チャプターあらすじを読む
scene 01「1秒でもねたい男の朝 かわいくなりたい女の朝」
ないようを読む

「『身だしなみ強化月間 朝のしたくについてのアンケート』。芽出中チャンネルの今週のテーマですか?」とトシヤ先生がボードに書かれたタイトルを見て言いました。「はい。みんなの傾向(けいこう)を調べようって、ミクが企画(きかく)したんです」とユウタ。「キャッチコピーも考えなきゃ」と言うミクに、「いいの考えてるんだ」とユウタがキャッチコピー案を見せます。『1秒でもねたい男の朝 かわいくなりたい女の朝』とあります。「たしかに、男子は起きてすぐに出かけますよね。ねぐせをつけたままだったり。わたしもそうでした」とトシヤ先生。「でしょ? 女子はずっと鏡を見ていそうだし」。

scene 02固定観念=ステレオタイプ
ないようを読む

「ちょっと待って。それって、男子が身じたくの時間が短くて、女子のほうが時間がかかるってこと?」とミク。「だろ?」。「ううん。2年生で言うと、男子のほうが鏡の前にいる時間が長い」。「じゃあ、2年は女子みたいなやつらが多いんだな」。「それ、思いこみじゃない? 今はメンズ美容(びよう)もあるし、朝のお手入れに時間をかける男子もいる」とミクがユウタにつめよります。「そうですよね。すみません、固定観念で話してしまって。こういうのを『ステレオタイプ』と言うんでした」とあやまるトシヤ先生。「ステレオタイプ?」。「ええ。こんな話があります」とトシヤ先生がパソコンで見つけた映像(えいぞう)は…。

scene 03もともとは大量生産のことだった
ないようを読む

ステレオタイプとは、先入観や思いこみのこと。たとえば『女はか弱くておとなしい』とか、『日本人はメガネをかけていてまじめ』など、性別や国籍(こくせき)など、ある属性(ぞくせい)を持つ人に対してあたえられるイメージもその一つです。メディアと社会の研究をしている関西大学教授(きょうじゅ)の水越伸(みずこし・しん)さんに聞きました。「100年くらい前に出てきた『ステレオタイプ』という言葉は、もともとは印刷技術(ぎじゅつ)の言葉で、鉛(なまり)の板に紙をあてて同じ印刷物ができる大量生産のことだった。それを「マスメディアが、イメージを大量生産する」という例えとして用いた考え方です」。

scene 04確認できないステレオタイプも
ないようを読む

たとえば、テレビなどによってあるイメージが作られ、ほかのメディアにも拡散(かくさん)されます。多くの人に広がるうちに、そのイメージがステレオタイプとして定着するのです。しかし、ステレオタイプのなかには、現実(げんじつ)とかけはなれたものもあり、決めつけるのはよくないといいます。「外国で起こった事件(じけん)であろうと、どこかの有名人であろうと、いちいち確認(かくにん)はできない。直接(ちょくせつ)確認できないステレオタイプがメディアの中にはある。ある意味、非常(ひじょう)にあやういことだと言えますね」(水越さん)。

scene 05強い印象のイメージはなかなかぬけない
ないようを読む

「知らなかった。これまで、メディアの情報(じょうほう)を『フツー』って思いこんできたかも」とユウタ。「わたしにも覚えがあります。たとえば、昔内戦が起きた国って、なんとなく今でも危険(きけん)って思っていませんか?」とトシヤ先生。「うん。こわいし心配だよね」とユウタ。「でもとっくに内戦が終わって、今は平和な地域ってこともあるんですよ」。「え?」。「強く印象に残ると、そのイメージってぬけないものです」。「たしかに。平和な日常(にちじょう)はニュースにしないもんね」とミク。「ヤバい。おれ、さっきもアンケートの結果を見ずに、思いこみで決めつけちゃった」と気がつくユウタ。

scene 06一体何に気をつければいい?
ないようを読む

するとミクが、「女性(じょせい)を“美人教師(きょうし)”とか“美人アスリート”って言うときがありますよね。あれってなんでだろう?」と言います。「女性が容姿(ようし)をほめられるとうれしい、これもステレオタイプかもしれませんね」とトシヤ先生。「えっ、ほめてもだめなの? トシ先生、一体何に気をつければいいんですか?」とユウタ。「そう言われると、うーん、わたしもわかりません」。「なんでわかんないんですか。トシ先生ってホントに先生らしくないんだから」と言われ、「先生らしくない…」と落ちこむトシヤ先生。「これ見て下さい」。ミクがパソコンで見つけた映像(えいぞう)は…。

