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scene 01購買部で一番人気のパンは?
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「ミクさん、今日はなんだか元気がありませんね」とトシヤ先生に言われ、「お昼のパン争奪(そうだつ)戦、また負けました。うちの購買(こうばい)部、いつもカレーパンが売り切れてるんです」とミク。そこに、「さて問題です」とユウタが会話に入ってきました。「購買部で一番人気のパンはなーんだ?」。「カレーパンでしょ?」とミク。「ブーッ。正解(せいかい)は、焼きそばパン。みんなにアンケートをとったんだ。これを購買部に持っていって、もっと人気のパンを仕入れてもらおうと思って」とアンケートを見せます。「二位はカツサンド、三位はメロンパン…。ん? カレーパンが入ってない!」とおどろくミク。

scene 02だれにとったアンケートか
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すると、「あぁ、カレーパンは圏外(けんがい)」とユウタ。「えっ、なんで? いつも売り切れてるのに。これ、だれにとったアンケート? ユウタのクラス? 友だちだけ? それってクラス全体のランキングって言わないんじゃない?」とつめよるミク。「じゃあ全校生徒全員に聞くの? 世の中のアンケートは全国民に調査してるわけ?」と言い返すユウタ。「全国民…ではないと思うけど」。するとトシヤ先生が、「世の中にはいろんな統計(とうけい)調査がありますけど、実際(じっさい)はどう集めているんでしょうね」と言いました。「あ、こんなのがありました」とミクがパソコンで見つけた映像(えいぞう)は…。

scene 03統計調査は目的をはっきりさせる
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統計調査(とうけいちょうさ)のデータはどのように集められているのでしょうか。総務省(そうむしょう)統計局では社会の実態(じったい)をつかむため、国勢(こくせい)調査や労働力調査など多くの統計調査を行っています。長年、統計調査にたずさわってきた長藤洋明(ながふじ・ひろあき)さん。「統計調査を行う場合には、何のために行うのか目的をはっきりさせることが大事です」。まず、調査の目的にそった質問(しつもん)を作ります。たとえば、令和3年に行われた『社会生活基本(きほん)調査』。その目的は、国民がどのような活動に多くの時間を使っているか、くらしの様子を明らかにすることです。

scene 04回答の仕方を工夫する
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ネットが生活に欠かせない今、スマホやパソコンに関してていねいに質問(しつもん)することにしました。実態(じったい)をくわしく知るために、利用時間を15分単位で記入できるようにして、通学などほかのことをしながらネットを使う“ながら利用”も反映(はんえい)できるよう回答の仕方を工夫したのです。「情報(じょうほう)化の中でスマホの使い方が変わっている。生活の中に本当に浸透(しんとう)している。そこを把握(はあく)することがこの調査(ちょうさ)の目的にとって重要」(長藤さん)。

scene 05調査対象の選び方も大事
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調査(ちょうさ)対象の選び方も大切です。この調査は、無作為(むさくい)に選ばれたおよそ9万世帯を対象に実施(じっし)されました。国民の生活の様子を調べるため、かたよりがあってはいけません。全国の縮図(しゅくず)となるように調査対象を選びます。そこですべての都道府県を対象とし、人口規模(きぼ)の大小を反映(はんえい)して都道府県ごとに調査地域(ちいき)の数を決めました。そこから一定のルールにしたがって調査世帯を選び出したのです。「特定の人、特定のグループだけを調べるということはしない。学校で調べる場合、その縮図になるように調査対象を選ぶことが大事」(長藤さん)。

scene 06同じデータから作ったグラフが
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「まわりに聞けばいいってわけじゃないんだね」とユウタ。「芽出中全体のデータをとるには、学校の縮図(しゅくず)になるように対象者を決めなくちゃいけないんだ」とミク。手分けしてほかの学年や先生たちにも聞くことにしました。一週間後。「先生、アンケートの結果をグラフにしたんですけど」とミクがグラフを見せます。ユウタもグラフを持ってやってきました。ところが二人のグラフをくらべると…。「ん? このグラフ、同じデータから作った?」とユウタ。「そうだよ。やっぱりダントツ一位はカレーパンだね」とミク。「おれのグラフではそこまで差があるようには見えないけど、なんでこんなに差があるの?」。

scene 07「データに忠実に」と「結果をわかりやすく」
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「ミクさんとユウタさんのグラフはここがちがうんです」とトシヤ先生がミクのグラフを指差しました。「トップ5にして40票未満は省略(しょうりゃく)したら、1票の差がはっきりわかるでしょ」とミク。「調査(ちょうさ)したデータは全部のせなきゃ。40票未満の人気のないパンは相手にしないの?」とユウタ。すると、「どちらもまちがいではないんです。ユウタさんのグラフはデータに忠実(ちゅうじつ)に作られていますし、ミクさんのグラフは結果をわかりやすく表しています」とトシヤ先生が言いました。「でも、同じデータで見え方がちがうなんて」とユウタ。「見る側も注意する必要がありそうですね」と先生。

scene 08目もりの大きさを確認すること
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統計調査(とうけいちょうさ)のデータはグラフなどで発表されます。たとえば、女性(じょせい)の研究者が数、割合(わりあい)ともふえていることをしめすグラフ。折れ線グラフに注目すると、その割合は急激(きゅうげき)にふえているように見えます。しかしよく見ると、12%未満の目もりが省略(しょうりゃく)されています。これを、目もりを省略せずに表したグラフに重ねてみると、数値(すうち)は同じはずですが、かたむきが大きくちがいます。省略することでひと目もり分のはばが大きくなり、かたむきの変化が強調されるのです。「グラフを見るときは、目もりの大きさを確認(かくにん)することが大事。どういう目的でそのグラフを作っているのか、何を伝えたいのかを見てほしい」(長藤さん)。

scene 09表題、出典、目もりの単位
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ほかにも、グラフを読むときに注意するポイントがあります。『表題』はグラフのテーマをしめします。知らないことばは調べて、定義(ていぎ)を確認(かくにん)しましょう。『出典』はデータの根拠(こんきょ)となるため、書かれていない場合、そのグラフは信用できないこともあります。『目もりの単位』も大切です。%などの「割合(わりあい)」か、人数などの「実数」かなど、単位をしっかり確認しましょう。グラフは意図を持って作られます。細かな部分にも注意しながら、自分で読みとく力をつけることが大切です。

scene 10グラフの意図を自分自身で読みとくこと
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「表題、目もりの単位や出典。グラフにはいろんな情報(じょうほう)がもりこまれているんだね」とミク。「数字だけのデータを、わかりやすく意図を持って表現(ひょうげん)してるんだ」とユウタ。「だからこそ、自分自身で読みとかないといけませんね」とトシヤ先生が言います。「あと、グラフの種類を考えてもいいかも。ランキングは棒(ぼう)グラフでもいいけど、購買(こうばい)部との交渉(こうしょう)には円グラフのほうが使えると思う」とミク。「出典も入れないと。『放送委員会調べ』ってことでいい?」とユウタ。「うん。あと…」。次々にアイデアが出てくるようです。

アッ!とメディア ~@media~
伝えたいことをグラフで表す~統計~
テーマは「グラフ」。データを集めるときの注意点は?総務省統計局を取材。また調査対象を「無作為に選ぶ」、本当の意味とは?グラフを読み解く際の注意点も紹介。

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