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オープニング
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(オープニングタイトル)

scene 01ちょいとばかし得意なのが“落語”
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どうもこんにちは。わたくし、名前を龍二(りゅうじ)と申します。で、わたくしがちょいとばかし得意なのが“落語”でございます。落語というのはですね、着物を着まして、扇子(せんす)と手ぬぐいを使いまして、一人でやる芸でございます。

scene 02子ども落語の全国大会で優勝したい
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『お前さん、お前さん。さっきの話、ちゃんと聞いてたのかい?』。『あー、もちろん聞いてたよ。いやぁすごいね落語っていうのはね。あのね、扇子(せんす)とぞうきん使って一人でできちゃうんだってね』。『ばかやろう、お前。ぞうきんじゃねぇ、手ぬぐいだって』(笑い)。というふうに、みなさんに想像(そうぞう)していただいて、楽しんでいただくのが落語でございます。今年の目標は、子ども落語の全国大会で優勝(ゆうしょう)することでございます。今日は、そんなお話をさせていただきます。

scene 034年間落語教室に通っている
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本を読むのが大好き。いちばん好きなのはどれ? って聞かれると、ちょっと決めきれないけど日本史派(は)。世界史はさっぱりわからない。戦国と安土桃山(あづちももやま)はいろんな武将(ぶしょう)がいて、かっこいい人が出てくる。それから…落語。しゃべるのが好きな自分にとってはうってつけ。落語教室には4年間通ってます。「いよいよ全国大会まで、あと一か月となりました。まだできあがっていない状態(じょうたい)なのでけいこをしていきます」と柱大黒(はしら・だいこく)師匠(ししょう)が言った。去年も全国大会に出たんですけど、最優秀(さいゆうしゅう)賞はとれなかった。だから今年はどうしてもとりたい。

scene 04けいこしているのは『目黒のさんま』
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師匠(ししょう)にけいこをつけてもらう。「とりあえず頭から行こうか」。「ひむか亭りゅうと申します。『目黒のさんま』というお話に、一席お付き合いねがいます…」。今やっているのは、世間知らずのお殿(との)様が、家来(けらい)を連れて遠乗りに行って、庶民(しょみん)が食べる安い魚のさんまを食べて夢中(むちゅう)になっちゃうお話。『きんや、このにおいは、何じゃ?』。『はっ、おそらく、どこかでさんまを焼くにおいでございましょう』。『さんま? さんま、とは何のことじゃ?』。

scene 05「表情で表現する」
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まぁ、どっかぬけてる、頭のネジが2本ぐらいぬけてるっていう、思い切りのいい殿(との)様をやってみたい。『さんまが食べたい、さんまが食べたい。目黒のさんま、目黒のさんま。頭の中がさんまの大合唱でございます』。すると師匠(ししょう)が、「“表情(ひょうじょう)で語る”というか、顔で“大合唱”というのを表現(ひょうげん)する」とアドバイスをくれた。『あぁ、さんまが食べたい、さんまが食べたい。目黒のさんま、目黒のさんま。頭の中がさんまの大合唱でございます』。

scene 06落語教室にライバルが入ってきた
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きょう、新しい人がひさしぶりに入ってきた。「えー、華(はな)と申します。『親子酒』という話に一席お付き合いをおねがいします。『お母さん、お母さん』。『何でございましょう?』。『んー、ちょいとね、持ってらっしゃいな』。『何をでございましょう?』…」。すごくうまかった。「全員びっくりしてる。これ初げいこ? って。ライバルがあらわれたって感じだね」って師匠(ししょう)が言った。「おれが落語を始めて4年間、だれも入ってこなかった。だから、来てくれて、本当にありがとう」と華に言ったら、「入ってよかったほんとに」って。

scene 07友だちとくらべてああだこうだ言われたくない
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お母さんは料理がものすごくおいしくて。お父さんはいろいろアドバイスくれたりして、そういうところがいいけど、三つ直してほしいところがある。そのなかの一つを言います。「昨日、新しい子入ったんでしょ?」とお母さん。「うん。みんな『上手』って言ってた」。そうしたらお父さんが、「じゃあ、きっとその子は一日一回は練習するんやろうな」って言う。「またそうやって…。親っていうのはよく友だちをほめて自分の子どもを卑下(ひげ)するんだよ」とぼく。あんまりまわりにああだこうだ言われたくない年ごろになってくるんですよ。練習を親に見られたくない。失敗するのを見られたくないから。

