チャプターあらすじを読む
scene 01金色のハクビシンが公園に出没?
ないようを読む

「うーん、どれを発信しようかなぁ。今日のトレンド情報(じょうほう)」。ユウタがなやんでいます。すると、「聞いて! 今やるべきネタが見つかったの!」とミクがSNS画面を見せます。「金色のハクビシン、芽出ヶ丘公園に出没(しゅつぼつ)?」。「まれにコガネムシを食べたハクビシンに金色の毛が生えるらしいの」。「すげえ!」。すると、「あの、ちょっといいですか?」とトシヤ先生。でも二人の耳には入りません。「じゃあさっそくみんなに拡散(かくさん)しよう」とユウタ。そこでトシヤ先生が、「ちょっといいですか!」と大声でさえぎりました。「これ、あやしくないですか?」。「あやしい?」。「ええ。こんな動画があるんです」。

scene 02ウソの情報で作られた「フェイクニュース」
ないようを読む

2020年2月。新型コロナウイルスが日本で流行し始めたころ、トイレットペーパーの買いしめが起こりました。その原因(げんいん)は、SNSに投稿(とうこう)されたウソの情報(じょうほう)でした。事実かどうかわからないこうしたうわさ話のようなウソの情報を、「デマ」といいます。この情報がSNSによって広がり、世の中が混乱(こんらん)しました。『ローマ法王がトランプ氏を支持(しじ)』。2016年、アメリカ大統領(だいとうりょう)を決める選挙期間中にニュースサイトに上がった記事です。ウソの情報で作られたこのようなニュースを、「フェイクニュース」といいます。この記事はSNSを通じて拡散(かくさん)され、選挙に有利に働いたといわれています。

scene 03国によるウソの発表も
ないようを読む

さらに、「なりすまし」というウソもあります。有名人をよそおって情報(じょうほう)を発信するケースのほか、有名企業(きぎょう)などになりすましてパスワードをぬすんだり、金銭(きんせん)をふりこませたりするものもあります。過去(かこ)には、国がウソの情報を発表したことがありました。1942年、太平洋戦争中の新聞報道(ほうどう)。『アメリカの空母二隻(せき)を撃沈(げきちん)』と、日本が優勢(ゆうせい)であるかのように報じていますが、実は大敗したのは日本でした。当時はほかに情報を得る手段(しゅだん)がない時代。国は戦争を続けるためにこうした発表をしたのです。

scene 04巧妙で危険な「ディープフェイク」
ないようを読む

現在は(げんざい)メディアの発達により、多くの情報(じょうほう)を得られるようになりました。一方で技術(ぎじゅつ)が進み、より巧妙(こうみょう)なウソが作られる危険性(きけんせい)が高まっています。その一つが、「ディープフェイク」。AIを使って人の表情を合成する技術です。AIにほかの人の表情を大量に読みこませ、もとの人の動きに合わせて顔をすりかえた巧妙な動画を作ることができるのです。この技術を使えば、こんなこともできます。オバマ元アメリカ大統領(だいとうりょう)の声まねをする人の声に合わせて、オバマ氏の表情を学習させたAIを使い、口の動きなど、オバマ氏が自然に話している動画を作りました。

scene 05ウソを見やぶる方法は?
ないようを読む

「もともとディープフェイクは映像表現(えいぞうひょうげん)の幅(はば)を広げるために作られた『合成技術(ぎじゅつ)』なんですよ」とトシヤ先生。「でも、危険(きけん)なことに使われたりしないのかな。どこかの大統領(だいとうりょう)の顔を使って『これから核攻撃(かくこうげき)を始めます』とか…」とミク。「そもそもなんでフェイクニュースなんか作るんだよ」とユウタ。「人をこまらせたり、不安にさせたりすることが楽しいとか?」とミク。「先生、フェイクニュースを見やぶる方法ってないの?」とユウタ。「完全に見やぶる方法は、残念ながらないんです」。「えーっ」。「でも注意すべきポイントはあるんですよ」とトシヤ先生が言いました。「あ、ちょうどいい動画見つけました」とミク。

