チャプターあらすじを読む
Scene01 裁判の被告人はヘンゼルとグレーテル
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とある法廷で、始まった裁判員裁判。瀬戸香織たち裁判員は、法廷で見たり聞いたりすることをもとに、このちょっとフシギな裁判の判決を考えなくてはなりません。裁かれる被告人は、ヘンゼルとグレーテルの兄妹。魔女を殺して、金貨を奪った罪に問われています。

Scene02 今回の裁判の争点は?
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ヘンゼルとグレーテルが犯したとされる罪を、検察官が述べます。「被告人のヘンゼルとグレーテルは、生活に困った両親に捨てられました。森の奥深く三日三晩さまよった二人は、白い鳥に導かれ、お菓子で作られた家にたどりつきました。そして、そこに暮らす、年老いた魔女に保護されました。しかし、ひと月後、魔女が多額の財産を所有していることを知った二人は、強奪を計画。魔女を燃えさかるかまどの中に押し込んで殺害し、山のような金貨を奪って親元に帰りました。これは、刑法第240条の強盗殺人罪にあたります!」
魔女を殺し金貨を家に持って帰った事実は認めるヘンゼルとグレーテル。しかし、殺害の目的は金貨を手に入れることではなかったと反論します。「僕は、魔女に食べられるところだったんです!」弁護人は「魔女の殺害は、『人食い』から身を守るための『正当防衛』であり、罪に問われるものではありません。二人が犯した罪は、魔女を殺した後に、出来心で金貨を盗んだことだけです。」と意見を述べます。ヘンゼルとグレーテルが犯した罪は強盗殺人なのか、単なる窃盗なのか…。それを考えるには、二人が魔女を殺した理由がカギになります。金貨を奪うためだったのか?それとも、自分の身を守るためだったのか…?

Scene03 証人尋問・白い鳥
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検察官は、二人をお菓子の家に導いた白い鳥を証人に呼びました。白い鳥は、「森で迷子になっている二人をたまたま見つけて、友達の魔女に保護してもらおうと連れて行ったんです。」と話します。さらに、重大な情報を口にします。「魔女は、人食いなんかじゃありません!二人はウソをついているんです。」検察官は、それを裏付ける証拠を、香織たち裁判員に提示します。それは、魔女の家で見つかった病院の診断書。そこには、魔女が「肉アレルギー」であったことが、はっきりと記載されているのです。白い鳥は、話します。「魔女は、ひと月の間、二人のことをかいがいしく世話していたに違いありません。あの人は、本当に優しい人ですから…。」ヘンゼルとグレーテルは、罪を逃れるために、「魔女に食べられそうになった」とウソをついのでしょうか!?
弁護人が反対尋問を行います。「あの森には、昔から『人食いの魔女がいる』という噂があとを絶ちません。魔女が人食いでないのなら、この噂はどう説明するんですか?」と。白い鳥、「その噂は、森に子どもを捨てた親たちが、その事実を隠すために流したんですよ。」と答えますが、弁護人は「とってつけたような話」だと一蹴します。さらに、弁護人は、先ほど検察官が提示した病院の診断書の信憑性を疑います。「この診断書、日付を見る限り、二百年前以上前のものですよね?」白い鳥は、「魔女は長生きなので、それは、若い時の診断書なんです。」と反論しますが、弁護人は「古すぎるでしょ。これでは、誰が、どんな方法で診断したかわからず、信用できません!」と言い返します。最後に、弁護人は、白い鳥に言います。「ウソをついているのはあなたのほうではありませんか?迷子の子どもを見つけては、人食いの魔女に差し出していた、その罪がバレるのを恐れて!」白い鳥は、強い口調で否定しますが、香織は悩んでしまいます。ウソをついているのは、白い鳥なのでしょうか?それともヘンゼルとグレーテルなのでしょうか?

