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scene 01ネットの事典に事実とちがう情報が
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ミクがパソコン画面を見ながら考えこんでいます。「どうしたんです。そんなむずかしい顔して」とトシヤ先生がやってきました。「ネットのフリー事典を見ていたんですけど」と、ミクが読者投稿(とうこう)型の百科事典『スグペディア』を見せます。「ここ、事実とちがう情報(じょうほう)がのってるんです」と、『芽出ヶ丘市』のデータを見せました。「たしかに…」とトシヤ先生。そこへ、「図書室にけっこうあったよ、芽出ヶ丘の資料(しりょう)」と、ユウタが本をかかえてきました。「それ、どうするんです?」とトシヤ先生に聞かれ、「情報修正(しゅうせい)に使えるかなと思って」とユウタ。「ありがと。すぐ直そ」。

scene 02ネットの情報を勝手に直す?
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「えっ? あなたたちがこの情報(じょうほう)を直すんですか?」とおどろくトシヤ先生。「だれでも書きこめるとは言え、ネットの情報を勝手に変えるなんて…。よく考えて下さい。全世界に発信するわけですから責任(せきにん)重大ですよ」と言います。「じゃ、まちがったまま放っておくんですか?」とミク。「わたしたちは専門家(せんもんか)でもありませんし…」。「じゃ、いつ直すんですか? だれが?」。「とにかく禁止(きんし)です」。ここで、「ミク、説明不足だよ」とユウタがわって入りました。「先生、今は読者投稿型サイトって言ってもいろいろあるんだ。ほら見て、これ」。ユウタが見せた映像(えいぞう)は…。

scene 03「情報発信」と「情報交換」
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一般的に、ウェブサイト、ホームページには、作った人が伝えたい情報(じょうほう)が掲載(けいさい)されています。個人(こじん)の趣味(しゅみ)を発信するものから、企業(きぎょう)の宣伝(せんでん)をするサイトまで、「情報発信」が目的です。一方、サイトの読者がアップした情報をほかの読者が自由に見る、「情報交換(こうかん)」の場となるサイトを、ここでは読者投稿(とうこう)型サイトといいます。その種類はさまざま。たとえば日常(にちじょう)の疑問(ぎもん)をアップして読者が自由に答えを書きこめるQ&A方式のもの。お店の情報について写真や感想を自由に書きこめるサイト。読者が記事を書くことで情報をまとめている百科事典などがあります。

scene 04だれでも自由に記事の編集ができる
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その百科事典の一つが『ウィキペディア』。2001年にアメリカで生まれたこの百科事典は世界中で利用され、日本語版(ばん)だけでも130万件(けん)以上の記事があります。サイトの運営(うんえい)はすべて寄付(きふ)でまかなわれ、特徴(とくちょう)は、だれでも自由に記事の編集(へんしゅう)ができること。今起きたことをすぐにだれかが書きこむので、情報更新(じょうほうこうしん)の早いことがメリットです。一方、情報をチェックする専門家(せんもんか)などがいないため、信憑性(しんぴょうせい)のない記事もあります。しかし多くの場合、別の参加者が記事を書き直したり、削除(さくじょ)依頼(いらい)をしたりして改善(かいぜん)されます。

scene 05信憑性(しんぴょうせい)に欠ける?
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「なるほど」と感心するトシヤ先生。「ネットのこういうフリー事典はだれでも書きこめるからいいんだよ。それに、ふつうの百科事典にはのっていないような言葉がのっているんだ。はやりのマンガとか、芸人さんのギャグとか」とユウタ。「サイト自体に広告がついていないっていうのも大事なポイントだよね」と言うミクに、「なんで?」とユウタ。「そのほうがスポンサー企業(きぎょう)にとって有利な情報にかたよらないでしょ」とミク。でもトシヤ先生は、「ですが、だれでも書きこめて専門家(せんもんか)のチェックがないというのは、いま一つ信憑性(しんぴょうせい)に欠ける気がします」と言います。

scene 06信用できるかどうかどう見分ける?
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「たしかに、うのみにはできないけど、全部が全部うそってわけじゃないし」とユウタ。でもトシヤ先生は、「それに、だれでも書きこめるってことは、勝手にだれかの不利になる内容(ないよう)も書けるわけですよね? たとえば、ライバル企業(きぎょう)の足を引っぱる情報(じょうほう)とか、気に入らない有名人をおとしいれるうそとか」と言います。「そう言われたらそうなんだけど…」とユウタ。するとミクが、「そもそも、信用できるかどうか、見分けることができるのかな?」と言いました。そこでユウタがパソコンで何かをさがし、「あ、こんな人がいるよ」と見せた映像(えいぞう)は…。