scene 08おじいちゃんたちに落語を聞いてもらった
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庭で実際(じっさい)にさんまを焼いた。食べてみた。グー! スイカわりもしてみんなで食べた。それから、おじいちゃんやお母さん、叔母さんたちの前で落語をした。『…これがうまいのなんのって。そりゃあそうでしょう…』。おじいちゃんたち、楽しそうに笑ってくれた。

scene 09けいこを積むごとにわかってくる
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「今はこうなっている」っていう状態(じょうたい)をしっかり想像(そうぞう)するのが大事。お殿(との)様が、部屋にいます。そして、家来(けらい)のきんやをよぶ。最初はあやふやだったんですよ。せまい部屋にいるのか、大きい部屋にいるのか。でも、けいこを積むごとにだんだんそれがわかってくる。楽しいよ。

scene 10全国大会予選のライバルは
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いよいよ、『こども落語全国大会』予選。小学生が16人いて、そのうち4人が決勝に行ける。自信は…6割(わり)。あの人がどうしても引っかかる。去年優勝(ゆうしょう)した人、笑遊亭松丸(しょうゆうてい・まつまる)。松丸と、おたがい決勝に出ておたがいの落語を見ようなって約束したんですよ。「りゅうは聞きやすいのが強みだから、たのんだよ」って松丸。司会の人が「トップバッターで出ていただきますのは、宮崎県より出場の、ひむか亭りゅうさん。演目(えんもく)は『目黒のさんま』です。どうぞ」としょうかいしてくれた。出囃子(でばやし)が流れる。

scene 11いよいよ落語を一席
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高座に上がる。「ひむか亭りゅうと申します。『目黒のさんま』というお話に、一席お付き合いをねがいます。昔のお殿(との)様、いつもお城(しろ)にいるもんですから、お城の外のことはあまり知らないことも多かったようです。…よし、ではすぐにしたくをいたせ。馬をひけ、あとに続け~。…おそるおそる食べてみると、これがうまいのなんのって。持ってきたさんまをみ~んな一人で食べちゃった。きんや、満足じゃ。骨(ほね)はそのほうにやるぞ。…はぁ、さんまが食べたい、さんまが食べたい。目黒のさんま、目黒のさんまと、頭の中がさんまの大合唱でございます…」。

scene 12予選を通過したのは…
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よかった! ものすごくよかった。たぶん今まででいちばんよかったと思う。これはまちがいない。いよいよ、明日の決勝に出る小学生の部の4名の発表。審査員(しんさいん)が名前を読み上げる。「のりのり亭おにぎりさん、おめでとうございます。『ぜんざい公社』をえんじた、ふくふく亭ますけ…。そして、最後の予選通過者(つうかしゃ)です。小学校6年生、ディフェンディングチャンピオンの笑遊亭松丸くん、おめでとうございます」。「……」。ぼくの名前はよばれなかった…。

scene 13落語はだれでもできる!
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次の日の決勝。「神奈川県から参加して下さっています小学6年生。笑遊亭松丸さんです。演目(えんもく)は『七段(だん)目』です。どうぞ」。「…遠く、と~お~く~は~…。…ひけをとったことのね~え~男だ~」。大笑いしてしまった。あの子は強かったな。ひいきとかではなくて、すごくおもしろかった。そして、参加者(さんかしゃ)どうしの交流(こうりゅう)。「また来年な」。「今度はもっとうでを上げて」。ぼくの好きな落語はすごく楽しいもので、その気になれば全国の友だちもできます。だれでもできるやつだから、「えー、なんか古くさいし」と思わないで、聞くもよし、やるもよし。ほっとくはだめ! ぜったい来年、優勝(ゆうしょう)しますから!

カラフル!~世界の子どもたち~
落語でみんなと笑いたい!(日本)
龍二はこの夏「子ども落語全国大会」に挑戦した。ただ話すだけでなく表情豊かに演じるのが大事。そこが難しい。さらに同学年の手強いライバルも…挑戦の先に見たものとは?

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