Scene04 被告人質問・ヘンゼル
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被告人への質問が始まります。まずは、兄のヘンゼルからです。ヘンゼルは当時の状況を、弁護人に話します。「魔女に捕まって、家畜小屋の檻に閉じ込められました。僕をたっぷり太らせてから食べようと考えた魔女は、毎日グレーテルにごちそうを作らせ、僕に食べさせました。」グレーテルは、魔女の召使いにされていたのです。ヘンゼルは続けます。「魔女は、毎日僕のところにやってきて、指を出すように言いました。魔女は目が悪いので僕がどれだけ太ったか、指をさわって確認しようとしたんです。」しかし、ヘンゼルは、食事に出された鶏の骨をとっておいて、それを魔女にさわらせて、「まだやせている」と、魔女をだまし続けました。
続いて、検察官が質問をします。検察官は、ヘンゼルが魔女をだますために使ったのと同じような鶏の骨を差し出します。「魔女がいくら目が悪いといっても、この硬い骨をさわって指と勘違いするでしょうか?」さらに、検察官はヘンゼルを追い詰めます。「それに、目の悪い魔女が、すばしっこいあなたを捕まえて檻に入れるなんてことができるのでしょうか?本当は、檻になんて入れられていないんじゃないですか?食べられるどころか、優しい魔女に手厚く保護されていた!」ヘンゼルの言うことをどこまで信用していいのでしょうか?

Scene05被告人質問・グレーテル
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そして、グレーテルへの質問です。グレーテルは、事件の日のことを、弁護人に話します。「あの日、兄がなかなか太らないことにいらだった魔女は、『もう待ちきれない!こんがり焼いて食べてやる!』と言って、大きな包丁を研ぎ始めました。そして、私にかまどの火をおこすよう命じました。私は、魔女に『火の加減を確認しろ』と言われました。私が『どうやればいいかわからない』と言うと、魔女は『こうやるんだ』と言ってかまどの中をのぞき込んだんです。その時、『今しかない!』と思って、魔女に体当たりして、かまどの奥に押し込んだんです。魔女は大きな叫び声をあげて死にました。」弁護人は、グレーテルに確認します。「あなたたちは、金貨を奪うために魔女を殺したのではないのですね?」グレーテルは、きっぱりと答えます。「金貨があるなんて帰る時まで知りませんでした。森を抜けるための地図を探していたら、たまたま金貨を見つけて、つい盗んでしまいました…。」あくまでも、金貨を持ち帰ったのは、魔女を殺した後の出来心であったと主張します。
一方、検察官は、魔女の等身大のパネルを持ち出し、グレーテルに疑問を呈します。「魔女の体重は90キロもありました。その3分の1にも満たないあなたが、たった一人で、魔女をかまどの奥まで押し込めるものでしょうか??」検察官は、グレーテルがヘンゼルと二人がかりで、魔女をかまどの中に押し込んで殺害したのだと訴えます。さらに、検察官は、グレーテルの家が明日食べるものに困るぐらい貧しかったことを確認した上で、押収したグレーテルの日記を提示します。そして、事件3ヶ月前の記述を読み上げます。「一枚だけど、金貨を家に持って帰った。お父さんとお母さんがとても喜んで頭をなでてくれた。とてもうれしかった。」ヘンゼルとグレーテルは、その金貨をどうやって手に入れたのでしょうか?検察官は質問を続けます。「金貨1枚では生活は楽にならず、とうとうあなたは両親に捨てられました。うらんだんじゃないですか?」「うらんだりしてません。何とかして、お父さんとお母さんと、また一緒に暮らしたいと思いました…。」検察官は、グレーテルに、最後の質問をします。「そんな時に出会った魔女が、山のような金貨を持っていることを知った。あなたたちは思ったのではありませんか?これだけあれば、両親とずっと一緒に暮らすことができると!」グレーテルは、なかなか答えることができません。「金貨があるなんて、帰る時まで知らなかったんだ!」思わずヘンゼルと立ち上がって答えます。

Scene06最終弁論
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最後に、検察官と弁護人がお互いの意見を述べ合います。検察官は「ヘンゼルとグレーテルの話は信用できません。二人は、捨てられてもなお親に愛されたい一心で、金貨を奪うために魔女を殺したのです!」と、“強盗殺人”を主張します。一方、弁護人は、「魔女の殺害は、人食いから命を守るための“正当防衛”であり罪には問えません。」と訴えます。「二人が償うべきは、出来心で金貨を盗んだことだけです!」
ヘンゼルとグレーテルが犯した罪は、強盗殺人なんでしょうか?それとも、単なる窃盗に過ぎないのでしょうか?

昔話法廷
「ヘンゼルとグレーテル」裁判
親に捨てられたヘンゼルとグレーテルは、お菓子の家の魔女に保護された。ひと月後、2人は、魔女を焼殺し、金貨を持ち帰った。2人は、強盗殺人の罪で起訴されるが…。

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