scene 07メディアでのステレオタイプの見直し
ないようを読む

多様性(たようせい)への関心が高まるなか、メディアでもステレオタイプの見直しが始まっています。NHKの報道(ほうどう)などで働く職員(しょくいん)が集まって、視聴者(しちょうしゃ)からよせられた声を参考に定期的に情報交換(じょうほうこうかん)をしています。視聴者からは、『多様性と言いながら出演(しゅつえん)者は健常者(けんじょうしゃ)だけ』、『グラフで男性(だんせい)のデータに青、女性に赤が多い。時代おくれ』などきびしい声も。「ハッとさせられる声もたくさんあって、多様性や性差にもっと意識(いしき)を向けないといけない」(チーフ・プロデューサーの原田さん)。

scene 08多様性を意識した試み
ないようを読む

番組はどのように変わっているのでしょうか。子ども向けの料理番組『ゴー! ゴー! キッチン戦隊クックルン』。2020年度まで、主人公は女の子でした。しかし、『料理は女性(じょせい)がするもの』というステレオタイプをくずしたいと、主人公を男の子にリニューアル。衣装(いしょう)を赤系(けい)にするなど、色使いも工夫しました。また、ドラマでは、車いすユーザーを主人公にした作品も放送しました。地域(ちいき)番組でも、手話通訳(つうやく)を取り入れるなど、多様性を意識(いしき)した試みを続けています。

scene 09かぎられた情報源にとらわれない
ないようを読む

メディアの取り組みも進むなか、ステレオタイプにおちいらないために、わたしたちはどんなことに気をつければよいのでしょうか。「一つは、読みくらべとか見くらべをするということですね。たとえば、ネットの記事で読んだら、テレビで確認(かくにん)してみる。テレビも、Aという放送局だけでなくBやCも見てみる。もう一つは、周りの人と話すということ。自分がかぎられた情報源(じょうほうげん)、メディアだけを見ていて、そこのステレオタイプにだけそまっていることがある。そのことに自分で気がつかないことが多いんですよ」(水越さん)。

scene 10トシヤ先生は「先生らしくない」?
ないようを読む

「わたし、運動部って明るい元気なイメージがあったんだよね。それでこの前、男子に、『サッカー部のキャプテンなんだからはっきりして』とか言っちゃった」とミクが言います。「ステレオタイプじゃん。ねぇ、先生」とユウタが見ると…。「ユウタさんの質問(しつもん)に即答(そくとう)できず、おはずかしいかぎりです」とトシヤ先生がまだ落ちこんでいました。「よく言われるんです。だれにでも敬語(けいご)を使ってしまいますし、知らないって平気で言ってしまうし。たまにはたけだけしい言葉を使ってリーダーシップを取ってみようと思うんです。おい、おまえら! あぁ、すみません、やっぱり無理だ」とトシヤ先生。

scene 11ステレオタイプにおちいらないためには
ないようを読む

すると、「それってホントに『先生らしさ』?」とユウタが言いました。「昔からのメディアのイメージかも。学園ドラマとか」とミクも言います。「トシ先生はいっしょに考えてくれるからいいんじゃないんですか」とユウタ。「そうか…。わたし自身がステレオタイプにおちいってたんですね」とトシヤ先生。「みんな、気づかないうちにとらわれてしまうものなんですね」とミク。するとユウタが、『1秒でもねたい男の朝 かわいくなりたい女の朝』というキャッチコピー案をボードから外しました。「ステレオタイプにおちいらないようなキャッチコピーって、何だろう」とユウタが言います。「うーん」。考えるみんなです。

アッ!とメディア ~@media~
その思い込み大丈夫?~ステレオタイプ~
テーマはステレオタイプ。ステレオタイプを崩すためのメディアの取り組みとは?ステレオタイプにおちいらない注意ポイントも紹介。身の周りにはどんなステレオタイプが?

クリップ

教材きょうざい資料しりょう

教材・資料(先生向け)

配信はいしんリスト

今年度こんねんど放送ほうそう

その放送ほうそう