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scene 01「食品ロス」という大きな問題
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食べ物にあふれた国、日本。スーパーマーケットやコンビニエンスストアでは、いつでも食べたい物を買うことができ、毎日たくさんの食品が世界中から輸入(ゆにゅう)されています。その一方で、大量(たいりょう)にあふれた食べ物は大きな問題にもなっているのです。――「ふ~、おなかいっぱい」と食べ物をのこすコスル。すると、「こらーっ! まだのこってるぞ。もったいなーい!」とドスル。「だって、野菜(やさい)は苦手なんだもん」と言うコスルに、「今、日本では、まだ食べられるはずの食品がたくさんすてられて、『食品ロス』という大きな問題になっているんだ」とドスルが言いました。「食品ロス?」。

scene 02まだ食べられるのにすてられてしまう
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神奈川県相模原(さがみはら)市にある、食べ物のリサイクル工場。スーパーの売れのこりなど、まだ食べられるはずの食品が一日に35トンもとどきます。とどいた食料(しょくりょう)を細かくくだき、ブタのえさにしてリサイクルしています。しかし、リサイクルするにはお金がかかるため、全国のスーパーのおよそ半数は、売れのこった食べ物をゴミ処理場(しょりじょう)で焼却処分(しょうきゃくしょぶん)しているのです。このように、まだ食べられるのにすてられてしまう食べ物のことを「食品ロス」といいます。その量(りょう)は、なんと一年間で646万トンにもなります。

scene 03食品ロスの47.3%が家庭から
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食品ロスについて調べている浅利(あさり)さん。市と協力(きょうりょく)して、家庭から出されるゴミの調査(ちょうさ)をしました。封(ふう)も開けずにすてられた食べ物が次々と出てきます。実は、もっとも多く食品ロスを出しているのは家庭。47.3%が家庭から出ています。その主な理由は、①食べのこし、②冷蔵庫(れいぞうこ)に入れっぱなし、③食べられるところもすてる、など。「もったいないとか、食べ物に対するありがたみが消えて、新鮮(しんせん)なものを安全に食べたいという心理が勝っている」。世界では今も8億(おく)人の人々がうえに苦しむなか、日本では多くの食べ物がすてられています。

scene 04『フードバンク』という取り組み
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「うわぁ、もったいなーい!」とおどろくコスル。「どうする? どうする!」とドスルに聞かれ、「スーパーの食品ロスをブタさんのえさにリサイクルしてたみたいに、のこった食べ物をむだにしない方法(ほうほう)ってないのかなぁ…?」と言います。すると、「おお! それなら『フードバンク』という取り組みがあるぞ。でも、まだいろいろと課題(かだい)があるんだ」とドスルが言いました。

scene 05食べ物にこまっている人たちに無料でとどける
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福岡県北九州(きたきゅうしゅう)市。フードバンクの活動に取り組む、原田さん。フードバンクとは、まだ食べられるのにすててしまう商品をお店から提供(ていきょう)してもらい、食べ物にこまっている人たちに無料(むりょう)でとどける仕組みです。「いつもの持ってきました」。「ありがとうございます」。この日、原田さんがとどけたのは、パン。「いただきます!」。みなさん、笑顔(えがお)で食べ始めました。「食べ物にはすごい力があります。だれでもが生き生きと住めるような社会に近づけていけたらうれしい」と原田さんは言います。

scene 06安心・安全のためのルール作りを
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原田さんは食品工場などにも食品の提供(ていきょう)をよびかけています。売れのこったそばや、運ぶとちゅうでつつみがやぶれたクッキーなどは、味には問題がなくてもほとんどがすてられ、大きな食品ロスになっているのです。しかし、そうした商品を提供してくれる工場はなかなかありません。食品がちゃんと管理(かんり)されるのか。万が一食中毒(しょくちゅうどく)や病気になったらその責任(せきにん)は? 安心と安全が約束(やくそく)されるまでは食品をわたすことはむずかしいのです。全国にふえつつあるフードバンク。多くのお店や工場とたがいに安心できるルールを作ることが課題(かだい)です。

scene 07わたしたちの食品のえらび方
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「食品ロスをむだにしないことも大事だけど、そもそもどうすれば食品ロスをへらせるのかなあ?」とコスル。「それじゃ聞くけど、今日のおやつに食べるとしたらどっちのプリンを買う?」とドスルが見せたのは、賞味期限(しょうみきげん)あと3日のプリンと、賞味期限あと7日のプリン。「やっぱり、少しでも長持ちするほうがいいよね」とコスル。すると、「そんなんじゃ食品ロスはへりっこなーい!」とドスルが言いました。買い物をする人がお店で食品をえらぶときのポイントは、まず値段(ねだん)、そして鮮度(せんど)。そんな人たちがスーパーで使う必殺技(ひっさつわざ)が、『たなのおくから 商品ゲット!』。

scene 08食品ロスを生むのは…
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実は、スーパーやコンビニのたなは、手前にいちばん古い商品がおかれ、買われていくたびにおくから新しい商品を補充(ほじゅう)していく仕組み。つまり、たなのおくから商品を取れば、いちばん新しい商品をゲットできるというわけです。でも、みんながたなのおくから商品を取ってしまうと、たなの手前におかれた商品は古くなってすてられ、食品ロスになってしまいます。「もしかして、食品ロスの大きな原因(げんいん)ってわたしたちの気持ちの問題?」とコスル。「そうなんだ。実は買い物をするときのちょっとした気持ちが、食品ロス以外(いがい)の問題にもつながっているんだ」とドスル。「えーっ!?」。

scene 09伝統野菜の農家がへっている理由
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京都市北区(きたく)。この地で農業をいとなむ樋口(ひぐち)さんが育てているのは、鷹峯(たかがみね)とうがらし。古くからこの地域(ちいき)でさいばいされてきた京都の伝統野菜(でんとうやさい)です。とうがらしなのにからくなく、かめばあまみが広がります。しかし、鷹峯とうがらしを育てる農家は年々へり、今ではわずか10軒(けん)ほど。育っても形がそろわず、スーパーに出荷することができないためです。実は、形や大きさがそろわない野菜は、工場などで選別(せんべつ)され、商品からはずされてしまいます。見た目が悪いとなかなかお客さんの手にとってもらえず、売れのこってしまうからです。

scene 10自分たちのまわりの問題を調べてみよう!
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たとえ形はふぞろいでも、地域(ちいき)につたわる味を守りたいと、樋口さんは鷹峯(たかがみね)とうがらしのさいばいをつづけています。わたしたちが見ばえのいいものを買いたいとのぞむ一方で、日本各地(かくち)につたわる個性(こせい)ゆたかな伝統野菜(でんとうやさい)がうしなわれようとしているのです。――「毎日当たり前のように食べている食べ物にもいろんな問題があるんだね」とコスル。「大量(たいりょう)の食品ロス。食品の安心・安全とは? 買うがわの気持ち。どうする~?」とドスル。「まずは家の冷蔵庫(れいぞうこ)とか自分たちのまわりにどんな問題があるのか調べてみるね」とコスルが言いました。「おぉ、たのんだぞ~!」。

ドスルコスル
どうする?食べ物がもったいない
まだ食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」の問題を考える。家庭やスーパーで発生する「食品ロス」や、「食品ロス」を活かす「フードバンク」の取り組みを紹介する。