういうのって、あるのかな?」。飯塚先生がみんなに聞いたのは、「“いじめ”にならない“いじり”」。いじめにならない、ゆるされるいじりはあるのか、九つの班に分かれて話し合うことになりました。「いつもいっしょにいて知っている人同士がからかっているのは“いじり”だけど、あまり関わっていない人をからかったら“いじめ”」(女子)。「“いじり”は笑顔。楽しそう」(女子)。「笑顔になって、いじられる側も楽しい気持ちになる」(男子)。

scene 07仲良し同士なら“いじり”もOK?
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それぞれの班から、七つのケースが挙げられました。1対1のいじり。仲良し同士のいじり。周りが明るくなるいじり。相手も笑っているいじり。相手が軽く受け流せるいじり。相手が言い返せるいじり。暴力でなく言葉のいじり。この七つのケースについて全員が納得できるのか、先生は一つひとつ確認していくことにしました。「仲良し同士なら“いじり”もOK?」。すると、「仲良し同士ならコミュニケーションみたいな感じ」(男子)という意見。先生はさらに、「じゃ、仲良し同士でもダメなときがあるって思う人?」と聞きます。「痛さがシャレにならないとき」と男子。

scene 08本当は笑ってごまかしている
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そして、多くの班がゆるされると考えたケース『周りが明るくなるいじり』について話し合ったとき、「明るい雰囲気(ふんいき)になるいじりはいじめではないから大丈夫」という意見が。すると、いじられる側の本音を語ってくれた笑美さんが手を挙げました。「その人が本当に気にしていることを言われても、周りの人が笑ってしまったら笑ってごまかすことしかできない。それを『軽く受け流している』と思われるのはちがうと思う」。こういうことで困っている人が大勢いるのではと思った笑美さん。みんなが、「笑っているからいいのかな? ダメなのかな?』と考えてくれたらと思って発言したのです。

scene 09大丈夫な“いじり”はなかった
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結局、全員一致(いっち)で「いじめではないから大丈夫」と考えた“いじり”は、一つもなかったのです。授業のあと、「明るいいじりなら大丈夫」と考えていた村田くんに感想を聞いてみました。すると、笑美さんの意見に「あ!」と思ったと言います。「自分の考え方があまかったのかなって感じました」。

scene 10人によってゆるせる境界線はちがう
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「先生があの授業をやったことにもすごく意味があると思うんですよね。『それ大丈夫か?』とかそういうヒントをあげていけば、考えたときに、『あれ? 人を傷つけたかもな』って思えると思うから」(高橋さん)。3年1組のクラスでも、“全員がゆるせるいじり”は一つもないということが確認できていましたね。「みんなが共通で『いいよ』っていうラインはちがう、いっしょではないということなんですよね。人によって、そこはゆるせてそこはゆるせなかったりというところが、やっぱりちがう人同士だからあるので…」。

scene 11どんなことに気をつかうべきなのか
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「ある意味、体調によっても気分によっても、そのときいじっていい限度って変わってきちゃうんですよ。毎日『これOK』ってわけじゃない。仲がいいからこそ気をつかいなさいっていうことですね」(高橋さん)。でも、気をつかうって、具体的にどうしたらいいのでしょう。「これは確認するしかないんですよ。おたがいの確認しかないなぁと思いますけどね…」(高橋さん)。友だちがいやな思いをしないために、どんなことに気をつかうべきなのでしょう。 ※高橋さんのメッセージのつづきは、番組ホームページの「みなみの考え」へ!

いじめをノックアウト
その“いじり”、大丈夫?
教室の中で当たり前の光景になってしまっているからこそ語れる、“いじる側”“いじられる側”の生の声を聞き、日常にあふれるいじりについて、改めて考える。

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