scene 07記事の質をよりよくする取り組み
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ウィキペディアの編集(へんしゅう)に参加する人をふやすことで、かたよりをへらし、記事の質(しつ)をよりよくしようという人たちがいます。その一人、武蔵(むさし)大学准教授(じゅんきょうじゅ)の北村紗衣(きたむら・さえ)さん。「いろいろな地域(ちいき)で生まれ育った人、あるいは性別(せいべつ)や年齢(ねんれい)、関心などがちがう方々に参加していただくことで、バランスのよいウィキペディアができると思っています」(北村さん)。

scene 08ルール1.出典をのせる
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北村さんたちのグループは、記事を書くときのルールをもうけています。書き手のルールを知ると、読み手としての意識(いしき)も高まると言います。記事を書くときのルールその1.出典をのせる。「どこからその情報(じょうほう)を持ってきたか、はっきりと書く必要があります」(北村さん)。たとえば、テレビで偶然(ぐうぜん)知ったことなど、何でも書いてよいということではありません。信頼(しんらい)できるニュースや本、論文(ろんぶん)などにのっている情報でなくてはならないということです。

scene 09ルール2.特筆性を理解する
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記事を書くときのルールその2.特筆性(とくひつせい)を理解(りかい)する。特筆性とは、とりたてて注目する価値(かち)があるかどうかという意味です。たとえば、近所の草野球チームの記事を作っても、それを見る人はほとんどいません。世の中に広く知られていることでないと、記事として役に立たないということです。

scene 10ルール3.自分自身について書かない
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記事を書くときのルールその3.自分自身について書かない。たとえば、オーナーが自分のお店について記事を書くといった場合です。宣伝(せんでん)のようになってしまい、中立的で公平な記事にならないかもしれません。「ウィキペディアに書いてある情報(じょうほう)の出典などをよく見て、書いてあることはどれくらい正確(せいかく)なのか、この記事はちょっとあやしい内容(ないよう)なのではないかといったことを判断(はんだん)できるようになることが大事。ウィキペディアをそのまま信じるのではなくて、その情報がどこから来ているのか調べて判断する力をぜひ身につけてほしい」(北村さん)。

scene 11大事なのは活用の仕方
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「知らなかったなぁ。百科事典の信用を高めるためのルールがあったり、内容(ないよう)を充実(じゅうじつ)させるためにおおぜいの人が参加したりしているんですね。しかしその分、あらしに来る人もいるんじゃないですか?」とトシヤ先生。「それもおおぜいの目があるからすぐに修正(しゅうせい)されるんじゃないかな」とユウタ。「それに、ここにある情報(じょうほう)でいろんなことを調べ直すきっかけになるんじゃない? わたしたちみたいに」とミクも言います。「たしかに。どこから得た情報か書いていれば、それをたどって深く知ることもできるのかも。活用の仕方次第ですね」とトシヤ先生もなっとくのようです。

scene 12ほかの資料とも照らし合わせて
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「ということで、やってもいいよね? 芽出ヶ丘の情報修正(じょうほうしゅうせい)」とユウタ。「図書室の資料(しりょう)以外にも何か情報ないかな」とミクが言うと、「実はわたしの実家に、この町に古くからあるお祭りの記録が残っているんですよ。先祖(せんぞ)代々、住職(じゅうしょく)が書き記した日記ですけど」とトシヤ先生が言いました。先生の実家がお寺だと聞いて、「えーっ!」とユウタとミクはびっくり。「知らなかった…。先生、持ってきてよ、先祖代々の日記!」。「でもその日記って、情報源(げん)として正確(せいかく)なのかな」とミク。「たしかに…。参考にはなる、とは思いますが…」と考えるトシヤ先生。「ほかの資料と照らし合わせたほうがいいかも」とミクが言い、みんなは資料やネットで調べ始めました。

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テーマは「読者投稿型サイト」。ウィキペディアなど個人が自由に書き込みできるサイトは情報更新が早い一方、情報を安易に信頼できない。利用するときに気をつけることは?

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