scene 06ポイント(1)『情報の発信元に注目』
ないようを読む

ニュースキャスターとして活躍(かつやく)してきた下村健一(しもむら・けんいち)さんによると、ウソを見ぬくために注目すべきポイントは3つ。注目ポイントその1.『情報(じょうほう)の発信元に注目』。「たとえば、道を歩いていていきなり通りすがりの人から『これどうぞ』っておにぎりもらったら食べますか? たべませんよね。知らない人のインターネット情報を信じるのはそれくらい無防備(むぼうび)なことなんですね。じゃどうするか。ポイントは、自分の言っていることに責任(せきにん)をとれる人かをチェックすること。問い合わせ先も書いてないようなところは、おにぎりの通行人と同じで『これは保留(ほりゅう)だな』と判断(はんだん)できます」。

scene 07ポイント(2)『ほかのメディアでもあつかっているか』
ないようを読む

注目ポイントその2.『ほかのメディアでもあつかっているか』。「どんなによくできたフェイクニュースの情報(じょうほう)でも、同じことをほかの人も言っているか調べてみて、だれも言ってなかったら、『これはもうちょっと保留(ほりゅう)しておこうかな』と止められますよね」(下村さん)。

scene 08ポイント(3)『情報のおおもとを調べる』
ないようを読む

注目ポイントその3.『情報(じょうほう)のおおもとを調べる』。その情報は何を根拠(こんきょ)に発信しているのか、書いてあったら調べてみましょう。書いていなかったら、ちょっとあやしいかもしれません。「よくやってしまうのは、『〇〇の国の専門家(せんもんか)によると』だけ書いてあって、『専門家が言っているなら本当だ』と信じてしまう。でもそこで止めないで、ちゃんとその専門家の発信しているウェブサイトまで見に行ってみる。ここが大事ですよね。この3つでチェックすると、だいぶ情報にふりまわされにくくなります」(下村さん)。

scene 09金色のハクビシンは?
ないようを読む

「金色のハクビシンはどうなんだろう…」とミク。調べてみる二人。すると、「あ!」。ミクが新しい情報(じょうほう)を見つけました。『現在(げんざい)出回っている“金色のハクビシン”はフェイク画像(がぞう)です…』という記事です。「発信者のSNSも見つけたよ。『金色のハクビシン、かわいいと思って加工したけどこんなに広まるとは…スミマセン』だって」とユウタ。「考えてみたら、コガネムシを食べただけで金色の毛が生えるとか有り得ない。あーぁ」とため息をつくミク。するとトシヤ先生が、「それらしい情報が付いていると信じてしまう気持ちはわかります。ウソを拡散(かくさん)しないですんでよかったじゃありませんか」と言いました。

scene 10「ゆるされるフェイク」ってあるの?
ないようを読む

「金色のハクビシンがいるっていうウソは、おもしろフェイクのつもりで、本人もあやまっているんだから、いいんじゃないの」とユウタ。すると、「えー! ゆるされるフェイクとかあるの?」となっとくできないミク。「だって、エイプリルフールに企業(きぎょう)がやっているフェイクニュースはおもしろいよ。たとえば…これとか」とユウタがニュースを見せます。“虫よせマット”のフェイク広告です。「“虫よけ”じゃなくて、“虫よせ”だって」。「ハハハ、なるほど」。「商品の宣伝(せんでん)にもなるし、サービス精神(せいしん)も感じるけど、ウソはウソじゃない?」とミク。「そうだけど、これってどう考えたらいいのかな?」とユウタたちは考えこむのでした。

アッ!とメディア ~@media~
そのニュース広めて大丈夫? ~フェイクニュース~
テーマはフェイクニュース。巧妙で悪質なネット上のウソが増えリテラシーの必要性が高まっている。ウソに気づき、広めないために情報を受け取った時の注目ポイントを学ぶ。

クリップ

教材きょうざい資料しりょう

教材・資料(先生向け)

配信はいしんリスト

今年度こんねんど放送ほうそう

その放送ほうそう